2022.04.25
2年前は中止、昨年は無観客。3年ぶりに有観客で開催された兵庫リレーカーニバルで、地元のスターが存在感を示した。田中希実(豊田自動織機)が1500mと10000mに出場。それも、2種目の間が30分足らずという中での「挑戦」だった。
昨年の日本選手権でも、800m決勝の直後に5000m決勝に挑み、両種目とも2位に入っている。とはいえ「日本選手権からは距離が倍になり、走る前はどうなることかと不安もあって少し構えてしまっている部分もありました」。それでも、「『案ずるより産むが易し』の言葉通り、走り出したら意外に楽に感じて、いいリズムで押していけ、貴重な経験を積むことができました。地元の観客の拍手が背中を押してくれました」と笑顔で激動の1日を振り返った。
日本人で初めて4分の壁を突破し、東京五輪で8位入賞を果たしている1500mでは、ペースメーカーの直後を追走。一度もトップを譲らず4分10秒60で連覇を達成した。今回で3度目のレース出場となる10000mでは、31分22秒89で優勝したチームメイトのヘレン・エカラレ からは大きく離されたものの、32分39秒29で2位と力走。最後はエカラレに周回遅れにされそうになったが、「レースの位置づけは違ってもさすがに周回遅れにはなりたくなかったので」とペースを上げる意地を見せた。
「エントリーの時点で父(コーチでもある健智氏)から2種目出場を言われた際は、昨年は1500mから次の10000mまで2時間の空きがあったのでそのつもりでいました」と田中。ただ、確定したタイムテーブルを確認してみると、「30分(ゴールしてからだと約25分)しか間がなかったので、エッという感じでした」と打ち明ける。
10000mを辞退する選択肢もあった。しかし、今夏のオレゴン世界選手権では1500m、5000m、さらに800mを合わせて3種目での出場権獲得を目指している。複数種目で世界のトップレベルと競うためには、さらなるスピード&スタミナ強化が求められる。そして、それらを普段のトレーニングに加え、実戦を通じて積み上げていくのが田中のスタイル。この日の取り組みで、一定の手応えを得た。
「乳酸が溜まった中で、リズムを崩さず走り切ることが目標だったので、それが達成できてよかった。1500mだけだったら4分10秒を切れず悔しさだけが残ったはず。2本走ったからこそ得られたものがある。昨年の日本選手権時以上に力がついていると感じた。逃げずにチャレンジしてよかった」
一見、無謀に見えるチャレンジだが、父とともに先々を見据え、綿密に練り上げたプランの中でのもの。この春に同志社大を卒業し、実業団という新しい環境となっても、その軸が変わることはない。
五輪で結果を残した1500mだけなく、「どの種目でも速い選手になりたい」と理想像を口にする。その過程として、5月には米国遠征も予定。中長距離のオールラウンダーとして世界と渡り合うために――。オレゴン、そしてパリに向けて、これまでの常識にとらわれない新たなチャレンジの一つひとつが、田中の飛躍の原動力となる。
文/花木 雫
■第70回兵庫リレーカーニバル GP種目優勝者一覧
【男子】
800m 四方 悠瑚(宝塚市陸協) 1.47.41=大会新
1500m 荒井 七海(Honda) 3.41.08
10000m R.キムニャン(日立物流) 27.39.79
2000mSC 楠 康成(阿見AC) 5.29.11=日本最高
砲丸投 村上 輝(日本体育施設) 17m90
円盤投 堤 雄司(ALSOK群馬) 58m64
【女子】
800m 広田 有紀(新潟アルビレックスRC) 2.06.41
1500m 田中希実(豊田自動織機) 4.10.60
10000m H.エカラレ(豊田自動織機) 31.22.89
2000mSC 山中 柚乃(愛媛銀行) 6.20.21=パフォーマンス日本歴代2位
棒高跳 那須 眞由(KAGOTANI) 4m33=日本歴代4位、大会新
走幅跳 秦 澄美鈴(シバタ工業) 6m60(+1.8)
砲丸投 小山田芙由子(日大) 15m40
円盤投 郡 菜々佳(新潟アルビレックスRC) 54m37
◇第70回兵庫リレーカーニバル(4月24日/神戸総合)2年前は中止、昨年は無観客。3年ぶりに有観客で開催された兵庫リレーカーニバルで、地元のスターが存在感を示した。田中希実(豊田自動織機)が1500mと10000mに出場。それも、2種目の間が30分足らずという中での「挑戦」だった。昨年の日本選手権でも、800m決勝の直後に5000m決勝に挑み、両種目とも2位に入っている。とはいえ「日本選手権からは距離が倍になり、走る前はどうなることかと不安もあって少し構えてしまっている部分もありました」。それでも、「『案ずるより産むが易し』の言葉通り、走り出したら意外に楽に感じて、いいリズムで押していけ、貴重な経験を積むことができました。地元の観客の拍手が背中を押してくれました」と笑顔で激動の1日を振り返った。日本人で初めて4分の壁を突破し、東京五輪で8位入賞を果たしている1500mでは、ペースメーカーの直後を追走。一度もトップを譲らず4分10秒60で連覇を達成した。今回で3度目のレース出場となる10000mでは、31分22秒89で優勝したチームメイトのヘレン・エカラレ からは大きく離されたものの、32分39秒29で2位と力走。最後はエカラレに周回遅れにされそうになったが、「レースの位置づけは違ってもさすがに周回遅れにはなりたくなかったので」とペースを上げる意地を見せた。「エントリーの時点で父(コーチでもある健智氏)から2種目出場を言われた際は、昨年は1500mから次の10000mまで2時間の空きがあったのでそのつもりでいました」と田中。ただ、確定したタイムテーブルを確認してみると、「30分(ゴールしてからだと約25分)しか間がなかったので、エッという感じでした」と打ち明ける。10000mを辞退する選択肢もあった。しかし、今夏のオレゴン世界選手権では1500m、5000m、さらに800mを合わせて3種目での出場権獲得を目指している。複数種目で世界のトップレベルと競うためには、さらなるスピード&スタミナ強化が求められる。そして、それらを普段のトレーニングに加え、実戦を通じて積み上げていくのが田中のスタイル。この日の取り組みで、一定の手応えを得た。「乳酸が溜まった中で、リズムを崩さず走り切ることが目標だったので、それが達成できてよかった。1500mだけだったら4分10秒を切れず悔しさだけが残ったはず。2本走ったからこそ得られたものがある。昨年の日本選手権時以上に力がついていると感じた。逃げずにチャレンジしてよかった」一見、無謀に見えるチャレンジだが、父とともに先々を見据え、綿密に練り上げたプランの中でのもの。この春に同志社大を卒業し、実業団という新しい環境となっても、その軸が変わることはない。五輪で結果を残した1500mだけなく、「どの種目でも速い選手になりたい」と理想像を口にする。その過程として、5月には米国遠征も予定。中長距離のオールラウンダーとして世界と渡り合うために――。オレゴン、そしてパリに向けて、これまでの常識にとらわれない新たなチャレンジの一つひとつが、田中の飛躍の原動力となる。文/花木 雫■第70回兵庫リレーカーニバル GP種目優勝者一覧
【男子】
800m 四方 悠瑚(宝塚市陸協) 1.47.41=大会新
1500m 荒井 七海(Honda) 3.41.08
10000m R.キムニャン(日立物流) 27.39.79
2000mSC 楠 康成(阿見AC) 5.29.11=日本最高
砲丸投 村上 輝(日本体育施設) 17m90
円盤投 堤 雄司(ALSOK群馬) 58m64
【女子】
800m 広田 有紀(新潟アルビレックスRC) 2.06.41
1500m 田中希実(豊田自動織機) 4.10.60
10000m H.エカラレ(豊田自動織機) 31.22.89
2000mSC 山中 柚乃(愛媛銀行) 6.20.21=パフォーマンス日本歴代2位
棒高跳 那須 眞由(KAGOTANI) 4m33=日本歴代4位、大会新
走幅跳 秦 澄美鈴(シバタ工業) 6m60(+1.8)
砲丸投 小山田芙由子(日大) 15m40
円盤投 郡 菜々佳(新潟アルビレックスRC) 54m37RECOMMENDED おすすめの記事
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