HOME 国内

2023.11.12

田中希実 次世代アスリートに向け「陸上が大好きな気持ち忘れず苦しみに真摯に向き合って」
田中希実 次世代アスリートに向け「陸上が大好きな気持ち忘れず苦しみに真摯に向き合って」

田中希実(New Balance)

女子1500m・5000m日本記録保持者の田中希実(New Balance)が11月12日、東京・渋谷区の公道で行われた北渋RunRunフェスタに参加後、活動報告会を開いて報道陣の取材に応えた。

この日はイベントで北渋マイルのスターターを務めたあと、自身が次世代アスリートをサポートする「NON STOP PROJECT」の選考の一つとして、New Balanceプレゼンツ「NOZOMIRAI MILE」で参加ランナーたちと疾走した。

田中は今年のブダペスト世界選手権5000mで日本記録を樹立し、決勝では日本勢26年ぶり入賞となる8位。ダイヤモンドリーグ(DL)ブリュッセルでは5000mで14分29秒18と日本記録を更新すると、DLファイナルでも6位に食い込んだ。10月21日のミドルディスタンスサーキットでシーズンを一区切りし、11月はオフに充てている。

今シーズンを振り返り、「怒濤のような1年。いいときもあったし、悪いときもあった。すごく長くも感じるし、短かったとも感じる」と言い、「充実した1年だったのは確かで、その裏で苦しんだ時間も多かった。プロとしての厳しさ、人間として『生きる』ということを考えさせられた1年で、学びが多かったです」と語る。

印象に残ったレースにはブダペスト世界選手権5000m予選を挙げ、「心と体が一致したというレース。(周囲の人に)希実らしいなと思ってもらえたのではないか」と理由を明かす。

今年6月に次世代アスリートたちに向けたプロジェクト「NON STOP PROJECT」を発足。「私が今まで経験してきたこと、考えてきたことを、次世代のアスリートたちに伝える」ことを目的とし、すでに選考も始まっている。

広告の下にコンテンツが続きます

実際に参加者と面談も行い、「一人ひとり、志、信念をどこに持っているか意識して面談しました。志はこうじゃないといけない、ではなくて、一人ひとりが持っている意思や目標の強さを見ていたのですが、どの子もその部分は強かったので差はなかったです」。

参加者を含めて若きアスリートたちに向けて「大好きなことをするには苦しみもある。人それぞれ苦しいこともあると思いますが、(陸上競技が)大好きという気持ちを忘れず、苦しみと真摯に向き合って、『成長したきっかけが陸上だった』と思ってほしい」と思いを話した。

来季に向けて「すでにスピード練習も再開しています」。12月上旬にも準備が整えばレースにも出場する可能性を示唆した。年明けには都道府県女子駅伝を予定しており、その後はみたびケニア合宿へ。室内レースを経て屋外シーズンインを見込んでいる。

パリ五輪では「1500mと5000mで入賞以上」が目標。「今年の取り組みをより膨らませるようにしたい。パリ五輪で実ったら一番いいなと思っています。レースで『実戦力』を上げていきたい」と語った。

女子1500m・5000m日本記録保持者の田中希実(New Balance)が11月12日、東京・渋谷区の公道で行われた北渋RunRunフェスタに参加後、活動報告会を開いて報道陣の取材に応えた。 この日はイベントで北渋マイルのスターターを務めたあと、自身が次世代アスリートをサポートする「NON STOP PROJECT」の選考の一つとして、New Balanceプレゼンツ「NOZOMIRAI MILE」で参加ランナーたちと疾走した。 田中は今年のブダペスト世界選手権5000mで日本記録を樹立し、決勝では日本勢26年ぶり入賞となる8位。ダイヤモンドリーグ(DL)ブリュッセルでは5000mで14分29秒18と日本記録を更新すると、DLファイナルでも6位に食い込んだ。10月21日のミドルディスタンスサーキットでシーズンを一区切りし、11月はオフに充てている。 今シーズンを振り返り、「怒濤のような1年。いいときもあったし、悪いときもあった。すごく長くも感じるし、短かったとも感じる」と言い、「充実した1年だったのは確かで、その裏で苦しんだ時間も多かった。プロとしての厳しさ、人間として『生きる』ということを考えさせられた1年で、学びが多かったです」と語る。 印象に残ったレースにはブダペスト世界選手権5000m予選を挙げ、「心と体が一致したというレース。(周囲の人に)希実らしいなと思ってもらえたのではないか」と理由を明かす。 今年6月に次世代アスリートたちに向けたプロジェクト「NON STOP PROJECT」を発足。「私が今まで経験してきたこと、考えてきたことを、次世代のアスリートたちに伝える」ことを目的とし、すでに選考も始まっている。 実際に参加者と面談も行い、「一人ひとり、志、信念をどこに持っているか意識して面談しました。志はこうじゃないといけない、ではなくて、一人ひとりが持っている意思や目標の強さを見ていたのですが、どの子もその部分は強かったので差はなかったです」。 参加者を含めて若きアスリートたちに向けて「大好きなことをするには苦しみもある。人それぞれ苦しいこともあると思いますが、(陸上競技が)大好きという気持ちを忘れず、苦しみと真摯に向き合って、『成長したきっかけが陸上だった』と思ってほしい」と思いを話した。 来季に向けて「すでにスピード練習も再開しています」。12月上旬にも準備が整えばレースにも出場する可能性を示唆した。年明けには都道府県女子駅伝を予定しており、その後はみたびケニア合宿へ。室内レースを経て屋外シーズンインを見込んでいる。 パリ五輪では「1500mと5000mで入賞以上」が目標。「今年の取り組みをより膨らませるようにしたい。パリ五輪で実ったら一番いいなと思っています。レースで『実戦力』を上げていきたい」と語った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top