HOME 学生長距離

2023.12.12

【Playback箱根駅伝】30回目の節目は早大が9度目優勝!10区・昼田を名将・中村清監督が校歌で激励
【Playback箱根駅伝】30回目の節目は早大が9度目優勝!10区・昼田を名将・中村清監督が校歌で激励

第30回箱根駅伝/朦朧としながらフィニッシュする早大10区の昼田と浜田コーチ

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第30回(1954年/昭和29年)
早大が2年ぶり9度目V!ラジオ放送開始で全国区に

第30回大会は横浜市立大が初出場し、全15校で争われ、劇的な幕切れとなる。

広告の下にコンテンツが続きます

レース序盤をリードしたのは連覇を狙う中大。1区の三浦達郎が2年連続の区間賞を獲得すると、2区の菊池直志も区間賞で首位をキープする。

3区で明大に抜かれたが、4区の杉崎隆志が区間賞の走りで首位を奪い返し、2位の明大と20秒差で5区にタスキをつないだ。

先頭を行く中大から1分29秒差の3位で小田原をスタートした早大。5区の中村保徳が区間2位と好走し、明大と中大をかわして、20年ぶりの往路優勝を成し遂げて、2位に55秒差で中大が続いた。

6区では中大の西村良三が区間賞で早大との差を1秒詰めると、7区の日置一樹も区間賞の走りで早大を逆転。っこで2分10秒の差がついたが、8区では13秒差に詰まる。

広告の下にコンテンツが続きます

抜きつ抜かれつの攻防となるなか、早大の9区・衣笠治重が区間賞の快走。中大を再度逆転し、3分27秒差をつけて10区の昼田哲士にタスキをつないだ。

1年生の昼田は元々、1500mが専門。後ろから追いかける中大の斉藤安雄は昼田よりを走力で上回っており、逆転を防ぐために中村清監督は昼田に前半から飛ばすよう指示した。

しかし、飛ばし過ぎた昼田は品川を過ぎたあたりで失速。内幸町ではふらふらの状態になった。これを見た中村監督は急遽、校歌である『都の西北』を歌ってサイドカーの上から激励。昼田は失神状態になりながらも伴走しはじめた浜部憲一コーチとともに走り続け、倒れ込むようにフィニッシュ。早大が2年ぶり9回目の優勝を果たした。

この様子はNHKラジオで実況中継されており、当時は大きな話題となった。現在でも箱根駅伝の名場面の一つとして語り継がれている。

広告の下にコンテンツが続きます

参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第30回(1954年/昭和29年) 早大が2年ぶり9度目V!ラジオ放送開始で全国区に

第30回大会は横浜市立大が初出場し、全15校で争われ、劇的な幕切れとなる。 レース序盤をリードしたのは連覇を狙う中大。1区の三浦達郎が2年連続の区間賞を獲得すると、2区の菊池直志も区間賞で首位をキープする。 3区で明大に抜かれたが、4区の杉崎隆志が区間賞の走りで首位を奪い返し、2位の明大と20秒差で5区にタスキをつないだ。 先頭を行く中大から1分29秒差の3位で小田原をスタートした早大。5区の中村保徳が区間2位と好走し、明大と中大をかわして、20年ぶりの往路優勝を成し遂げて、2位に55秒差で中大が続いた。 6区では中大の西村良三が区間賞で早大との差を1秒詰めると、7区の日置一樹も区間賞の走りで早大を逆転。っこで2分10秒の差がついたが、8区では13秒差に詰まる。 抜きつ抜かれつの攻防となるなか、早大の9区・衣笠治重が区間賞の快走。中大を再度逆転し、3分27秒差をつけて10区の昼田哲士にタスキをつないだ。 1年生の昼田は元々、1500mが専門。後ろから追いかける中大の斉藤安雄は昼田よりを走力で上回っており、逆転を防ぐために中村清監督は昼田に前半から飛ばすよう指示した。 しかし、飛ばし過ぎた昼田は品川を過ぎたあたりで失速。内幸町ではふらふらの状態になった。これを見た中村監督は急遽、校歌である『都の西北』を歌ってサイドカーの上から激励。昼田は失神状態になりながらも伴走しはじめた浜部憲一コーチとともに走り続け、倒れ込むようにフィニッシュ。早大が2年ぶり9回目の優勝を果たした。 この様子はNHKラジオで実況中継されており、当時は大きな話題となった。現在でも箱根駅伝の名場面の一つとして語り継がれている。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

第30回箱根駅伝総合成績をチェック

●総合成績 1位 早大 12時間21分10秒 2位 日大 12時間25分55秒 3位 中大 12時間27分28秒 4位 法大 12時間34分58秒 5位 明大 12時間38分26秒 6位 東洋大 12時間57分03秒 7位 立教大 12時間58分49秒 8位 東教大 13時間04分02秒 9位 専大 13時間20分35秒 10位 日体大 13時間27分16秒 11位 神奈川大 13時間41分48秒 12位 東農大 13時間50分38秒 13位 横浜国大 14時間03分30秒 14位 横浜市大 14時間18分06秒 15位 拓大 14時間21分33秒 ●区間賞 1区 三浦達郎(中大) 1時間11分17秒 2区 菊地直志(中大) 1時間06分43秒 3区 楠雪高(明大) 1時間11分07秒 4区 政成孝冶(早大) 1時間09分11秒 5区 山内二郎(法大) 1時間30分18秒 6区 西村良三(中大) 1時間15分45秒 7区 日置一樹(中大) 1時間07分44秒 8区 伊藤文雄(法大) 1時間16分00秒 9区 衣笠治重(早大) 1時間07分57秒 10区 大西増夫(法大) 1時間15分25秒

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.04.29

3000m障害・三浦龍司 パリ五輪内定は持ち越しも8分22秒07で制し「勝負に勝つという意味では良かった」/織田記念

◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリシリーズG1の織田記念が行われ、男子3000m障害は三浦龍司(SUBARU)が8分22秒07で優勝した。昨年のブダペスト世界選手権6位のた […]

NEWS 東京五輪代表・青山華依が涙の復活 チャレンジレースから決勝へ「レース経験を戻していきたい」/織田記念

2024.04.29

東京五輪代表・青山華依が涙の復活 チャレンジレースから決勝へ「レース経験を戻していきたい」/織田記念

◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリシリーズG1の織田記念が行われ、女子100mはハリス・ジョージア(豪州)が11秒57(±0)で優勝した。日本人トップの2位に石川優(青学大 […]

NEWS 女子100mH・田中佑美が混戦抜け出し13秒00でV 「しっかり流れに乗れた」/織田記念

2024.04.29

女子100mH・田中佑美が混戦抜け出し13秒00でV 「しっかり流れに乗れた」/織田記念

◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリG1の織田記念が行われ、12秒台のベストを持つ日本人5人が出場した女子100mハードルは、ブタペスト世界選手権代表の田中佑美(富士通)が1 […]

NEWS 110mH村竹ラシッドが13秒29!社会人デビューもフィニッシュ後転倒で「2年連続ヒヤヒヤ」/織田記念

2024.04.29

110mH村竹ラシッドが13秒29!社会人デビューもフィニッシュ後転倒で「2年連続ヒヤヒヤ」/織田記念

◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリG1の織田記念が行われ、男子110mハードルは村竹ラシッド(JAL)が13秒29(-0.6)をマークして制した。 広告の下にコンテンツが続 […]

NEWS 【大会結果】第58回織田幹雄記念(2024年4月29日)

2024.04.29

【大会結果】第58回織田幹雄記念(2024年4月29日)

【大会結果】第58回織田幹雄記念(2024年4月29日/ホットスタッフフィールド広島) グランプリ ●男子 100m   守祐陽(大東大)    10秒26(+0.7) 1500m  G.アブラハム(阿見AC) 3分39 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top