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2022.12.21

箱根駅伝Stories/国士大のエース綱島辰弥 前回9区の快走で覚悟「自分がチームを引っ張っていく」
箱根駅伝Stories/国士大のエース綱島辰弥 前回9区の快走で覚悟「自分がチームを引っ張っていく」

国士大のエース綱島辰弥

箱根駅伝Stories

新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。

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前回の箱根駅伝9区区間6位の快走で脚光を浴びたのが国士大の綱島辰弥(4年)。今年は5000m、10000mの両方で自己ベストを更新するなど好調を維持してきた。最後の箱根駅伝で綱島がイメージしているのは、尊敬する先輩の力走だ。

吹奏楽部を断念して陸上部へ

快走の予感はあった。

3年生だった前回の箱根駅伝、綱島辰弥は9区を区間6位、国士大の区間記録となる1時間9分09秒で駆け抜けた。あの走りをこう振り返る。

「12月末の練習で、5kmの単独走3本を設定タイムより速いタイムを出すことができました。すごく感触が良かったんです。実際のレースでも、前半のアップダウンが終わってからの平地でも余裕がありました。『今日はいける日だな』と思いましたが、後半もまさかここまで粘れるとは思わなかったです」

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その日走りは、100点満点で言うと「200点です」と笑顔で答えていた。

神奈川県横浜市出身。子供の頃から箱根を夢見て走り始めた……というタイプではない。実は音楽が好きでピアノを習っていたほど。藤の木中に入学した時には吹奏楽部に入部するつもりだった。

「吹奏楽部の同期が自分以外は全員女の子だったんので入部をやめました」。入学後のスポーツテストで50mのタイムが良かったことから陸上部に入った。

県大会レベルだったものの、走ることがどんどん好きになった綱島。湘南学院高へ進学したのは「高校ではもっと部員が多いところで楽しくやりたかった」からだった。3000m障害に挑戦すると、関東高校新人で4位など少しずつ力をつけていく。

「自分も箱根を走りたい」と強く思ったのは1年目で5、6区のサポートに回ってから。2年目の本戦デビューは10区区間16位で、前回の快走でチームのエース格になった。

次ページ 1区を走るつもりで準備

箱根駅伝Stories 新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。 前回の箱根駅伝9区区間6位の快走で脚光を浴びたのが国士大の綱島辰弥(4年)。今年は5000m、10000mの両方で自己ベストを更新するなど好調を維持してきた。最後の箱根駅伝で綱島がイメージしているのは、尊敬する先輩の力走だ。

吹奏楽部を断念して陸上部へ

快走の予感はあった。 3年生だった前回の箱根駅伝、綱島辰弥は9区を区間6位、国士大の区間記録となる1時間9分09秒で駆け抜けた。あの走りをこう振り返る。 「12月末の練習で、5kmの単独走3本を設定タイムより速いタイムを出すことができました。すごく感触が良かったんです。実際のレースでも、前半のアップダウンが終わってからの平地でも余裕がありました。『今日はいける日だな』と思いましたが、後半もまさかここまで粘れるとは思わなかったです」 その日走りは、100点満点で言うと「200点です」と笑顔で答えていた。 神奈川県横浜市出身。子供の頃から箱根を夢見て走り始めた……というタイプではない。実は音楽が好きでピアノを習っていたほど。藤の木中に入学した時には吹奏楽部に入部するつもりだった。 「吹奏楽部の同期が自分以外は全員女の子だったんので入部をやめました」。入学後のスポーツテストで50mのタイムが良かったことから陸上部に入った。 県大会レベルだったものの、走ることがどんどん好きになった綱島。湘南学院高へ進学したのは「高校ではもっと部員が多いところで楽しくやりたかった」からだった。3000m障害に挑戦すると、関東高校新人で4位など少しずつ力をつけていく。 「自分も箱根を走りたい」と強く思ったのは1年目で5、6区のサポートに回ってから。2年目の本戦デビューは10区区間16位で、前回の快走でチームのエース格になった。 次ページ 1区を走るつもりで準備

1区を走るつもりで準備

今季は7月の記録会5000mで13分55秒76と自己ベストを更新。11月20日の学連10000m記録挑戦競技会では28分45秒21と、ついに28分台へ突入した。 今回は「1区を走るつもりで夏から準備してきました」。各大学のエース級のランナーたちと戦う覚悟はできている。 目に焼きついているのは尊敬する先輩の姿。前回の1区で木榑杏祐(現・埼玉医科大グループ)が高速レースで粘り強く第2集団に食らいつき、トップと1分23秒差の10位で2区のライモイ・ヴィンセント(現・スズキ)へタスキをつないだ。 「前回の箱根では、木榑さんの走りから力をもらえた感じがして、自分もやってやろうという気持ちになったんです。今度は自分がそういう走りを見せて、他の9人のメンバーにいい流れを作りたい」 [caption id="attachment_89346" align="alignnone" width="800"] 綱島は前回の箱根駅伝で9区区間6位と力走[/caption] その木榑も高校時代は5000m15分台の選手だったが、大学4年間で努力を積み重ねた。小川博之監督は「大学で強くなる選手が多いのが国士大」と言う。木榑も、綱島も、「見本になるような選手」(小川監督)だ。 前回の快走で、大きな自信を手に入れたと同時に、背負うものも大きくなった。「4年生になって、エースとして自分がチームを引っ張っていくんだという気持ちになりました。最後の箱根駅伝には特別な思いがあります。後輩たちのためにシード権を取りたい」。 レース前は大好きなK-POPを聴いて気持ちを高めるのがルーティン。今回も、一番お気に入りのIZ*ONEを聴いて気持ちを上げ、スタート地点へ向かう。 つなしま・たつや/2000年10月30日生まれ。神奈川県横浜市出身。163cm・50kg。神奈川・藤の木中→湘南学院高。5000m13分55秒76、10000m28分45秒21、ハーフ1時間3分46秒 文/小川誠志

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