HOME 国内、日本代表

2025.05.29

廣中璃梨佳が激走!「自信にしたい」荒天再レース、暑さ何の自己3番目の30分56秒32で銀/アジア選手権
廣中璃梨佳が激走!「自信にしたい」荒天再レース、暑さ何の自己3番目の30分56秒32で銀/アジア選手権

25年アジア選手権女子10000mで銀メダルを獲得した廣中璃梨佳

◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ) 3日目

2年に一度開かれるアジア選手権の3日目が行われ、女子10000mは廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が30分56秒32で銀メダルを獲得した。

前日の18時20分にスタートしたこの種目。強烈な風が吹き、すぐに強い雨が降り始めた。「動きが良くなってきた。よし、ここから行くぞ」というタイミングだった5200mでまさかのレース中断。「ビックリしましたが、選手の安全を考えてくれたからこそ」の判断だと受け入れた。

広告の下にコンテンツが続きます

ただ、「思った以上に身体が冷えておなかが痛くなったりしました」。夜もなかなか寝られなかったという。それでも、「すぐに(翌朝)10時15分スタートと決めてくれたので、準備しました。朝のレースは新鮮で、ウォーミングアップ中も何時なんだろうって思っていました」と笑う。色々なアクシデントにも動じない強さは「社会人7年目で、ケガなどいろいろな経験を経たからこそ、ドンと構えられるようになりました」。

5200mを走り終えてから、16時間足らずでの10000mがスタート。前日とは打って変わって強い日差しが戻り、気温も上昇した。スタート直後から飛び出したのは「順位ばかり考えてスローになるのが嫌だったのと、世界選手権に向けて自信になるレースをしたかった」から。ただ、1600mからは一気にV.ジェプチュンバ(バーレーン)とD.ジェプケメイ(カザフスタン)が飛び出す。

「先頭のペース変動が前日もすごかったので、ついて消耗するよりは後半追いかけよう」。これまで、積極的なフロントランを持ち味としてきたが、「引き出しを増やせた」。6000mでジェプケメイとの差は縮まらないが、ジェプチュンバをかわして2位に浮上。「もう少しリラックスして肩の力を抜いて走れるといいのですが」と反省するも、ラストもしっかり切り替えて前を追いかけた。

広告の下にコンテンツが続きます

残り2000mで帽子を投げ、スパート態勢に。ラストはなかなか差が縮まらなかったが、2023年12月の日本選手権以来の30分台は、自己3番目。レース中断、翌日の再レース、高温という条件での激走に「久しぶりに出すことができてうれしい」と笑顔が弾けた。

東京五輪で5000m日本新(当時)、10000m7位入賞。そこから何度も日の丸を背負ったが、23年のアジア大会(中国・杭州)以来の日本代表。昨年は膝のケガが長引いてパリ五輪出場を逃した。ここまで長期間のケガは初めてだった。その間もできる限りのトレーニングをしただけでなく、いろいろなことにも挑戦。自分と向き合った。廣中は「いろいろな人が支えてくれた」と感謝の言葉を並べるが、支えたトレーナーは「彼女が強くなりたい、戻りたいという気持ちを持ち続けたからこそ」と話す。

今年は日本選手権10000mを31分13秒78で制すると、そこから5000m2連戦も15分19秒23(織田記念)、15分05秒69(ゴールデンゲームズ)と上げてきた。「スタミナは十分ついたのですが、まだスピードが足りない」。今回の結果で10000mでワールドランキングも大幅に上昇し、東京世界選手権の出場権獲得に大きく近づいた。7月上旬の5000mでも有力に挙がる。

「またこうして日本代表に戻って来られるようにしたいです」

完全復活を遂げた日本長距離のエース。再び国立競技場で輝く準備が整った。

◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ) 3日目 2年に一度開かれるアジア選手権の3日目が行われ、女子10000mは廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が30分56秒32で銀メダルを獲得した。 前日の18時20分にスタートしたこの種目。強烈な風が吹き、すぐに強い雨が降り始めた。「動きが良くなってきた。よし、ここから行くぞ」というタイミングだった5200mでまさかのレース中断。「ビックリしましたが、選手の安全を考えてくれたからこそ」の判断だと受け入れた。 ただ、「思った以上に身体が冷えておなかが痛くなったりしました」。夜もなかなか寝られなかったという。それでも、「すぐに(翌朝)10時15分スタートと決めてくれたので、準備しました。朝のレースは新鮮で、ウォーミングアップ中も何時なんだろうって思っていました」と笑う。色々なアクシデントにも動じない強さは「社会人7年目で、ケガなどいろいろな経験を経たからこそ、ドンと構えられるようになりました」。 5200mを走り終えてから、16時間足らずでの10000mがスタート。前日とは打って変わって強い日差しが戻り、気温も上昇した。スタート直後から飛び出したのは「順位ばかり考えてスローになるのが嫌だったのと、世界選手権に向けて自信になるレースをしたかった」から。ただ、1600mからは一気にV.ジェプチュンバ(バーレーン)とD.ジェプケメイ(カザフスタン)が飛び出す。 「先頭のペース変動が前日もすごかったので、ついて消耗するよりは後半追いかけよう」。これまで、積極的なフロントランを持ち味としてきたが、「引き出しを増やせた」。6000mでジェプケメイとの差は縮まらないが、ジェプチュンバをかわして2位に浮上。「もう少しリラックスして肩の力を抜いて走れるといいのですが」と反省するも、ラストもしっかり切り替えて前を追いかけた。 残り2000mで帽子を投げ、スパート態勢に。ラストはなかなか差が縮まらなかったが、2023年12月の日本選手権以来の30分台は、自己3番目。レース中断、翌日の再レース、高温という条件での激走に「久しぶりに出すことができてうれしい」と笑顔が弾けた。 東京五輪で5000m日本新(当時)、10000m7位入賞。そこから何度も日の丸を背負ったが、23年のアジア大会(中国・杭州)以来の日本代表。昨年は膝のケガが長引いてパリ五輪出場を逃した。ここまで長期間のケガは初めてだった。その間もできる限りのトレーニングをしただけでなく、いろいろなことにも挑戦。自分と向き合った。廣中は「いろいろな人が支えてくれた」と感謝の言葉を並べるが、支えたトレーナーは「彼女が強くなりたい、戻りたいという気持ちを持ち続けたからこそ」と話す。 今年は日本選手権10000mを31分13秒78で制すると、そこから5000m2連戦も15分19秒23(織田記念)、15分05秒69(ゴールデンゲームズ)と上げてきた。「スタミナは十分ついたのですが、まだスピードが足りない」。今回の結果で10000mでワールドランキングも大幅に上昇し、東京世界選手権の出場権獲得に大きく近づいた。7月上旬の5000mでも有力に挙がる。 「またこうして日本代表に戻って来られるようにしたいです」 完全復活を遂げた日本長距離のエース。再び国立競技場で輝く準備が整った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.18

髙城昊紀が110mHを大会新V!来季に向けて「ケガしないように冬季練習をしていきたい」/U18・16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)2日目 U18・U16大会の第2日目が行われ、U20規格で実施されたU18男子110mハードルは髙城昊紀(宮崎西高2宮崎)が […]

NEWS 女子は横手清陵学院が劇的逆転で悲願の初V!男子は秋田工が2時間9分01秒で2年ぶり全国へ/秋田県高校駅伝

2025.10.18

女子は横手清陵学院が劇的逆転で悲願の初V!男子は秋田工が2時間9分01秒で2年ぶり全国へ/秋田県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた秋田県高校駅伝が10月17日に、秋田市の県営陸上競技場周回コースで行われ、女子(5区間21.0975km)は横手清陵学院が1時間14分32秒で初優勝を飾り、初の全国出場を決めた。男子(7区間4 […]

NEWS 北口榛花 初のやり投教室「突き詰めたいなら努力するしか方法はない」中高生に熱血指導

2025.10.18

北口榛花 初のやり投教室「突き詰めたいなら努力するしか方法はない」中高生に熱血指導

女子やり投の北口榛花(JAL)が初めて自己プロデュースしたやり投に特化した陸上教室の「はるかなる教室 Supported by JAL」(主催:株式会社スポーツビズ、川崎とどろきパーク株式会社)が18日、神奈川県の等々力 […]

NEWS 前回Vユニクロは1区・後藤夢から攻撃的布陣、天満屋は3区・前田穂南、ダイハツ5区に松田瑞生/プリンセス駅伝

2025.10.18

前回Vユニクロは1区・後藤夢から攻撃的布陣、天満屋は3区・前田穂南、ダイハツ5区に松田瑞生/プリンセス駅伝

日本実業団連合は10月18日、第11回全日本実業団対抗女子駅伝予選会(プリンセス駅伝in宗像・福津/10月19日)の区間エントリーを発表した。 前回トップのユニクロは、1区にパリ五輪1500m代表の後藤夢、2区に2年前の […]

NEWS 100m菅野翔唯が今季全国締めくくる10秒39V!「来年は10秒1台を安定して出して10秒0台を」/U18・16大会

2025.10.18

100m菅野翔唯が今季全国締めくくる10秒39V!「来年は10秒1台を安定して出して10秒0台を」/U18・16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)2日目 U18・U16大会の第2日目が行われ、U18男子100mは菅野翔唯(東農大二高2群馬)が10秒39(+0.3)で制し […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top