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2023.10.07

連覇懸かる駒大を國學院大、中大、青学大らが追う 4年ぶり参戦のIVYリーグ選抜にも注目/出雲駅伝
連覇懸かる駒大を國學院大、中大、青学大らが追う 4年ぶり参戦のIVYリーグ選抜にも注目/出雲駅伝

2023年全日本大学駅伝で優勝候補に挙がる4校。左から青学大の佐藤一世、駒大の鈴木芽吹、國學院大の伊地知賢造、中大の吉居大和

第35回出雲全日本大学選抜駅伝は10月9日(月)、島根県出雲市の出雲大社正面鳥居前をスタート、出雲ドーム前にフィニッシュする6区間45.1kmで行われる。

学生三大駅伝初戦として大きな注目を集める同大会。昨年は2区で首位に立った駒大が逃げ切り、9年ぶりに頂点に立った。今回はどの大学が制するのか。すでに発表されている各チームのエントリー選手の情報をもとに、優勝争いの展望と見どころを紹介する。

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駒大、國學院大、中大、青学大の前回上位4校が軸

まず優勝争いのゆくえから展望していく。

前回覇者の駒大はVメンバーの花尾恭輔、安原太陽、鈴木芽吹(以上4年)、佐藤圭汰(2年)が今年もエントリー。そこにハーフマラソン日本人学生記録(1時間0分13秒)保持者の篠原倖太朗(3年)や関東インカレ2部ハーフマラソン優勝の赤星雄斗(4年)、昨年度の全日本大学駅伝4区区間賞の山川拓馬(2年)、同箱根駅伝6区区間賞の伊藤蒼唯(2年)らが名を連ねる。

鈴木は今年7月に5000mで13分24秒55の自己ベスト。夏合宿も順調に消化し、順当なら昨年区間賞を獲得した最長区間の6区(10.2km)を担いそう。前半区間は5000mでチーム最速の13分22秒99を持つ佐藤、10000mでも日本学生個人選手権優勝経験を持つ篠原の起用が予想されるが、佐藤は10月4日のアジア大会5000mを走ったばかりで、疲労具合によっては欠場も考えられる。

とはいえ、前回1区2位の花尾や同5区区間賞の安原、夏合宿を順調にこなせている伊藤、山川らもおり、誰が抜けてもカバーできるだけの選手層ができあがりつつある。

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國學院大は前回2区、3区、6区を担った山本歩夢、平林清澄(ともに3年)、伊地知賢造(4年)が3本柱を形成する。平林は今季10000mで27分55秒15、山本は28分16秒92と大幅に自己記録を更新し、夏場も好調を維持している。他にも昨年全日本5区区間賞の青木瑠郁や上原琉翔(ともに2年)も28分30秒台の自己ベストを持ち、昨年よりもパワーアップを遂げた印象だ。

チームは「表彰台(3位以内)」を目標にしているものの、その心の内には2019年以来となる4年ぶり頂点も視野に入っている。

前回3位の中大は吉居大和、中野翔太(ともに4年)、吉居駿恭(2年)の3人がチームを牽引する。吉居兄弟の兄・大和は学生駅伝4大会連続区間賞獲得中の絶対的エース。弟・駿恭は9月末に5000mでチームトップとなる13分22秒01を叩き出し、10000mで大学記録(28分00秒58)を持つ中野は箱根駅伝3区区間賞の実績を持つなどロード適性もピカイチだ。

前回大会は1区で吉居大が区間トップの走りで主導権を握ると、2区以降は常に3位以内をキープ。4区の阿部陽樹(現3年)、5区の溜池一太(現2年)もそれぞれ区間3位、2位と好走した。今季はそこに成長著しい吉中祐太(2年)や浦田優斗(3年)が加わりそうで、こちらも昨年度以上にチーム力は底上げされている。

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青学大は9月の絆記録挑戦会5000mで好タイムが続出。山内健登(4年)の13分35秒04を筆頭に、佐藤一世(4年)、黒田朝日(2年)、鳥井健太(1年)、野村昭夢(3年)、小原響(4年)が13分35~39秒台の自己ベストを叩き出した。さらにケガの影響でこれまで駅伝未出走の鶴川正也(3年)が関東インカレ2部5000mで3位(日本人トップ)をはじめ今季好調を維持。9月時点でケガ人がほとんどいない状態で、チーム全体として勢いに乗っている。

昨年出走した志貴勇斗(4年)と田中悠登(3年)はエントリーから外れており、出雲駅伝経験者は2年前に走った佐藤と若林宏樹(3年)のみ。フレッシュなメンバー構成となりそうだ。

上記4校が優勝を争う展開になりそうだが、序盤はスピードランナーを多くそろえる駒大と中大が先行する流れになりそう。青学大は絶好調の鶴川を序盤に配置して勢いに乗れば、分厚い選手層を武器に中盤以降も先頭争いが見込める。國學院大はアンカー起用が濃厚な伊地知を生かすためにも、5区終了時で先頭との差を少しでも縮めておきたいところだ。

第35回出雲全日本大学選抜駅伝は10月9日(月)、島根県出雲市の出雲大社正面鳥居前をスタート、出雲ドーム前にフィニッシュする6区間45.1kmで行われる。 学生三大駅伝初戦として大きな注目を集める同大会。昨年は2区で首位に立った駒大が逃げ切り、9年ぶりに頂点に立った。今回はどの大学が制するのか。すでに発表されている各チームのエントリー選手の情報をもとに、優勝争いの展望と見どころを紹介する。

駒大、國學院大、中大、青学大の前回上位4校が軸

まず優勝争いのゆくえから展望していく。 前回覇者の駒大はVメンバーの花尾恭輔、安原太陽、鈴木芽吹(以上4年)、佐藤圭汰(2年)が今年もエントリー。そこにハーフマラソン日本人学生記録(1時間0分13秒)保持者の篠原倖太朗(3年)や関東インカレ2部ハーフマラソン優勝の赤星雄斗(4年)、昨年度の全日本大学駅伝4区区間賞の山川拓馬(2年)、同箱根駅伝6区区間賞の伊藤蒼唯(2年)らが名を連ねる。 鈴木は今年7月に5000mで13分24秒55の自己ベスト。夏合宿も順調に消化し、順当なら昨年区間賞を獲得した最長区間の6区(10.2km)を担いそう。前半区間は5000mでチーム最速の13分22秒99を持つ佐藤、10000mでも日本学生個人選手権優勝経験を持つ篠原の起用が予想されるが、佐藤は10月4日のアジア大会5000mを走ったばかりで、疲労具合によっては欠場も考えられる。 とはいえ、前回1区2位の花尾や同5区区間賞の安原、夏合宿を順調にこなせている伊藤、山川らもおり、誰が抜けてもカバーできるだけの選手層ができあがりつつある。 國學院大は前回2区、3区、6区を担った山本歩夢、平林清澄(ともに3年)、伊地知賢造(4年)が3本柱を形成する。平林は今季10000mで27分55秒15、山本は28分16秒92と大幅に自己記録を更新し、夏場も好調を維持している。他にも昨年全日本5区区間賞の青木瑠郁や上原琉翔(ともに2年)も28分30秒台の自己ベストを持ち、昨年よりもパワーアップを遂げた印象だ。 チームは「表彰台(3位以内)」を目標にしているものの、その心の内には2019年以来となる4年ぶり頂点も視野に入っている。 前回3位の中大は吉居大和、中野翔太(ともに4年)、吉居駿恭(2年)の3人がチームを牽引する。吉居兄弟の兄・大和は学生駅伝4大会連続区間賞獲得中の絶対的エース。弟・駿恭は9月末に5000mでチームトップとなる13分22秒01を叩き出し、10000mで大学記録(28分00秒58)を持つ中野は箱根駅伝3区区間賞の実績を持つなどロード適性もピカイチだ。 前回大会は1区で吉居大が区間トップの走りで主導権を握ると、2区以降は常に3位以内をキープ。4区の阿部陽樹(現3年)、5区の溜池一太(現2年)もそれぞれ区間3位、2位と好走した。今季はそこに成長著しい吉中祐太(2年)や浦田優斗(3年)が加わりそうで、こちらも昨年度以上にチーム力は底上げされている。 青学大は9月の絆記録挑戦会5000mで好タイムが続出。山内健登(4年)の13分35秒04を筆頭に、佐藤一世(4年)、黒田朝日(2年)、鳥井健太(1年)、野村昭夢(3年)、小原響(4年)が13分35~39秒台の自己ベストを叩き出した。さらにケガの影響でこれまで駅伝未出走の鶴川正也(3年)が関東インカレ2部5000mで3位(日本人トップ)をはじめ今季好調を維持。9月時点でケガ人がほとんどいない状態で、チーム全体として勢いに乗っている。 昨年出走した志貴勇斗(4年)と田中悠登(3年)はエントリーから外れており、出雲駅伝経験者は2年前に走った佐藤と若林宏樹(3年)のみ。フレッシュなメンバー構成となりそうだ。 上記4校が優勝を争う展開になりそうだが、序盤はスピードランナーを多くそろえる駒大と中大が先行する流れになりそう。青学大は絶好調の鶴川を序盤に配置して勢いに乗れば、分厚い選手層を武器に中盤以降も先頭争いが見込める。國學院大はアンカー起用が濃厚な伊地知を生かすためにも、5区終了時で先頭との差を少しでも縮めておきたいところだ。

4年ぶり参戦のアイビーリーグ選抜は過去最強布陣

前回5位の順大は、3000m障害でブダペスト世界選手権6位入賞の絶対的エース・三浦龍司(4年)の存在が武器。ただし、9月中旬までダイヤモンドリーグなど世界を転戦していた疲労を考慮し、状態によっては起用を見送るプランもあるという。 三浦が欠場する場合は5000mで高校記録(13分22秒99)を持つスーパールーキー・吉岡大翔が前半のエース区間である3区(8.5km)に入りそう。吉岡は全国高校駅伝や全国都道府県対抗駅伝で区間賞の常連であり、どんな展開でも力を発揮できることは証明済み。今季は環境の変化や連戦の疲労で本調子には至っていないものの、十分に他校のエース級と渡り合える力はある。 前回6位の創価大は「3位以上」がターゲット。留学生のリーキー・カミナ(3年)、スティーブン・ムチーニ(1年)のどちらかを起用できる強みがある。過去の大会ではすべて3区に留学生を起用してきており、今回も調子の良いほうを当てはめてくるだろう。日本人では9月の絆記録挑戦会で1年生の小池莉希が13分34秒82という好タイムを残して勢いがある。山森龍暁(4年)、吉田響、吉田凌(ともに3年)、石丸惇那、野沢悠真(ともに2年)ら実力者がそろい、上位進出も見込める。 2年ぶりの出場となる早大は「3位以内」を目標にしている。10000m27分台の石塚陽士(3年)、5000m13分35秒前後の自己ベストを持つ伊藤大志(3年)、山口智規(2年)、3000m障害で関東インカレ1部3連覇の菖蒲敦司(4年)、同10000m6位のルーキー・工藤慎作らが主力。花田勝彦駅伝監督は「今季はどこかで先頭に立ちたい」と話しており、終盤に軸となる選手を置きつつも、前半重視のオーダーで臨むかもしれない。 その他にも関東勢では法大、城西大、東洋大が出場。なかでも城西大は5年ぶりの出場となり、その時に残した過去最高順位「8位」がターゲットとなる。 関西勢では大経大、立命大、関大が関東勢に挑む。なかでも関大は10000mで関西学生記録を持つ亀田仁一路(4年)に注目が集まる。9月の日本インカレ5000mでも6位に入っており、打倒・関東への気持ちは人一倍強い。 また、今大会では4年ぶりにアイビーリーグ選抜が出場する。2011年と12年に8位となって以降は9位以下が続いていたものの、今回は10000mで27分17秒14を持つキーラン・トゥンティベイト(ハーバード大)や同27分45秒77のマシュー・プレイラ(ハーバード大)、5000m13分37秒21のケビン・ベリー(プリンストン大)ら過去最強布陣で来日している。26歳のトゥンティベイトはタイ国籍の選手で、5000mでは13分08秒41の室内アジア記録(22年)を持つ。今年も7月に屋外で13分15秒67をマークしている本格派だ。2005年1区のP.モリソン以来となる区間賞もあるかもしれない。 大会前日の8日に区間エントリーが発表される。当日変更が2名まで認められているため、各校の指揮官による区間戦略の駆け引きも見どころのひとつだ。また、一昨年は30度超えの暑さに、昨年は強風に選手は苦しめられた。今年は今のところ荒れることはなさそうだが、どんなコンディションでも強さを発揮するチームが栄光をつかむことになるだろう。 スタートは13時05分。フジテレビ系列で全国生放送が予定されている。

第35回出雲駅伝出場校一覧をチェック!

北海道学連選抜 北海道学連 32回目 東北学連選抜  東北学連  34回目 駒澤大学    関東学連  29回目 中央大学    関東学連  27回目 青山学院大学  関東学連  13回目 國學院大學   関東学連   6回目 順天堂大学   関東学連  26回目 早稲田大学   関東学連  28回目 法政大学    関東学連  16回目 創価大学    関東学連   3回目 城西大学    関東学連   5回目 東洋大学    関東学連  23回目 北信越学連選抜 北信越学連 34回目 皇學館大学   東海学連   5回目 大阪経済大学  関西学連   6回目 立命館大学   関西学連  20回目 関西大学    関西学連   8回目 広島経済大学  中国四国学連20回目 環太平洋大学  中国四国学連 3回目 第一工科大学  九州学連  25回目 アイビーリーグ選抜 米国  23回目

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