◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)2日目
オレゴン世界陸上2日目のイブニングセッションを締めくくる男子100m決勝。そのスタートラインに、ついに日本人スプリンターが立った。サニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が1レーンで、世界最速を決める舞台を戦い抜き、10秒06(-0.1)で7位に入った。
予選を自身3度目の9秒台(9秒98/-0.3)で1着通過し、準決勝は10秒05(+0.3)で3着ながらプラス通過で決めたファイナル。100mでは日本人がまだ立ったことのない場所で、サニブラウンは「準決勝より緊張しなくて、冷静でした」。
スタートも決め、中盤までは力強く上位争いを展開する。ただ、そこから「全力で行く」と語っていた準決勝で「使い切った感じがあった」部分が出た。徐々に離され、フレッド・カーリー、さらにはチームメイトのマーヴィン・ブレイシーとトレイヴォン・ブロメルと米国勢が金、銀、銅メダルを独占する背中を見ながらフィニッシュ。トラックに座り込むほど「きつかった」が、今の力はしっかりと出し切った。
世界陸上では日本人初、五輪を含めると1932年ロサンゼルス五輪で6位の吉岡隆徳以来、90年ぶりの男子100m入賞。飯島秀雄、不破弘樹、井上悟、伊東浩司、朝原宣治、塚原直貴、山縣亮太、桐生祥秀……これまで数々の日本トップスプリンターが挑み続け、跳ね返されてきた。伊東氏が、「世界のトップスプリンターが本気を出す唯一の舞台」と表現したことがある。それほど、日本人にとっては分厚く、高い壁だった。
だが、サニブラウンはそこに立つだけでなく、「戦う」ためにここまで来た。2017年ロンドン大会200mで7位に入り、世界陸上の入賞は経験している。だからこそ、満足することはない。
「来年リベンジしてメダルを取りたい。アメリカのメダル独占は強いなと身に染みて感じますし、自分自身まだまだ。これからもっともっと練習して追いついていきたい」
東京・城西高2年だった2015年の世界ユース選手権100m、200m2冠。同年代の世界の頂点に立った。この年には200mで史上最年少(16歳172日)の世界陸上出場、さらには準決勝進出。さらには国際陸連(現・世界陸連)の年間表彰式では世界の新人賞にあたる「ライジング・スター・アワード」を受賞した。
この頃から抱き続ける目標がある。「世界で一番になる」。まだその道半ばだが、着実に1歩近づいたことは間違いない。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.22
-
2025.03.21
-
2025.03.21
-
2025.03.21
2025.03.19
出雲・全日本2冠の國學院大祝賀会に約500人! 平林清澄「次のステップへの一つの階段」
-
2025.03.17
-
2025.03.18
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
2025.02.24
青学大新主将・黒田朝日が2時間6分05秒!先輩・若林宏樹の学生記録を上回る/大阪マラソン
-
2025.03.19
-
2025.03.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.22
三浦龍司トラック初戦!1500m3分43秒59に「まずまず」ダイヤモンドリーグに向け「磨いていく」
男子3000m障害日本記録保持者で、パリ五輪8位の三浦龍司(SUBARU)がトラックシーズン初戦を迎えた。 2月の日本選手権クロカン10kmを制している三浦は、母校・順大の競技会で1500mに出場。1周目は先頭が60秒で […]
2025.03.22
棒高跳で大森蒼以が中2歴代2位の4m67 男子3000mで齋藤駿が中1歴代6位の8分55秒66/North Kanto Jr Games
北関東地区の中学生によるNorth Kanto Jr Athletic Games 2025が3月20日、栃木県総合運動公園第2陸上競技場で行われ、男子棒高跳では昨年の全中3位タイだった大森蒼以(片柳2埼玉)が中2歴代2 […]
2025.03.22
800m西野蒼太1分58秒52 中学1年生史上初の2分切り 走高跳で吉田灯織が中2歴代7位タイの1m70/南関東中学
第2回南関東中学校大会が3月20日、東京・上柚木公園陸上競技場で行われ、男子800m(タイムレース)では1年生の西野蒼太(相模原旭・神奈川)が中1歴代最高の1分58秒52をマークした。中1男子の800m2分切りは史上初。 […]
2025.03.22
三段跳はパリ銅のディアスが今季世界最高の17m80 女子砲丸投はミットン20m48で2連覇/世界室内
世界室内選手権が3月21日、中国・南京で開幕し、初日の男子三段跳ではA.ディアス(イタリア)が17m80の今季世界最高で優勝した。 昨年のパリ五輪で銅メダルを獲得しているディアスは29歳で、23年まではキューバ国籍。今大 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報