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【展望】9/11日本インカレ、開幕!大学生たちの激闘新潟で

 9月11日から13日までの3日間、新潟県・デンカビッグスワンスタジアムで、「天皇賜盃第89回日本学生陸上競技対校選手権大会」(日本インカレ)が開催される。

 今年はコロナ禍によって、4月以降の競技会がほとんど中止に。例年、学生たちは春の対校戦や記録会でシーズンが開幕し、5月には各地区インカレが行われるが、それも実施されなかった。

 溜まりに溜まったフラストレーションを爆発させる舞台が、ようやく訪れる。今大会は無観客ながらライブ配信される予定。みどころをチェックしていこう。

【男子】
次世代担うスプリンターがそろう
橋岡、江島ら代表選手に注目


 今季、短距離で好調ぶりを見せているのが水久保漱至(城西大4)だ。100m10秒26、200m20秒65と2種目で自己新をマーク。これまでケガに泣かされることもあったが、4年目で力を発揮してきた。昨年まで関東インカレ100m連覇の宮本大輔(東洋大3)はまだ仕上げの段階。昨年は故障で秋シーズンを見送っているだけに、初優勝をもくろむ。

 200mでは大東大の安田圭吾(大東大3)も注目。8月末の福井で20秒61をマークしている。特筆すべきは近大勢。200mで関西学生新の20秒65を出した笠谷洸貴(4年)、福井で安田と競り合った上山紘輝(3年)らで旋風を巻き起こすか。400mは、前回優勝の伊東利来也(早大4年)が最有力で、3年の井本佳伸(東海大3年)や井上大地(日大)といった“大器”が爆発の予感を漂わせている。

 中距離は下級生が強い。800mはゴールデングランプリ(GGP)で競り合った金子魅玖斗(中大)と松本純弥(法大2年)、1500mにはU20日本歴代2位を持つ昨年優勝の飯澤千翔(東海大)が優勝候補に挙がる。

 110mハードルは、泉谷駿介(順大3年)がケガのためGGPなどの出場を見送っている。泉谷の後輩であるルーキーの村竹ラシッドが注目株。今季はU20日本歴代2位の13秒65まで記録を短縮している。ここに、東海大4年の河嶋亮太、昨年優勝者の森戸信陽(早大3年)、スピードが武器の樋口陸人(法大)らで競り合いになりそう。

 長距離は学生駅伝を彩る留学生と強豪校のエース格が激突。注目は中大スーパールーキーの吉居大和や駒大のエース・田澤廉(2年)、3000m障害で学生記録を作った三浦龍司(順大1年)あたり。男子10000m競歩には、池田向希、川野将虎という東洋大4年の2人が出場予定。すでに東京五輪代表に決まっている世界クラスのウォーカーの最後の日本インカレに注目したい。

 跳躍では、何と言っても走幅跳の橋岡優輝と江島雅紀の日大コンビは見逃せない。橋岡は昨年のドーハ世界選手権入賞、ユニバーシアード金メダル、日本選手権3連覇中と絶対的な強さを誇る。2年ぶり日本一なるか。江島も昨年は日本選手権を制してドーハ世界選手権代表に。記録も5m71を跳んでいる。昨年は念願の優勝を果たし、連覇をもくろんでいる。

 三段跳では、昨年の日本インカレで16m34のU20日本記録を跳んでルーキーVを果たした伊藤陸(近大高専5年)に注目。早生まれのため、さらなる記録更新の可能性も。順大主将の竹之内優汰(4年)も負けてはいられない。

 昨年、砲丸投・円盤投で13年ぶりの2冠となった幸長慎一(四国大院院1年)が今年も最有力。そのほか、投てき陣は大学院生がやはり力を持っている。

 十種競技には丸山優真(日大4年)がエントリー。背中のケガから復帰戦を迎える。さらに田上駿(順大院1年)らと競り合いとなれば勝負の面で非常におもしろい展開になりそうだ。

【女子】
齋藤、スプリント4冠なるか
ハードル、跳躍などで“新記録”の予感


 100mと200mは齋藤愛美(大阪成蹊大3年)が最有力。今シーズンは100mで高校時代のベストに迫る11秒58をマークした。200mと両リレーで昨年3冠を達成しており、4冠なるか。対するはGGPで快走した兒玉芽生(福岡大)。同期対決に加え、立命大2年の壹岐あいこや、強力ルーキーたちが先輩に襲いかかる。

 800mは川田朱夏(東大阪大3年)と塩見綾乃(立命大3年)の長く続くライバル対決は見応えあり。日本インカレは塩見が1年時から連覇中で、3連覇となれば陣内綾子以来、12年ぶりとなる。長距離は駅伝で強さを発揮する名城大に勢いがある。

 注目はハードル。100mハードルでは、学生記録にあと0.03秒に迫る田中佑美(立命大4年)が集大成となる最後の日本インカレで大会連覇と学生新記録を狙う。400mハードルは早大勢が強い。学生で競技引退を明言している小山佳奈(4年)、56秒台を出すなど好調の関本萌香(3年)、ルーキーの津川瑠衣がランキングでも上位を独占。表彰台を臙脂色に染められるか。

 棒高跳では、室内で4m30の学生記録を樹立した諸田実咲(中大4年)や、U20日本記録を持つ田中伶奈(香川大2年)、昨年優勝の若園茜(筑波大院2年)などで競り合いになれば、屋外での学生記録更新が見られるかもしれない。記録面での注目は走幅跳でも。高良彩花(筑波大2年)はU20日本タイ記録6m44を持つが、単独で記録保持者になるには今年がラストチャンス。土壇場に強い高良がどんなジャンプを見せるか注目したい。

 円盤投は、日本記録保持者の郡菜々佳(九州共立大院1年)とU20日本記録保持者の齋藤真希(東女体大2年)が激突する。やり投では昨年優勝の山下実花子(九州共立大院1年)が60m大台突破に近づいている。

 七種競技は大玉華鈴(日体大)が、昨年は大会記録にあと25点と迫って優勝。今季も走高跳で1m78を跳ぶなと力をつけている。大会記録で優勝なるか。高校時代に“最強”を誇った世代が最終学年。シュレスタまや(筑波大)、橋本春菜(同)、上田紗弥花(立命大)、奥村彩音(東京学芸大)らが意地を見せるか。

***

 コロナ禍の中で、中高生の全国大会の中止が大きくニュースとなったが、学生たちにとっても事態は深刻だった。授業はリモートになり、グラウンド利用は未だに多くの制限もある。大学によっては「県外への競技会参加を許可せず」という措置をとっているとも聞く。

 特に4年生にとっては、今シーズンで競技を離れる選手がほとんどだろう。出場選手数も減少し、フィールド種目は予選2回・決勝2回の合計4回の試技や、走高跳・棒高跳では合計8回の試技に限るなど、決して「いつも通り」とはいかないが、これまで培ってきた日々の努力を発揮する最高の舞台となることを祈りたい。

文/向永拓史

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