HOME ニュース、国内

2022.05.03

円盤投日本記録保持者・郡菜々佳が久々の快投!パフォーマンス歴代4位の57m87「やるべきことに集中できた」/静岡国際
円盤投日本記録保持者・郡菜々佳が久々の快投!パフォーマンス歴代4位の57m87「やるべきことに集中できた」/静岡国際


◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)

日本グランプリシリーズ静岡大会の静岡国際が行われ、女子円盤投の郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が優勝した。

郡の2回目。ゆっくりとしたターンから力強い振り切りまで流れるように投げた。57m00。2019年に自らが樹立した日本記録59m00に次ぐセカンドベスト。さらに5回目には57m87まで記録を伸ばした。パフォーマンス日本歴代では前日本記録保持者の室伏由佳の間に割って入る歴代4位。「6回目は記録を狙いにいって、『私らしいミス』」。そう言いながら、笑顔が弾けた。

投げ自体は「そこまで良かったわけではないです」と言うが、「ファーストターンで頑張らず、セカンドターンからしっかり(流れを)作っていく」という意識をしっかり持てたことが好記録につながったようだ。

砲丸投と円盤投で高校記録を作った逸材で、九州共立大で19年に日本記録を樹立し、ドーハ世界選手権にも出場。だが、その日本記録保持者という肩書きが大きな重圧となった。主要大会で「焦ってしまって」結果を出せない。周囲から「焦るな」と言われてもどうしていいかわからなかった。九州共立大院に進学。昨年の秋には競技引退も覚悟したほどだった。

しかし、九州共立大の疋田晃久監督をはじめ、誰もが「やれる」と背中を押してくれた。「やると決めたらやる」。覚悟してからは、冬季のウエイトトレーニングと体重管理を徹底し、体重は5~6kg増加させた。何より、メンタル面での成長が大きく、「客観的に自分を見られるようになった」成果で、焦っていることが「わかるからコントロールできるようになりました」と言う。

日本記録は『ホーム』とも言える大学での記録会で樹立したもの。それはもちろん否定されるべきものではないが、「やっと外(の大会)で投げられたのは自信になります」と郡。これまでは『記録と世界』を無理矢理追いかけてしまっていたが、今は違う。「自分のやるべきことをしっかりやれば、これくらいの記録は出る」。世界選手権をあきらめているわけではないが、「アジア大会を見据えていって、このくらいの記録を安定して投げられれば」。その積み重ねが、再びの世界の舞台につながっていると信じている。

■女子円盤投日本パフォーマンス歴代10傑
59.03 郡 菜々佳(九州共立大3+) 2019. 3.23
58.62 室伏 由佳(ミズノ) 2007. 5.13
58.00  室伏 2 2007. 4. 1
57.78  郡 2     2022. 5. 3
57.76  室伏 3 2007. 5.19
56.95  室伏 4 2007. 4.30
56.84  室伏 5 1999. 4.10
56.65  室伏 6 2002. 5. 6
56.58 齋藤 真希(東女体大3) 2021.10.17
56.51 中西美代子(ミキハウス) 2000.10.18

◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム) 日本グランプリシリーズ静岡大会の静岡国際が行われ、女子円盤投の郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が優勝した。 郡の2回目。ゆっくりとしたターンから力強い振り切りまで流れるように投げた。57m00。2019年に自らが樹立した日本記録59m00に次ぐセカンドベスト。さらに5回目には57m87まで記録を伸ばした。パフォーマンス日本歴代では前日本記録保持者の室伏由佳の間に割って入る歴代4位。「6回目は記録を狙いにいって、『私らしいミス』」。そう言いながら、笑顔が弾けた。 投げ自体は「そこまで良かったわけではないです」と言うが、「ファーストターンで頑張らず、セカンドターンからしっかり(流れを)作っていく」という意識をしっかり持てたことが好記録につながったようだ。 砲丸投と円盤投で高校記録を作った逸材で、九州共立大で19年に日本記録を樹立し、ドーハ世界選手権にも出場。だが、その日本記録保持者という肩書きが大きな重圧となった。主要大会で「焦ってしまって」結果を出せない。周囲から「焦るな」と言われてもどうしていいかわからなかった。九州共立大院に進学。昨年の秋には競技引退も覚悟したほどだった。 しかし、九州共立大の疋田晃久監督をはじめ、誰もが「やれる」と背中を押してくれた。「やると決めたらやる」。覚悟してからは、冬季のウエイトトレーニングと体重管理を徹底し、体重は5~6kg増加させた。何より、メンタル面での成長が大きく、「客観的に自分を見られるようになった」成果で、焦っていることが「わかるからコントロールできるようになりました」と言う。 日本記録は『ホーム』とも言える大学での記録会で樹立したもの。それはもちろん否定されるべきものではないが、「やっと外(の大会)で投げられたのは自信になります」と郡。これまでは『記録と世界』を無理矢理追いかけてしまっていたが、今は違う。「自分のやるべきことをしっかりやれば、これくらいの記録は出る」。世界選手権をあきらめているわけではないが、「アジア大会を見据えていって、このくらいの記録を安定して投げられれば」。その積み重ねが、再びの世界の舞台につながっていると信じている。 ■女子円盤投日本パフォーマンス歴代10傑 59.03 郡 菜々佳(九州共立大3+) 2019. 3.23 58.62 室伏 由佳(ミズノ) 2007. 5.13 58.00  室伏 2 2007. 4. 1 57.78  郡 2     2022. 5. 3 57.76  室伏 3 2007. 5.19 56.95  室伏 4 2007. 4.30 56.84  室伏 5 1999. 4.10 56.65  室伏 6 2002. 5. 6 56.58 齋藤 真希(東女体大3) 2021.10.17 56.51 中西美代子(ミキハウス) 2000.10.18

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.07.27

女子競歩の岡田久美子は調整順調「メダルを狙える位置。新たな挑戦でワクワクしている」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 2016年リオ、21年東京に続く3大会連続の五輪代表となる女子競歩の岡田久美子(富士通)は「いよいよだなという気 […]

NEWS 女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

2024.07.27

女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 女子走幅跳に出場する秦澄美鈴(住友電工)は「緊張しています」と言いながらも「シーズン初めに比べて調子が上がってい […]

NEWS 混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

2024.07.27

混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 男女混合競歩リレー代表の川野将虎(旭化成)は前回の東京大会に続くオリンピック。「前回から3年間。一つの集大成」と […]

NEWS 北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

2024.07.27

北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

100年ぶりにフランス・パリを舞台に五輪が開幕した。陸上競技は8月1日から11日までの日程で行われる。開幕に合わせて日本オリンピック委員会(JOC)は日本代表の意気込みコメントを発表した。 2大会連続出場で女子主将を務め […]

NEWS 中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

2024.07.27

中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年8月号 (7月12日発売)

2024年8月号 (7月12日発売)

W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド

page top