2022.10.11
◇第34回出雲全日本大学選抜駅伝競走(10月10日・島根県出雲市)
6区間中3区間で区間賞、残りの3区間は区間2位という圧巻のレース内容で、駒大は出雲駅伝で9年ぶり4回目の優勝を飾った。9年前の記録を39秒も上回り、2時間8分32秒の大会新記録をも打ち立てた。
「選手たちが自分で目標を持って、1区からアンカーまで設定タイムに近いところで走ってくれた。それが勝因です」と大八木弘明監督は、選手の奮闘を称えた。
前日会見で青学大の原晋監督が「距離も短いので、全区間とりこぼしがない戦いをしないと優勝はできない」と話していたが、まさにそのようなミスのない駅伝をライバル校の駒大が完遂してみせた。
「夏合宿が終わってから10日間の選抜合宿があったのですうが、みんな練習をパーフェクトにこなせたので、これは強いなと思いました。本当にチームの雰囲気が良く、1人1人が勝ちたいっていう思いが強かったし、勝たなくてはいけないメンツがそろっていた」
今季主将を務める山野力(4年)がこう話すように、充実の夏を送り、大きな手応えを掴んで駅伝シーズンを迎えた。
しかし、初戦の出雲の1週間前にエースの田澤廉(4年)が感染性胃腸炎になるアクシデントがあり、大八木弘明監督は田澤の起用法に頭を悩ませた。
「田澤が一番心配だったんです。あとはそんなに心配はなかったんですけど」
万全であれば、田澤を最終区の6区に回す予定だったが、今回が大腿骨の疲労骨折からの復帰戦となる鈴木芽吹(3年)をアンカーに起用することになった。
「監督からは2区がいいんじゃないかと言われたのですが、3区に自分がいることで、チームも頑張ろうって思える。チームのこと考えたら、自分が3区のほうがいい」と田澤は、自ら志願して、各校のエース級が集まった3区を担った。
レースは1区の花尾恭輔(3年)が区間2位と好発進。2区では1年生の佐藤圭汰が、約1kmで先頭に並ぶと、洛南高の2学年先輩の三浦龍司らを抑えて区間賞を獲得。おまけに区間新記録をも樹立した。そして、3区の田澤へとトップでタスキを繋いだ。
「(状態は)最悪でしたね。3区を走り切れるのか、自信がなかった。でも、途中でお腹が痛くなってしまいましたが、他の大学を抑えるのが自分の役目だと思っていた」
田澤は絶不調なのが嘘かのような快走を見せた。区間賞こそ、創価大の留学生、フィリップ・ムルワ(4年)に譲ったが、後続との差を20秒にまで広げ、エースとしての役割をきっちり果たした。そして、その貯金を減らすどころか、その後もじわりじわりと後続との差を広げ、最後まで全く危なげないレース運びで優勝を果たした。
学生駅伝3冠を目指すチームにとって大きいのは、アンカーを担った鈴木が戻ってきたことだろう。レースを迎えるまでは、鈴木自身、不安があったというが、今年の箱根駅伝以来の復帰戦を見事に区間賞で飾った。「今日の感覚でいうと、7〜8割は戻っている感じはしています」と鈴木は言うが、田澤に次ぐエース格の復活は明るい材料だった。
「これまでは、自分と鈴木のチームみたいに言われていたんですけど、今は、2年に篠原(倖太朗)がいて、1年には圭汰と、各学年にエース級の力を持っている選手がいる。選手間において、良い相乗効果が生まれて、底上げがしっかりとできている」
田澤がこう話すように、大エースの田澤頼みではないチームができつつあることを示したレースになった。
出雲駅伝後の出雲市陸協記録会では、リーキー・カミナに次いで、円健介(4年)が14分04秒61で日本人トップの2着、山川拓馬 (1年)が14分10秒20で3着に続いた。強風が吹き荒れる悪条件下のレースだっただけに、全日本大学駅伝に向けて大きなアピールとなる走りになった。今回はケガで回避した篠原も控えており、全日本を充実な布陣で臨むことができそうだ。
「4年間指導してくださった監督に対して、一番の恩返しは駅伝での優勝。今季は3冠を掲げていますが、まずは1勝できて、一つの恩返しができた。残り二つもしっかり取りたい」と田澤。今季は大学駅伝3冠を目標に掲げるチームが多かったが、まずは駒大がその挑戦権を得た。
大エースのラストイヤーの今季、チーム初の大学駅伝三冠に向けて、出雲路で絶好のスタートを切った。
文/和田悟志
◇第34回出雲全日本大学選抜駅伝競走(10月10日・島根県出雲市)
6区間中3区間で区間賞、残りの3区間は区間2位という圧巻のレース内容で、駒大は出雲駅伝で9年ぶり4回目の優勝を飾った。9年前の記録を39秒も上回り、2時間8分32秒の大会新記録をも打ち立てた。
「選手たちが自分で目標を持って、1区からアンカーまで設定タイムに近いところで走ってくれた。それが勝因です」と大八木弘明監督は、選手の奮闘を称えた。
前日会見で青学大の原晋監督が「距離も短いので、全区間とりこぼしがない戦いをしないと優勝はできない」と話していたが、まさにそのようなミスのない駅伝をライバル校の駒大が完遂してみせた。
「夏合宿が終わってから10日間の選抜合宿があったのですうが、みんな練習をパーフェクトにこなせたので、これは強いなと思いました。本当にチームの雰囲気が良く、1人1人が勝ちたいっていう思いが強かったし、勝たなくてはいけないメンツがそろっていた」
今季主将を務める山野力(4年)がこう話すように、充実の夏を送り、大きな手応えを掴んで駅伝シーズンを迎えた。
しかし、初戦の出雲の1週間前にエースの田澤廉(4年)が感染性胃腸炎になるアクシデントがあり、大八木弘明監督は田澤の起用法に頭を悩ませた。
「田澤が一番心配だったんです。あとはそんなに心配はなかったんですけど」
万全であれば、田澤を最終区の6区に回す予定だったが、今回が大腿骨の疲労骨折からの復帰戦となる鈴木芽吹(3年)をアンカーに起用することになった。
「監督からは2区がいいんじゃないかと言われたのですが、3区に自分がいることで、チームも頑張ろうって思える。チームのこと考えたら、自分が3区のほうがいい」と田澤は、自ら志願して、各校のエース級が集まった3区を担った。
レースは1区の花尾恭輔(3年)が区間2位と好発進。2区では1年生の佐藤圭汰が、約1kmで先頭に並ぶと、洛南高の2学年先輩の三浦龍司らを抑えて区間賞を獲得。おまけに区間新記録をも樹立した。そして、3区の田澤へとトップでタスキを繋いだ。
「(状態は)最悪でしたね。3区を走り切れるのか、自信がなかった。でも、途中でお腹が痛くなってしまいましたが、他の大学を抑えるのが自分の役目だと思っていた」
田澤は絶不調なのが嘘かのような快走を見せた。区間賞こそ、創価大の留学生、フィリップ・ムルワ(4年)に譲ったが、後続との差を20秒にまで広げ、エースとしての役割をきっちり果たした。そして、その貯金を減らすどころか、その後もじわりじわりと後続との差を広げ、最後まで全く危なげないレース運びで優勝を果たした。
学生駅伝3冠を目指すチームにとって大きいのは、アンカーを担った鈴木が戻ってきたことだろう。レースを迎えるまでは、鈴木自身、不安があったというが、今年の箱根駅伝以来の復帰戦を見事に区間賞で飾った。「今日の感覚でいうと、7〜8割は戻っている感じはしています」と鈴木は言うが、田澤に次ぐエース格の復活は明るい材料だった。
「これまでは、自分と鈴木のチームみたいに言われていたんですけど、今は、2年に篠原(倖太朗)がいて、1年には圭汰と、各学年にエース級の力を持っている選手がいる。選手間において、良い相乗効果が生まれて、底上げがしっかりとできている」
田澤がこう話すように、大エースの田澤頼みではないチームができつつあることを示したレースになった。
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「4年間指導してくださった監督に対して、一番の恩返しは駅伝での優勝。今季は3冠を掲げていますが、まずは1勝できて、一つの恩返しができた。残り二つもしっかり取りたい」と田澤。今季は大学駅伝3冠を目標に掲げるチームが多かったが、まずは駒大がその挑戦権を得た。
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