HOME 国内

2023.02.06

「中途半端なところで終わってしまった」積極レースの太田智樹は日本歴代3位のタイムも納得せず /丸亀ハーフ
「中途半端なところで終わってしまった」積極レースの太田智樹は日本歴代3位のタイムも納得せず /丸亀ハーフ

23年丸亀ハーフで日本歴代3位となる1時間0分08秒で4位に入った太田智樹

スタート時の天候は快晴。気温は11.8度、東北東の風1.2m/sと、絶好のコンディションのなか、香川丸亀国際ハーフマラソンが3年ぶりに開催された。

「冬のレースで一番の目標がこのレースで日本記録を出すこと。ここに懸けてきた」

そう話す太田智樹(トヨタ自動車)は、3年前に小椋裕介(ヤクルト)がこの大会で樹立した日本記録(1時間0分00秒)を上回るハイペースを刻んだ。丸亀は初出場だが、あえてコースの下見はしなかったという。「何も知らない状態で臨み、いろいろとチャレンジしようと思っていた」と、世界歴代4位(57分59秒)の記録を持つアレクサンダー・ムティソ(ケニア/NDソフト)らのハイペースに果敢に挑んだ。

広告の下にコンテンツが続きます

「ムティソ選手が明らかに格上でハイペースで行くと予想していたので、ついていけるところまでついていこうという考えでした」と、5kmの通過は14分08秒、10kmは28分05秒と、5~10kmの5kmを13分台にまでペースアップしても、篠原倖太朗(駒大)、吉田礼志(中央学大)とともに食らいつく。

比較的平坦な高速コースで知られる丸亀ハーフだが、12kmから13kmにかけてはアップダウンがある。太田ら日本人勢がトップ集団に遅れをとったのは、アップダウンを越えた13km過ぎだった。

「後半きつくなってからどれだけ粘れるかを考えていたが、アップダウンで脚に余裕がなくなった。ラップタイムだけ見れば、正直付いていけないタイムではなかったと思うので、そこをついていれば、もう少し変わった展開が待っていたかなと思う」

広告の下にコンテンツが続きます

15kmの通過は42分18秒と、先頭集団からは12秒遅れた。それでも、この時点では小椋の日本記録より21秒も速かった。しかし、そこからペースダウン。20kmは56分55秒と小椋のスプリットタイムと同じに。日本記録更新はラスト1.0975kmの走りに懸かっていたが、惜しくも届かず。1時間0分08秒でレースを終えた。

「日本記録を出すか、大きく失速するか、どっちかにしたかったんですけど、中途半端なところで終わってしまった。あとちょっと頑張ればよかったという後悔がすごく残っています」と、目標の日本記録とはならず、太田は悔しさを露わにした。

それでも、日本歴代3位の好記録で、日本人トップの4位。ニューイヤー駅伝では3区で、東京五輪代表の大迫傑(Nike/GMOインターネットグループ)に競り勝つ勝負強さを見せており、その力強い走りを丸亀でも披露した。

「徐々に力は付いてきていると思うけど、苦しいところで一歩下がってしまった。あそこでもうちょっと前に行ければ記録更新もあった。まだまだ弱いので、改善しながら、さらに上を目指していきたい」

反省ばかりが口をついて出るのは、まだまだ成長できる実感があるからだろう。

今後は2月26日の大阪マラソンでペースメーカーを務めた後、トラックシーズンに移行していく。そして、今夏の世界選手権、来年のパリ五輪は10000mで代表をつかみにいく予定だ。

文/福本ケイヤ

スタート時の天候は快晴。気温は11.8度、東北東の風1.2m/sと、絶好のコンディションのなか、香川丸亀国際ハーフマラソンが3年ぶりに開催された。 「冬のレースで一番の目標がこのレースで日本記録を出すこと。ここに懸けてきた」 そう話す太田智樹(トヨタ自動車)は、3年前に小椋裕介(ヤクルト)がこの大会で樹立した日本記録(1時間0分00秒)を上回るハイペースを刻んだ。丸亀は初出場だが、あえてコースの下見はしなかったという。「何も知らない状態で臨み、いろいろとチャレンジしようと思っていた」と、世界歴代4位(57分59秒)の記録を持つアレクサンダー・ムティソ(ケニア/NDソフト)らのハイペースに果敢に挑んだ。 「ムティソ選手が明らかに格上でハイペースで行くと予想していたので、ついていけるところまでついていこうという考えでした」と、5kmの通過は14分08秒、10kmは28分05秒と、5~10kmの5kmを13分台にまでペースアップしても、篠原倖太朗(駒大)、吉田礼志(中央学大)とともに食らいつく。 比較的平坦な高速コースで知られる丸亀ハーフだが、12kmから13kmにかけてはアップダウンがある。太田ら日本人勢がトップ集団に遅れをとったのは、アップダウンを越えた13km過ぎだった。 「後半きつくなってからどれだけ粘れるかを考えていたが、アップダウンで脚に余裕がなくなった。ラップタイムだけ見れば、正直付いていけないタイムではなかったと思うので、そこをついていれば、もう少し変わった展開が待っていたかなと思う」 15kmの通過は42分18秒と、先頭集団からは12秒遅れた。それでも、この時点では小椋の日本記録より21秒も速かった。しかし、そこからペースダウン。20kmは56分55秒と小椋のスプリットタイムと同じに。日本記録更新はラスト1.0975kmの走りに懸かっていたが、惜しくも届かず。1時間0分08秒でレースを終えた。 「日本記録を出すか、大きく失速するか、どっちかにしたかったんですけど、中途半端なところで終わってしまった。あとちょっと頑張ればよかったという後悔がすごく残っています」と、目標の日本記録とはならず、太田は悔しさを露わにした。 それでも、日本歴代3位の好記録で、日本人トップの4位。ニューイヤー駅伝では3区で、東京五輪代表の大迫傑(Nike/GMOインターネットグループ)に競り勝つ勝負強さを見せており、その力強い走りを丸亀でも披露した。 「徐々に力は付いてきていると思うけど、苦しいところで一歩下がってしまった。あそこでもうちょっと前に行ければ記録更新もあった。まだまだ弱いので、改善しながら、さらに上を目指していきたい」 反省ばかりが口をついて出るのは、まだまだ成長できる実感があるからだろう。 今後は2月26日の大阪マラソンでペースメーカーを務めた後、トラックシーズンに移行していく。そして、今夏の世界選手権、来年のパリ五輪は10000mで代表をつかみにいく予定だ。 文/福本ケイヤ

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.18

400m・中島佑気ジョセフ「たくさんの人に力をもらった」高野超え6位入賞で「見えた景色」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝で中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒62をマークして6位入賞を果たした。 1991年東京大会の高野 […]

NEWS 鵜澤飛羽200mファイナル届かず「全力は出した。それでダメなら負けを認めるしかない」/東京世界陸上

2025.09.18

鵜澤飛羽200mファイナル届かず「全力は出した。それでダメなら負けを認めるしかない」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子200m準決勝1組に出場した鵜澤飛羽(JAL)は20秒23(-0.1)の6着。2003年パリ大会の末續慎吾、2 […]

NEWS マクローリン・レヴロン47秒78!!降りしきる雨のなか女子400m世界歴代2位、大会新の激走/東京世界陸上

2025.09.18

マクローリン・レヴロン47秒78!!降りしきる雨のなか女子400m世界歴代2位、大会新の激走/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、女子400mはシドニー・マクローリン・レヴロン(米国)が世界歴代2位、大会新の47秒78でこの種目初優勝を飾った。 […]

NEWS 中島佑気ジョセフ400m6位 3レース連続の44秒台で日本選手過去最高位/東京世界陸上

2025.09.18

中島佑気ジョセフ400m6位 3レース連続の44秒台で日本選手過去最高位/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝に出場した中島佑気ジョセフ(富士通)は44秒62で6位となり、1991年東京大会で高野進が7位だっ […]

NEWS 中島佑気ジョセフ400m44秒62 高野進を超える歴史的6位入賞を果たす/東京世界陸上

2025.09.18

中島佑気ジョセフ400m44秒62 高野進を超える歴史的6位入賞を果たす/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝1組の中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒62で6位に入った。 日本人選手が世界陸上で決勝を走ったの […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top