HOME 国内

2022.10.04

大迫傑「陸上界のゲームチェンジャーに!」選手兼指導でGMOインターネットグループを駅伝日本一に導く
大迫傑「陸上界のゲームチェンジャーに!」選手兼指導でGMOインターネットグループを駅伝日本一に導く

GMOインターネットグループは10月4日、都内で記者会見を開き、大迫傑(Nike)の参画を発表。今後は全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の「優勝」を目指すメンバーの一員になるとともに、チーム全体の指導・強化にもかかわる「プレイング・ダイレクター(Playing Director)」も兼務する。

広告の下にコンテンツが続きます

所属は引き続き「Nike」のままで活動し、駅伝ではGMOインターネットグループに。これまでの陸上界では見られなかったかたちを、なぜ選択したのか。

オンラインで会見に出席した大迫は、冒頭で今回の決断に至った思いについて3つ挙げた。1つは「活性化」だ。

「僕が走ることでニューイヤー駅伝そのものがより注目していただけるのではないか。そうすることで、そこを走る選手たちがより自信を持って、プライドを持って、駅伝だけじゃない、世界に飛び出すように力をつけられるのではないかと思っています」

さらに、「学生たちに選択肢を与え、選手としての活動の幅を広げること」も挙げた。

広告の下にコンテンツが続きます

「今まで僕自身が見てきた大学を卒業してからの陸上界(の選択肢)は、大きく分けて2つ。1つは実業団に入ることで、もう1つはプロになること。これから僕は『3つ目の選択肢』であるプロアスリートでありながら、駅伝を走ることにチャレンジしたい。これから大学を卒業する選手だったり、これから世界へ羽ばたいていく選手たちに3つ目のオプションを提示できれば」

3つ目は「育成」。自身が展開するSugar Elite Kidsでは「子供たちに背中を見せていく、時に背中を押していく」ということを意識してきた。それと同じように「より選手と近い関係になることで、より育成にプラスになっていくと思う」と語る。

GMOインターネットグループの熊谷正寿代表をはじめとした同社全体の情熱を受け、「優勝を目指すことはもちろん、陸上界のゲームチェンジャーになっていきたい。その目標、大きなゴールが、これからやっていきたいことと一致した」ことから決断したという。「今年のニューイヤー駅伝もそうだが、どういったゲームチェンジができるか。自分がやるプラスアルファを陸上界、スポーツ界に残せていけたらと思っている」と抱負を語った。

迎え入れたGMOインターネットグループの熊谷代表も、ニューイヤー駅伝における過去最高順位が初出場(19年)の5位ということについて、「一番いいサービスを通じて、お客様に一番喜んでいていただくことを経営のポリシーとしてきた。そのポリシーとしては、理想の順位ではない」とし、「早期で1位になる」ことを改めて目標に掲げる。

その思いを大迫と共有し、「彼の類まれなる才能、たゆまぬ努力をチームに注入していただく」ために、2年にわたって交渉を続けてきたという。

「日々のストイックさ、練習、思いがあるから今の大迫君がある。僕は起業家ですが、生活習慣なども非常に近しい。そのストイックさを、うちのチームに伝播してほしい」

大迫と同社の間をつないだのが、2016年のチーム立ち上げにも関わり、現在もEKIDENダイレクターを務める原晋氏(青学大監督)。「中学生の頃、1人で黙々と、ストップウォッチを握り締めて走る姿にただものではない」という印象を受けたそうで、「今の陸上界に足りないのは貪欲な、戦う気持ち。優秀な選手はたくさんいるが、彼以上の情熱を持っている選手はいない」と語った。

4月にチームの監督に就任した亀鷹律良氏も、「アスリートは夢がないと苦しいことにも耐えられない。彼が入ることでいろんな夢が広がるし、本気でナンバーワンを取りに行くんだということが選手に浸透していくのを確信している」と期待を寄せた。

大迫は、今後は11月6日のニューヨークシティ・マラソンに出場予定。6位入賞を果たした東京五輪以来となるマラソンを経て、11月3日の東日本実業団駅伝で出場権を獲得できていることを前提に、いよいよ「駅伝日本一」を目指すチームに合流することになる。

すでに、吉田祐也とともに練習をしながら指導に当たっており、「メニューを含めて一緒に取り組む中で、これまで自分の過去を振り返ることはなかったが、自分自身もこうだったなといった経験も踏まえて吉田選手を指導することで、自分自身も成長できている。それは自分自身もうれしいこと」と大迫。

その吉田は10月2日、ツインシティーズ・マラソン(米国)を2時間11分28秒で制し、2時間7分05秒で勝った2020年福岡国際以来のマラソン2勝目を飾った。その成果を感じつつ、「指導者としてはまだまだ(キャリアは)浅いが、自分自身がやってきたこを各選手にアジャストして、落とし込んでいければ」と大迫は話す。

そして、早大卒業後1年目(当時・日清食品グループ)で1区区間賞に輝いた2015年以来、8年ぶり2度目のニューイヤー駅伝に向けても「優勝は簡単なことではない」と前置きしながらも、「結果を求めつつ。まずは自分自身がワクワクしていないと、いろいろな人とそれを共有できないので、勝負に徹して楽しみながらいい走りができればと思う。プラスアルファの価値を残していけるように」と力強く語った。

GMOインターネットグループは10月4日、都内で記者会見を開き、大迫傑(Nike)の参画を発表。今後は全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の「優勝」を目指すメンバーの一員になるとともに、チーム全体の指導・強化にもかかわる「プレイング・ダイレクター(Playing Director)」も兼務する。 所属は引き続き「Nike」のままで活動し、駅伝ではGMOインターネットグループに。これまでの陸上界では見られなかったかたちを、なぜ選択したのか。 オンラインで会見に出席した大迫は、冒頭で今回の決断に至った思いについて3つ挙げた。1つは「活性化」だ。 「僕が走ることでニューイヤー駅伝そのものがより注目していただけるのではないか。そうすることで、そこを走る選手たちがより自信を持って、プライドを持って、駅伝だけじゃない、世界に飛び出すように力をつけられるのではないかと思っています」 さらに、「学生たちに選択肢を与え、選手としての活動の幅を広げること」も挙げた。 「今まで僕自身が見てきた大学を卒業してからの陸上界(の選択肢)は、大きく分けて2つ。1つは実業団に入ることで、もう1つはプロになること。これから僕は『3つ目の選択肢』であるプロアスリートでありながら、駅伝を走ることにチャレンジしたい。これから大学を卒業する選手だったり、これから世界へ羽ばたいていく選手たちに3つ目のオプションを提示できれば」 3つ目は「育成」。自身が展開するSugar Elite Kidsでは「子供たちに背中を見せていく、時に背中を押していく」ということを意識してきた。それと同じように「より選手と近い関係になることで、より育成にプラスになっていくと思う」と語る。 GMOインターネットグループの熊谷正寿代表をはじめとした同社全体の情熱を受け、「優勝を目指すことはもちろん、陸上界のゲームチェンジャーになっていきたい。その目標、大きなゴールが、これからやっていきたいことと一致した」ことから決断したという。「今年のニューイヤー駅伝もそうだが、どういったゲームチェンジができるか。自分がやるプラスアルファを陸上界、スポーツ界に残せていけたらと思っている」と抱負を語った。 迎え入れたGMOインターネットグループの熊谷代表も、ニューイヤー駅伝における過去最高順位が初出場(19年)の5位ということについて、「一番いいサービスを通じて、お客様に一番喜んでいていただくことを経営のポリシーとしてきた。そのポリシーとしては、理想の順位ではない」とし、「早期で1位になる」ことを改めて目標に掲げる。 その思いを大迫と共有し、「彼の類まれなる才能、たゆまぬ努力をチームに注入していただく」ために、2年にわたって交渉を続けてきたという。 「日々のストイックさ、練習、思いがあるから今の大迫君がある。僕は起業家ですが、生活習慣なども非常に近しい。そのストイックさを、うちのチームに伝播してほしい」 大迫と同社の間をつないだのが、2016年のチーム立ち上げにも関わり、現在もEKIDENダイレクターを務める原晋氏(青学大監督)。「中学生の頃、1人で黙々と、ストップウォッチを握り締めて走る姿にただものではない」という印象を受けたそうで、「今の陸上界に足りないのは貪欲な、戦う気持ち。優秀な選手はたくさんいるが、彼以上の情熱を持っている選手はいない」と語った。 4月にチームの監督に就任した亀鷹律良氏も、「アスリートは夢がないと苦しいことにも耐えられない。彼が入ることでいろんな夢が広がるし、本気でナンバーワンを取りに行くんだということが選手に浸透していくのを確信している」と期待を寄せた。 大迫は、今後は11月6日のニューヨークシティ・マラソンに出場予定。6位入賞を果たした東京五輪以来となるマラソンを経て、11月3日の東日本実業団駅伝で出場権を獲得できていることを前提に、いよいよ「駅伝日本一」を目指すチームに合流することになる。 すでに、吉田祐也とともに練習をしながら指導に当たっており、「メニューを含めて一緒に取り組む中で、これまで自分の過去を振り返ることはなかったが、自分自身もこうだったなといった経験も踏まえて吉田選手を指導することで、自分自身も成長できている。それは自分自身もうれしいこと」と大迫。 その吉田は10月2日、ツインシティーズ・マラソン(米国)を2時間11分28秒で制し、2時間7分05秒で勝った2020年福岡国際以来のマラソン2勝目を飾った。その成果を感じつつ、「指導者としてはまだまだ(キャリアは)浅いが、自分自身がやってきたこを各選手にアジャストして、落とし込んでいければ」と大迫は話す。 そして、早大卒業後1年目(当時・日清食品グループ)で1区区間賞に輝いた2015年以来、8年ぶり2度目のニューイヤー駅伝に向けても「優勝は簡単なことではない」と前置きしながらも、「結果を求めつつ。まずは自分自身がワクワクしていないと、いろいろな人とそれを共有できないので、勝負に徹して楽しみながらいい走りができればと思う。プラスアルファの価値を残していけるように」と力強く語った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.06.15

編集部コラム「私のインターハイ地区大会」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 広告の下にコンテンツが続きます 攻め(?)のアンダーハンドリレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃 […]

NEWS NCG5000mはアジア選手権5位・荒井七海が13分47秒58で日本人トップ!東海大・永本脩が学生トップ/日体大長距離競技会

2025.06.15

NCG5000mはアジア選手権5位・荒井七海が13分47秒58で日本人トップ!東海大・永本脩が学生トップ/日体大長距離競技会

第322回日本体育大学長距離競技会兼第16回NITTAIDAI Challenge Games(NCG)の2日目が6月15日に行われ、最終種目のNCG男子5000mはB.キプトゥー(麗澤大)が13分46秒77で1着を占め […]

NEWS 小原響が3000m障害で8分22秒64の日本歴代8位!セイコーGGPに続く自己新マーク

2025.06.15

小原響が3000m障害で8分22秒64の日本歴代8位!セイコーGGPに続く自己新マーク

6月14日に米国・ポートランドで行われたポートランド・トラックフェスティバルの男子3000m障害で、小原響(GMOインターネットグループ)が日本歴代8位の8分22秒64をマークした。 大会は世界陸連コンチネンタルツアー・ […]

NEWS 久保凛が800m2分02秒76の大会新でV3!! 1500mと2年連続2冠「チームへの貢献を考えていた」/IH近畿

2025.06.15

久保凛が800m2分02秒76の大会新でV3!! 1500mと2年連続2冠「チームへの貢献を考えていた」/IH近畿

◇インターハイ近畿地区大会(6月12~15日/京都市・たけびしスタジアム京都)4日目 広島インターハイを懸けた近畿地区大会の4日目が行われ、女子800mは久保凛(東大阪大敬愛3大阪)が昨年自らがマークした大会記録を0.7 […]

NEWS 青学大・塩出翔太が10000m28分55秒81の自己新!800mは金子1分46秒59、日本インカレ400m2連覇の田邉1分48秒16/日体大長距離競技会

2025.06.15

青学大・塩出翔太が10000m28分55秒81の自己新!800mは金子1分46秒59、日本インカレ400m2連覇の田邉1分48秒16/日体大長距離競技会

第322回日本体育大学長距離競技会兼第16回NITTAIDAI Challenge Games(NDG)の1日目が6月14日に行われ、雨のなか、各組で好レースが繰り広げられた。 男子10000mでは2組で1着(28分53 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top