HOME 駅伝

2022.10.30

「自立」が生んだ6連覇の偉業!さらなる黄金時代へ突っ走る女王・名城大/全日本大学女子駅伝
「自立」が生んだ6連覇の偉業!さらなる黄金時代へ突っ走る女王・名城大/全日本大学女子駅伝


◇第40回全日本大学女子駅伝(10月30日/宮城・6区間38.1km)

10月30日に行われた第40回全日本大学女子駅伝。1区のスタート直後から、まさに一度も首位の座を譲らない。これが女王の強さ――。それを存分に示した名城大の6連覇だった。

米田勝朗監督は、「あれだけ強い選手が集まれば結果を残せると思われるかもしれませんが、ケガをしたり、自分をコントロールできていなければ結果は残せません。学生たちが自分たちで考えて取り組んでいく。その習慣をつけることができたからこその6連覇だと思っています」と胸を張って語った。

広告の下にコンテンツが続きます

その言葉通り、米澤奈々香(1年)、石松愛朱加(1年)、山本有真(4年)、谷本七星(2年)、小林成美(4年)、増渕祐香(3年)の出走メンバーは、高校から持っていた力を、さらに大学でも伸ばした選手たち。

それだけではなく、大会前のポイント練習を「全員がポイント練習に参加できていた」(増渕)というほど、出走した6人だけではなくチーム全員が、いつでも走れる状態を作っていた。これこそが、名城大の女王たる所以だ。

1、2区で連続区間賞と、1年生ながら偉業への流れを作った米澤と石松は、先輩たちの「オンとオフ」の差に驚かされたという。

「寮生活はワイワイやっているけど、練習になるとガラリと雰囲気が変わります」(米澤)、「メリハリがあって居心地がいいです」(石松)。頼もしい先輩たちの背中を必死に追ってメンバーの座をつかみ、本番でも見事に力を発揮した。

2年連続で同じ区間で区間新を打ち立てた4区の谷本、アンカー・増渕は「全員で切磋琢磨できている」向上心を、先輩たちから学び、後輩たちに伝えている。

「何かがあっても全員で円になり、後輩からも意見ができます」と谷本は話す。

そんな後輩たちをまとめ上げたのが主将・小林と、副主将・山本。小林は体調が上がらず5区で区間6位にとどまったが、「成美の姿を一番近くで見ていた」山本が3区で21分37秒の区間タイと奮起した。

「今年は底上げという目標でやってきました。4年生が意思統一し、チームの方向性を伝える。そうして、みんなが考えて行動するチーム作りができました」と小林は力強く語る。

山本は「後輩から意見があったり、後輩がミーティングをしてチームを良くしようと動いてくれました」と3年生以下の成長を付け加えた。

6区間中5区間で区間賞、前回と同じ1区から首位を譲らぬ完封リレーと、盤石の継走で史上初の偉業を成し遂げた。連覇が、来年以降もまだ続くのでは。そう思わせるほど、その強さは学生女子長距離界では突出している。

創部11年目で初優勝を飾った2005年当時を、米田監督は「学生を管理して押し付けてやってきた。学生たちが本当に強くなろうと思ってやっていたのだろうか」と反省の思いとともに振り返る。

そこから、「日本を代表する選手を育てる」ことを目指して学生たちの自立を促し、女性アスリートの身体のことも十分考慮した取り組みを続けてきた。栄養面やケアには、さまざまなサポートを受けている。米田監督はその道のりを「私ひとりじゃできなかった」と語る。

「チーム名城としていろいろな取り組みをやってきたことが6連覇につながりました」

本番の出場こそかなわなかったが、今夏のオレゴン世界選手権10000m代表に小林が名を連ねた。駅伝だけではなく、「世界」を目指す。

その取り組みの先に、さらなる黄金時代が続いていく。

◇第40回全日本大学女子駅伝(10月30日/宮城・6区間38.1km) 10月30日に行われた第40回全日本大学女子駅伝。1区のスタート直後から、まさに一度も首位の座を譲らない。これが女王の強さ――。それを存分に示した名城大の6連覇だった。 米田勝朗監督は、「あれだけ強い選手が集まれば結果を残せると思われるかもしれませんが、ケガをしたり、自分をコントロールできていなければ結果は残せません。学生たちが自分たちで考えて取り組んでいく。その習慣をつけることができたからこその6連覇だと思っています」と胸を張って語った。 その言葉通り、米澤奈々香(1年)、石松愛朱加(1年)、山本有真(4年)、谷本七星(2年)、小林成美(4年)、増渕祐香(3年)の出走メンバーは、高校から持っていた力を、さらに大学でも伸ばした選手たち。 それだけではなく、大会前のポイント練習を「全員がポイント練習に参加できていた」(増渕)というほど、出走した6人だけではなくチーム全員が、いつでも走れる状態を作っていた。これこそが、名城大の女王たる所以だ。 1、2区で連続区間賞と、1年生ながら偉業への流れを作った米澤と石松は、先輩たちの「オンとオフ」の差に驚かされたという。 「寮生活はワイワイやっているけど、練習になるとガラリと雰囲気が変わります」(米澤)、「メリハリがあって居心地がいいです」(石松)。頼もしい先輩たちの背中を必死に追ってメンバーの座をつかみ、本番でも見事に力を発揮した。 2年連続で同じ区間で区間新を打ち立てた4区の谷本、アンカー・増渕は「全員で切磋琢磨できている」向上心を、先輩たちから学び、後輩たちに伝えている。 「何かがあっても全員で円になり、後輩からも意見ができます」と谷本は話す。 そんな後輩たちをまとめ上げたのが主将・小林と、副主将・山本。小林は体調が上がらず5区で区間6位にとどまったが、「成美の姿を一番近くで見ていた」山本が3区で21分37秒の区間タイと奮起した。 「今年は底上げという目標でやってきました。4年生が意思統一し、チームの方向性を伝える。そうして、みんなが考えて行動するチーム作りができました」と小林は力強く語る。 山本は「後輩から意見があったり、後輩がミーティングをしてチームを良くしようと動いてくれました」と3年生以下の成長を付け加えた。 6区間中5区間で区間賞、前回と同じ1区から首位を譲らぬ完封リレーと、盤石の継走で史上初の偉業を成し遂げた。連覇が、来年以降もまだ続くのでは。そう思わせるほど、その強さは学生女子長距離界では突出している。 創部11年目で初優勝を飾った2005年当時を、米田監督は「学生を管理して押し付けてやってきた。学生たちが本当に強くなろうと思ってやっていたのだろうか」と反省の思いとともに振り返る。 そこから、「日本を代表する選手を育てる」ことを目指して学生たちの自立を促し、女性アスリートの身体のことも十分考慮した取り組みを続けてきた。栄養面やケアには、さまざまなサポートを受けている。米田監督はその道のりを「私ひとりじゃできなかった」と語る。 「チーム名城としていろいろな取り組みをやってきたことが6連覇につながりました」 本番の出場こそかなわなかったが、今夏のオレゴン世界選手権10000m代表に小林が名を連ねた。駅伝だけではなく、「世界」を目指す。 その取り組みの先に、さらなる黄金時代が続いていく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.16

中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役

中央学大駅伝部が「TKK株式会社」とスポンサー契約を結んだことを発表した。 同社は千葉県八千代市に本社を構え、主にプレキャストコンクリート鋼製型枠を取り扱うメーカー。中央学大卒業の安保誠司氏が代表取締役を務めており、「未 […]

NEWS 今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」

2025.12.16

今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」

全国高校駅伝で日本一に輝き、箱根駅伝は花の2区で快走。日本選手権10000mでも上位に食い込んだのが、村澤明伸(SGホールディングス、34歳)だ。紆余曲折を経て、今年度限りでの「引退」を表明したが、どんな競技生活を過ごし […]

NEWS ニューイヤー駅伝エントリー発表! トヨタ自動車は鈴木芽吹が登録も太田智樹が外れる 連覇目指す旭化成は葛西潤、Honda・小山直城、GMO・吉田祐也らエントリー!

2025.12.16

ニューイヤー駅伝エントリー発表! トヨタ自動車は鈴木芽吹が登録も太田智樹が外れる 連覇目指す旭化成は葛西潤、Honda・小山直城、GMO・吉田祐也らエントリー!

12月16日、日本実業団陸上競技連合は第70回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2026年1月1日)のエントリー選手を発表した。70回記念大会の今回は、例年より3チーム多い、40チームがエントリーした。 前回、5年 […]

NEWS 赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」

2025.12.16

赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」

12月15日で第一生命グループを退社し、夫の赤﨑暁も所属するクラフティア(前・九電工)へ移籍加入した赤﨑優花(旧姓・鈴木)が自身のSNSを更新し、改めて思いを綴った。 昨年のパリ五輪女子マラソン6位入賞の赤﨑。「決して悲 […]

NEWS お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年1月号)

2025.12.16

お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年1月号)

月刊陸上競技2026年1月号別冊付録「全国高校駅伝総展望」に掲載したデータに誤りがございました。 正しいデータの情報を掲載するとともに、関係者の皆様にお詫びをし、訂正いたします。 男子 今治北(愛媛) 誤 都大路学校最高 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top