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2023.12.22

仙台育英と立命館宇治が中心 神村学園の猛追にも注目 長野東や薫英女学院が迫るか/全国高校駅伝展望・女子
仙台育英と立命館宇治が中心 神村学園の猛追にも注目 長野東や薫英女学院が迫るか/全国高校駅伝展望・女子

左から仙台育英の細川あおい、立命館宇治の山本釉未、神村学園のカリバ・カロライン

全国高校駅伝は12月24日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)発着で行われる。ここでは5区間21.0975kmで争われる女子第35回大会のレースを展望する。

【男子】再びオレンジ対決か 優勝争いは倉敷と佐久長聖 上位を狙う埼玉栄や仙台育英

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総合力の仙台育英&立命館宇治、エースの神村学園

今回は5年に1度の記念大会として、例年の47都道府県代表に11の地区代表が加わり、58校がクリスマスイブの都大路を激走する。

今季のトラックシーズン、過去の都大路での実績や経験を踏まえると、仙台育英(宮城)と立命館宇治(京都)が優勝争いの中心で、神村学園(鹿児島)が迫る構図となりそうだ。この3校は、3000mの上位5人平均がいずれも9分16秒で並ぶ。

2年ぶりの優勝に挑む仙台育英は、前回2位のメンバーから2区を務めた留学生のデイシー・ジェロップ、3区を走った長岡みさき、アンカーだった細川あおいの2年生トリオが中心となる。

今季は橘山莉乃(3年)が台頭し、3000mでは日本人チームトップの9分16秒07をマークしている。1年生にも3000mで9分16秒76の磯陽向がおり、飛び抜けたエースはいないが、上位層は充実している。

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県大会は、コンディションが万全でなかった長岡を温存しながらも1時間7分49秒。1区の細川は19分07秒で駆け抜けた。他の選手もその後のレースで好走。長岡は11月下旬に5000mで15分56秒99、橘山は終盤転倒しながらも16分04秒26の自己新を出すなど、2年ぶり6回目のVへ盤石の態勢を整えつつある。

2年連続4位の立命館宇治も選手層は厚い。前回1区3位と健闘した山本釉未(3年)を筆頭に、4区区間8位の池田悠音(3年)、インターハイ1500m7位の大西桃花(2年)の三本柱で臨む。3000mのベストでは山本が9分07秒90、大西が9分11秒78、池田が9分15秒76とエース級のタイムだ。

府大会では大西を温存。山本が1区を19分17秒で走破し、2区の池田とともに区間賞を獲得している。近畿大会では2区・山本、3区・池田、4区・大西と短距離区間に三本柱を配置し、2区から3連続区間賞で強豪ぞろいの近畿を1時間9分13秒で制した。

今年は3月の春の高校伊那駅伝、6月の全国男鹿駅伝、10月のくらよし女子駅伝をいずれも制し、府大会や近畿大会を含めて駅伝では負け知らず。例年、府大会から近畿大会、そして全国と約1分半ずつタイムを縮めてくるだけに、11年ぶり4回目の優勝を目指して、どこまで仕上げてくるか。

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5年ぶり2回目の優勝を狙う神村学園は、インターハイ1500m・3000m2年連続2冠に輝いた留学生のカリバ・カロライン(3年)を軸だ。気温が30度に迫るコンディションだった鹿児島県大会は1時間7分38秒と予選トップタイム。カロラインが5区(5㎞)を14分33秒と驚異的なタイムで突っ走った。

県大会はカロライン以外1、2年生を起用。1区の瀬戸口凜(1年)、2区の黒神璃菜(2年)、4区の小倉陽菜(2年)は3000m9分20秒台前半のベストを持つ。小倉はカロラインとともに前回の都大路を経験している。また、瀬戸口は1年生ながら県大会は1区、九州大会はアンカーを務めており、本番でも主要区間に担うだろう。これまでの傾向から、カロラインを5区に配置して、終盤勝負の可能性が高い。区間記録(14分37秒)更新も十分あり得る。

アンカー・カロラインで想定すると、仙台育英や立命館宇治は4区終了時に少なくとも1分10秒は先行したいところ。それよりも差が小さければ神村学園が逆転する可能性が高まってくる。また、仙台育英と立命館宇治が優勝を争う場合、実績のある立命館宇治・山本の区間がポイントとなりそうだ。

全国高校駅伝は12月24日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)発着で行われる。ここでは5区間21.0975kmで争われる女子第35回大会のレースを展望する。 【男子】再びオレンジ対決か 優勝争いは倉敷と佐久長聖 上位を狙う埼玉栄や仙台育英

総合力の仙台育英&立命館宇治、エースの神村学園

今回は5年に1度の記念大会として、例年の47都道府県代表に11の地区代表が加わり、58校がクリスマスイブの都大路を激走する。 今季のトラックシーズン、過去の都大路での実績や経験を踏まえると、仙台育英(宮城)と立命館宇治(京都)が優勝争いの中心で、神村学園(鹿児島)が迫る構図となりそうだ。この3校は、3000mの上位5人平均がいずれも9分16秒で並ぶ。 2年ぶりの優勝に挑む仙台育英は、前回2位のメンバーから2区を務めた留学生のデイシー・ジェロップ、3区を走った長岡みさき、アンカーだった細川あおいの2年生トリオが中心となる。 今季は橘山莉乃(3年)が台頭し、3000mでは日本人チームトップの9分16秒07をマークしている。1年生にも3000mで9分16秒76の磯陽向がおり、飛び抜けたエースはいないが、上位層は充実している。 県大会は、コンディションが万全でなかった長岡を温存しながらも1時間7分49秒。1区の細川は19分07秒で駆け抜けた。他の選手もその後のレースで好走。長岡は11月下旬に5000mで15分56秒99、橘山は終盤転倒しながらも16分04秒26の自己新を出すなど、2年ぶり6回目のVへ盤石の態勢を整えつつある。 2年連続4位の立命館宇治も選手層は厚い。前回1区3位と健闘した山本釉未(3年)を筆頭に、4区区間8位の池田悠音(3年)、インターハイ1500m7位の大西桃花(2年)の三本柱で臨む。3000mのベストでは山本が9分07秒90、大西が9分11秒78、池田が9分15秒76とエース級のタイムだ。 府大会では大西を温存。山本が1区を19分17秒で走破し、2区の池田とともに区間賞を獲得している。近畿大会では2区・山本、3区・池田、4区・大西と短距離区間に三本柱を配置し、2区から3連続区間賞で強豪ぞろいの近畿を1時間9分13秒で制した。 今年は3月の春の高校伊那駅伝、6月の全国男鹿駅伝、10月のくらよし女子駅伝をいずれも制し、府大会や近畿大会を含めて駅伝では負け知らず。例年、府大会から近畿大会、そして全国と約1分半ずつタイムを縮めてくるだけに、11年ぶり4回目の優勝を目指して、どこまで仕上げてくるか。 5年ぶり2回目の優勝を狙う神村学園は、インターハイ1500m・3000m2年連続2冠に輝いた留学生のカリバ・カロライン(3年)を軸だ。気温が30度に迫るコンディションだった鹿児島県大会は1時間7分38秒と予選トップタイム。カロラインが5区(5㎞)を14分33秒と驚異的なタイムで突っ走った。 県大会はカロライン以外1、2年生を起用。1区の瀬戸口凜(1年)、2区の黒神璃菜(2年)、4区の小倉陽菜(2年)は3000m9分20秒台前半のベストを持つ。小倉はカロラインとともに前回の都大路を経験している。また、瀬戸口は1年生ながら県大会は1区、九州大会はアンカーを務めており、本番でも主要区間に担うだろう。これまでの傾向から、カロラインを5区に配置して、終盤勝負の可能性が高い。区間記録(14分37秒)更新も十分あり得る。 アンカー・カロラインで想定すると、仙台育英や立命館宇治は4区終了時に少なくとも1分10秒は先行したいところ。それよりも差が小さければ神村学園が逆転する可能性が高まってくる。また、仙台育英と立命館宇治が優勝を争う場合、実績のある立命館宇治・山本の区間がポイントとなりそうだ。

前回覇者・長野東や薫英女学院も有力

前回初優勝を遂げた長野東(長野)と同6位の薫英女学院(大阪)が続きそうだ 長野東はVメンバーから1区の名和夏乃子(3年)と2区の窪田舞(2年)の2人が残る。窪田は今季、3000mで国体少年Aは7位。主将の名和は夏に故障した影響で県大会を回避したが、北信越大会では1区を19分43秒で制し、復調をアピールした。また、1年生の真柴愛里が東日本女子駅伝1区(6km)を19分28秒で走破するなど成長著しい。前回同様に持ちタイム以上の走りを見せるかもしれない。 薫英女学院も虎視眈々と上位進出をうかがう。前回2区を走った塚本夕藍(2年)と4区区間4位タイの向井友希(3年)が順調に成長。塚本は府大会1区と近畿大会5区で区間賞を獲得した。さらに、仁賀あかり(1年)は3000mで9分18秒60とチームトップタイムを持つ。向井以外は1、2年生。勢いを全面に出したレースができるか。 ここまでの5校を追いかける勢力も、レース展開次第によってはさらなる上位進出のチャンスがある。 県大会、東北大会ともに1時間9分台をマークした青森山田は、インターハイ3000mで3位に入った留学生のルーシー・ドゥータ(2年)がおり、流れをつかめば、過去最高順位(5位)を更新する可能性もある。前回、神奈川勢過去最高順位の5位と健闘した白鵬女は、その時の1区で5位と好走したエースの古田島彩(3年)や2区を務めた勝呂遥香(2年)、留学生のジェシンタ・ニョカビ(2年)の三本柱が安定している。 2年ぶり出場となる須磨学園(兵庫)は、1年生ながら近畿大会1区を制した池野絵莉がポイント。3000mでも9分15秒99の自己ベストを持つ。福岡1位の北九州市立も2年ぶりの出場。インターハイ3000m8位のエース・下森美咲(3年)を軸に3年ぶりの入賞なるか。 3年前の女王・世羅(広島)は、前回16位のメンバーから、2区区間賞のルーズ・ワングイ(2年)ら4人が残り、日本人選手もひと回り成長している。小林(宮崎)は片山乙葉(3年)を中心に平均的に走力がある。 初出場のチームにも入賞のチャンスがある。東海大会を1時間9分44秒で制して全国行きを決めた豊田大谷(東海地区/愛知)はインターハイ800m5位の森千莉(3年)ら3年生がカギを握る。中国覇者の銀河学院(中国地区/広島)は、国体少年A3000m8位のエース・森安桃風(3年)が牽引。東大阪大敬愛(近畿地区/大阪)は3000m平均タイムで6番手。インターハイ800m覇者・久保凛(1年)ら自慢のスピードを生かして、快挙を成し遂げるかもしれない。 今年の都道府県大会や地区大会は季節外れの暑さや、荒天などで全国的にタイムが伸び悩んだが、都大路では全国のライバルと競い合うことでハイレベルな争いとなるはずだ。節目の高校駅伝女王はどのチームになるか。 レースは10時20分スタート。試合の模様は、テレビがNHK総合、ラジオはNHK第一で生中継される。

スタート時刻と各区間距離、大会記録

■全国高校駅伝(女子35回、男子74回) 12月24日(日)/京都・たけびしスタジアム京都発着 ●女子(5区間21.0975km)→10時20分スタート 1区6km-2区4.0975km-3区3km-4区3km-5区5km ○高校最高記録 1.06.26 埼玉栄(埼玉)/1996年全国 ○高校国内国際最高記録 1.06.04 神村学園(鹿児島)/2020年鹿児島県大会 ○大会記録 1.06.26 埼玉栄(埼玉)/1996年 ○区間記録 1区 18.52 新谷仁美(興譲館・岡山)05年 2区 12.15 T.ムッソーニ(世羅・広島)19年 3区  9.21 鷲見梓沙(豊川・愛知)12年 4区  8.59 田中梨沙(埼玉栄・埼玉)96年 5区 14.37 T.ムッソーニ(世羅・広島)20年 ●男子(7区間42.195km)→12時30分スタート 1区10km-2区3km-3区8.1075km-4区8.0875km-5区3km-6区5km-7区5km ○高校最高記録 2.01.57 佐久長聖(長野)/2022年全国 ○高校国内国際最高記録 2.01.10 倉敷(岡山)/2022年全国 ○大会記録 2.01.10 倉敷(岡山)/2022年 ○区間記録 1区 27.48 J.ギタヒ(仙台育英・宮城)95年 2区  7.55 佐藤清治(佐久長聖・長野)98年 3区 22.30 S.キバティ(倉敷・岡山)22年 4区 22.32 B.カロキ(世羅・広島)08年 〃   〃  J.ムワニキ(世羅・広島)18年 5区  8.22 浅井利雄(小出・新潟)72年 6区 14.06 M.ディラング(仙台育英・宮城)19年 7区 13.58 森口祐介(西脇工・兵庫)98年 〃  13.58 山田修人(倉敷・岡山)20年

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