◇第19回アジア大会(9月29日~10月5日/中国・杭州)
中国・杭州で開催されている第19回アジア大会の陸上競技の2日目の午後セッションに男子10000mが行われ、田澤廉(トヨタ自動車)が4位、塩尻和也(富士通)が5位に入った。
スタート前に2人とチームスタッフ間で「誰もいかなかったら2人で交互に引っ張ろう」と話し合ったといい、その通り塩尻が先に前に出た。田澤は2000mでトップに立ち、5分45秒で通過した。
「2人で8000mまで引っ張るかたちになったのですが、できればバーレーンの選手に前に行ってほしかった」と田澤。何度か「手で(行って)とジェスチャーをした」と言うが、海外勢は順位だけにこだわったレースを展開した。
そうしたなか、「やってやろう」と思った矢先。残り3周を切ったところで転倒があり、塩尻が巻き込まれた。そこで一気にレースが動いた際に「自分の中で(動きが)崩れた」と田澤。メダル争いについたものの、「引っ張っていたぶん、体力を使ってしまって競り合う力が足りなかった」と悔しがった。
ここに向けて、「正直、本当に疲れていました」と田澤。今年は箱根駅伝から始まり、そこからはブダペスト世界選手権に向けた過酷な挑戦が始まった。
駒大卒業間近の3月に米国に渡りTheTENに出場して27分28秒04。さらにトヨタ自動車初戦となった5月のゴールデンゲームズinのべおか(27分51秒21)、すぐに英国に渡って27分40秒40と連戦した。7月のアジア選手権では脱水症状となるほど過酷な状況で金メダルを獲得。アジア王者として念願だったブダペストの舞台に立ち、15位と力走した。
「もともと、連戦がきくタイプではないので回避も考えましたが、出ると決めていたので、出るからには……というのがありました」
その気持ちの強さも田澤が成長してきた要因の一つ。「今年は過去にないくらい10000mを走ったので、休む期間がなかった」。それでも、今年12月10日には、もう一つの大一番となる、パリ五輪選考会の日本選手権10000mが控える。参加標準記録27分00秒00を突破して優勝すれば代表に内定。「そこまでは気を張っていかないといけない。日本選手権で記録を狙っていきたいので切り替えていきたい」。
常に世界で戦うことを意識してきた田澤。厳しい道のりは承知の上で、その歩みを止めることはない。
転倒に巻き込まれた塩尻は6位で入選したのち、転倒した選手が失格により5位(28分35秒02)に繰り上がった。「アクシデントを含めて勝というところには足りていなかった」と話し、「他の国の選手に(ペースメーカーとして)使われてしまった」と振り返る。5000mについては「今のところ(転倒の)痛みはないので、5000mに出れば大事ではなかったということで」と話している。
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