HOME 国内、世界陸上、日本代表
田中希実14分37秒98衝撃の日本新で3大会連続決勝!!「100点満点を見ることができた」入賞目指し世界と対峙/世界陸上
田中希実14分37秒98衝撃の日本新で3大会連続決勝!!「100点満点を見ることができた」入賞目指し世界と対峙/世界陸上

日本新の田中希実は五輪女王ハッサン(右)や世界記録保持者のキピエゴン(左)とともにレースを進めた

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)5日目

ブダペスト世界陸上5日目のアフタヌーンセッションが行われ、女子5000m予選で田中希実(New Balance)が衝撃のパフォーマンスを披露。これまでの日本記録(14分52秒84/廣中璃梨佳)を15秒近く更新する14分37秒98という特大の日本新を樹立し、組6着で8位以内に入って決勝進出を決めた。

「思いがけないペースメーカーになりました」と笑顔を見せる田中。同じく1500mに出場したシファン・ハッサン(オランダ)が飛び出すなか、「1500mもあったので急激なことはしないだろうという希望があった」と迷いなくついた。

広告の下にコンテンツが続きます

最後は苦しくなったが、「走っていてもラスト1000mで失速して3分10秒かかっても日本記録は出ると思いましたが、着(決勝進出)が取れない日本記録はうれしくない。順位を落とさないように意識しました」。田中らしい意地だった。

14分40秒切りについては「初めて世界選手権に出て(19年ドーハ)15分を切れるかどうかだった時に、『来年は14分台、14分40秒台』と思っていました。理想値ばかり上がってかけ離れていたのが、やっと合致しました」と目指していたところでもあった。

「展開的にまだ世界と戦えるとは思っていないですが」と冷静に振り返りつつ、「タイムとしての実力は今の100点満点を見せられたし、自分でも見ることができました」と胸を張った。

決勝進出へ強い気持ちを懸けてきた1500mで準決勝敗退。「なかなか切り替えられなかった」。この苦しみは「誰もが通る道」とわかりつつも、なかなか消化できず。父である田中健智コーチともぶつかった。「1人で戦っているのではないのですが、力の借り方がへたで、誰に対しても傷つける言動をしてしまう。支え合いだけではない、苦しみ抜いた数日でした」と心境を吐露する。

それでも父、そして周囲のスタッフの支えが温かく、「一緒に苦しみ抜いてくださった方々がいたからスタートラインに立てたし、最後まで走り切れました」と感謝。その上で、「人として成長して、自分だけでも大丈夫だと言えるようになりたい」。それもまた、この5000mで見せた大きな成長だった。

これでドーハ、オレゴンに続いて3大会連続の決勝。「入賞がないので狙っていきたい」。1500mの挫折、そこから這い上がって日本新を出した5000m。来年のパリ五輪の参加標準記録(14分52秒00)も突破し、たった数日でひと回りも、ふた回りも大きくなった田中は、「負けてもいいチャレンジという気持ち」で全力で世界と対峙する。

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)5日目 ブダペスト世界陸上5日目のアフタヌーンセッションが行われ、女子5000m予選で田中希実(New Balance)が衝撃のパフォーマンスを披露。これまでの日本記録(14分52秒84/廣中璃梨佳)を15秒近く更新する14分37秒98という特大の日本新を樹立し、組6着で8位以内に入って決勝進出を決めた。 「思いがけないペースメーカーになりました」と笑顔を見せる田中。同じく1500mに出場したシファン・ハッサン(オランダ)が飛び出すなか、「1500mもあったので急激なことはしないだろうという希望があった」と迷いなくついた。 最後は苦しくなったが、「走っていてもラスト1000mで失速して3分10秒かかっても日本記録は出ると思いましたが、着(決勝進出)が取れない日本記録はうれしくない。順位を落とさないように意識しました」。田中らしい意地だった。 14分40秒切りについては「初めて世界選手権に出て(19年ドーハ)15分を切れるかどうかだった時に、『来年は14分台、14分40秒台』と思っていました。理想値ばかり上がってかけ離れていたのが、やっと合致しました」と目指していたところでもあった。 「展開的にまだ世界と戦えるとは思っていないですが」と冷静に振り返りつつ、「タイムとしての実力は今の100点満点を見せられたし、自分でも見ることができました」と胸を張った。 決勝進出へ強い気持ちを懸けてきた1500mで準決勝敗退。「なかなか切り替えられなかった」。この苦しみは「誰もが通る道」とわかりつつも、なかなか消化できず。父である田中健智コーチともぶつかった。「1人で戦っているのではないのですが、力の借り方がへたで、誰に対しても傷つける言動をしてしまう。支え合いだけではない、苦しみ抜いた数日でした」と心境を吐露する。 それでも父、そして周囲のスタッフの支えが温かく、「一緒に苦しみ抜いてくださった方々がいたからスタートラインに立てたし、最後まで走り切れました」と感謝。その上で、「人として成長して、自分だけでも大丈夫だと言えるようになりたい」。それもまた、この5000mで見せた大きな成長だった。 これでドーハ、オレゴンに続いて3大会連続の決勝。「入賞がないので狙っていきたい」。1500mの挫折、そこから這い上がって日本新を出した5000m。来年のパリ五輪の参加標準記録(14分52秒00)も突破し、たった数日でひと回りも、ふた回りも大きくなった田中は、「負けてもいいチャレンジという気持ち」で全力で世界と対峙する。

【動画】5000m衝撃レース!田中希実の自己ベストや5000m日本歴代10傑もチェック!

●田中希実の自己ベスト 800m 2.02.36=日本歴代5位 1000m 2.37.33=日本記録 1500m 3.59.19=日本記録 3000m 8.40.84=日本記録 5000m 14.53.60=日本記録 10000m 31分59秒89 ●女子50000m日本歴代10傑 14.37.98 田中 希実(New Balance)    2023. 8.23 14.52.84 廣中璃梨佳(日本郵政グループ) 2021. 8. 2 14.53.22 福士加代子(ワコール)     2005. 7. 8 14.55.83 新谷 仁美(積水化学)     2020. 9.20 14.59.36 萩谷  楓(エディオン)    2021. 9.26 15.02.48 木村 友香(資生堂)      2021.12.10 15.03.67 弘山 晴美(資生堂)      1998. 8. 5 15.05.37 小林祐梨子(豊田自動織機)   2008.10.18 15.06.07 赤羽有紀子(ホクレン)     2008. 7.13 15.06.66 一山 麻緒(ワコール)     2020. 7.18

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.07

メモリードが実業団陸上部の活動終了を発表 今後は個人アスリート支援へ

11月7日、実業団のメモリードは、27年3月をもって実業団陸上部としての活動を終了すると発表した。今後は「チーム単位での支援」から「個人アスリート支援」へと方針を転換し、陸上競技に限らず幅広いスポーツ分野の選手を対象に支 […]

NEWS 110mH学生世界一の阿部竜希がエターナルホスピタリティG内定!「勇往邁進の精神で」棒高跳・柄澤、短距離・木梨もアスナビ就職

2025.11.07

110mH学生世界一の阿部竜希がエターナルホスピタリティG内定!「勇往邁進の精神で」棒高跳・柄澤、短距離・木梨もアスナビ就職

公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が実施するアスリート支援ナビゲーション「アスナビ」を活用し、陸上3選手の就職・内定が決まった。 男子110mハードルで13秒12(学生歴代3位、日本歴代4位)を持つ阿部竜希(順 […]

NEWS 日本陸連・有森裕子会長に岡山市市民栄誉賞「本市の名を高めることに特に顕著な功績」五輪2大会メダル

2025.11.07

日本陸連・有森裕子会長に岡山市市民栄誉賞「本市の名を高めることに特に顕著な功績」五輪2大会メダル

岡山市は11月7日、女子マラソンで五輪2大会連続メダリストの日本陸連・有森裕子会長に、岡山市市民栄誉賞を授与し同日授与式が執り行われた。 有森会長は岡山県岡山市出身の58歳。女子マラソンにおいて、1992年バルセロナ五輪 […]

NEWS 神奈川県高校駅伝で誤誘導により4校記録無効 嘆願書提出の三浦学苑が関東大会に異例のオープン参加 高体連が認める

2025.11.07

神奈川県高校駅伝で誤誘導により4校記録無効 嘆願書提出の三浦学苑が関東大会に異例のオープン参加 高体連が認める

11月3日の神奈川県高校駅伝(横浜市のフィールド小机・日産スタジアム付設ハーフマラソンコース)で誤誘導による4校が記録無効となり、記録無効となった4校のうち三浦学苑について、高体連が関東高校駅伝(11月22日/埼玉・熊谷 […]

NEWS 仙台育英男女2連覇 地区代表は男子・八戸学院光星10年ぶり都大路、女子・東北2年連続全国切符/東北高校駅伝

2025.11.07

仙台育英男女2連覇 地区代表は男子・八戸学院光星10年ぶり都大路、女子・東北2年連続全国切符/東北高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた東北高校駅伝は11月6日、秋田県立中央公園陸上競技場で行われ、男女ともに仙台育英(宮城)が優勝を果たした。県大会1位校を除いた最上位校に与えられる全国大会の地区代表は、男子は八戸学院光星(青森 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top