HOME 国内

2022.09.09

やり投で「2022年の世界3位」北口榛花がまたも快挙!「世界トップクラスに少し仲間入りできたかな」/DLファイナル
やり投で「2022年の世界3位」北口榛花がまたも快挙!「世界トップクラスに少し仲間入りできたかな」/DLファイナル

女子やり投の北口榛花


写真/Mochizuki Jiro(Agence SHOT)

◇ダイヤモンドリーグ・ファイナル(9月7~8日/スイス・チューリヒ)

世界最高峰の陸上ツアー「ダイヤモンドリーグ(DL)」。その年間チャンピオンを決める舞台「DLファイナル」は、その年の「世界で最も強い選手」を決する場だ。女子やり投の北口榛花(JAL)は、日本人女子として初めてその舞台に立ち、63m56で3位に入った。つまり、2022年の「世界の3位」に輝いたのだ。

快挙への一歩は2投目。60m51をマークして3位に上がる。3投目には63m35へと記録を伸ばすいい流れで、残り3投の勝負に挑んだ。

4投目、5投目は60m台に乗せられなかったが、順位はキープ。そして、最終6投目を前に3位が確定。この日の最高記録となる63m56を放ち、見事に締めくくった。

北口自身としては、「また3位かという気持ちと、(今季のDLで)1位、1位、2位、2位で来たら次は3か、という(笑)。ちょっと残念な気持ちのほうが強いかな」と悔しさをのぞかせる。ただ、それは強さの証。「世界でも勝ちたいと思って臨めるようになって、その部分ではかなり成長したなって思います」。

広告の下にコンテンツが続きます

日本女子フィールド初メダルとなる銅メダルを獲得した7月のオレゴン世界選手権でも、1投目に62m07をマークしてトップ8入りを確実にし、最終投てきの63m27で5位から逆転。安定した試合運びを、どんな試合でも出せる。それが、今季の快進撃につながっている。

6月の日本選手権を制したあとに欧州に渡り、DL初出場だったパリ大会を63m13で優勝。オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した後は再びチェコに戻り、DLシレジアではセカンドベストの65m10を投げて連勝を飾った。続くモナコ大会で62m37の2位となり、この結果でファイナル進出決定。ブリュッセル大会は63m45で再び2位に入るなど、DL4大会連続表彰台に立っていた。

この日の優勝が世界選手権銀メダルのカラ・ウィンガー(米国)で64m98、2位が世界選手権女王のケルシー・リー・バーバー(豪州)で63m72。北口も含め、世界選手権メダリストがそのまま上位を占めている。北口のポジションは、今や世界トップスロワーの1人ということだ。

「自世界のトップクラスのほうに少し仲間入りできたかな。それは自分が目指していたポジションでもありますし、やりを持っていろんな国に行くとていうのが、自分の夢の一つでもあった。すごく楽しかったですし、実現できてうれしいなっていう気持ちがあります」

課題は、この日も「一発出なくてもどかしい気持ちで終わりました」と語るように、自身の日本記録(66m00)を超える大アーチを出せないこと。だが、それも時間の問題に違いない。

この後は2週間後の全日本実業団対抗選手権にエントリーするなど国内大会に参戦予定。ひょっとしたら、そのどこかで待望の一投が見られるかもしれない。

◇北口榛花(きたぐち・はるか)
1998年3月16日生まれ、24歳。北海道旭川市出身。北教大旭川中→旭川東高→日大→JAL。幼い頃から水泳とバドミントンに励み、高校から陸上部。2、3年とインターハイ連覇。3年時には世界ユース選手権で優勝し、秋には高校記録(58m90)を樹立。日大1年時にU20日本記録(61m38)をマークすると、4年時には5月に64m36、10月には66m00と日本記録を樹立した。19年ドーハ世界選手権代表、昨年の東京五輪では同種目日本勢57年ぶりとなる決勝に進出(12位)。今年6月のダイヤモンドリーグ・パリ大会で日本人初の優勝。オレゴン世界選手権では女子フィールド種目初メダルとなる3位に入った。初出場のダイヤモンドリーグ・ファイナルで再び3位。

写真/Mochizuki Jiro(Agence SHOT) ◇ダイヤモンドリーグ・ファイナル(9月7~8日/スイス・チューリヒ) 世界最高峰の陸上ツアー「ダイヤモンドリーグ(DL)」。その年間チャンピオンを決める舞台「DLファイナル」は、その年の「世界で最も強い選手」を決する場だ。女子やり投の北口榛花(JAL)は、日本人女子として初めてその舞台に立ち、63m56で3位に入った。つまり、2022年の「世界の3位」に輝いたのだ。 快挙への一歩は2投目。60m51をマークして3位に上がる。3投目には63m35へと記録を伸ばすいい流れで、残り3投の勝負に挑んだ。 4投目、5投目は60m台に乗せられなかったが、順位はキープ。そして、最終6投目を前に3位が確定。この日の最高記録となる63m56を放ち、見事に締めくくった。 北口自身としては、「また3位かという気持ちと、(今季のDLで)1位、1位、2位、2位で来たら次は3か、という(笑)。ちょっと残念な気持ちのほうが強いかな」と悔しさをのぞかせる。ただ、それは強さの証。「世界でも勝ちたいと思って臨めるようになって、その部分ではかなり成長したなって思います」。 日本女子フィールド初メダルとなる銅メダルを獲得した7月のオレゴン世界選手権でも、1投目に62m07をマークしてトップ8入りを確実にし、最終投てきの63m27で5位から逆転。安定した試合運びを、どんな試合でも出せる。それが、今季の快進撃につながっている。 6月の日本選手権を制したあとに欧州に渡り、DL初出場だったパリ大会を63m13で優勝。オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した後は再びチェコに戻り、DLシレジアではセカンドベストの65m10を投げて連勝を飾った。続くモナコ大会で62m37の2位となり、この結果でファイナル進出決定。ブリュッセル大会は63m45で再び2位に入るなど、DL4大会連続表彰台に立っていた。 この日の優勝が世界選手権銀メダルのカラ・ウィンガー(米国)で64m98、2位が世界選手権女王のケルシー・リー・バーバー(豪州)で63m72。北口も含め、世界選手権メダリストがそのまま上位を占めている。北口のポジションは、今や世界トップスロワーの1人ということだ。 「自世界のトップクラスのほうに少し仲間入りできたかな。それは自分が目指していたポジションでもありますし、やりを持っていろんな国に行くとていうのが、自分の夢の一つでもあった。すごく楽しかったですし、実現できてうれしいなっていう気持ちがあります」 課題は、この日も「一発出なくてもどかしい気持ちで終わりました」と語るように、自身の日本記録(66m00)を超える大アーチを出せないこと。だが、それも時間の問題に違いない。 この後は2週間後の全日本実業団対抗選手権にエントリーするなど国内大会に参戦予定。ひょっとしたら、そのどこかで待望の一投が見られるかもしれない。 ◇北口榛花(きたぐち・はるか) 1998年3月16日生まれ、24歳。北海道旭川市出身。北教大旭川中→旭川東高→日大→JAL。幼い頃から水泳とバドミントンに励み、高校から陸上部。2、3年とインターハイ連覇。3年時には世界ユース選手権で優勝し、秋には高校記録(58m90)を樹立。日大1年時にU20日本記録(61m38)をマークすると、4年時には5月に64m36、10月には66m00と日本記録を樹立した。19年ドーハ世界選手権代表、昨年の東京五輪では同種目日本勢57年ぶりとなる決勝に進出(12位)。今年6月のダイヤモンドリーグ・パリ大会で日本人初の優勝。オレゴン世界選手権では女子フィールド種目初メダルとなる3位に入った。初出場のダイヤモンドリーグ・ファイナルで再び3位。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

NEWS 九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

2025.05.01

九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]

NEWS アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

2025.05.01

アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

アディダス ジャパンは、未来のスポーツ環境を支えるためのグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET(ムーブ・フォー・ザ・プラネット)」を5月12日~25日まで開催することを発表した。5月12日の計測開 […]

NEWS 水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top