HOME ニュース、国内

2021.12.27

引退発表の100mH木村文子「温かい声援で世界と戦うことができた」今後は後進の育成と普及
引退発表の100mH木村文子「温かい声援で世界と戦うことができた」今後は後進の育成と普及


写真提供/エディオン

女子100mハードルの木村文子(エディオン)が現役引退を発表し、広島市内で会見を行った。

木村は冒頭で、「たくさんのご支援をいただいてここまで来ることができました。世界には到底出られるような選手ではなかったのですが、会社のサポートと、ファンのみなさんからいつも温かいご声援をいただいて、世界で戦うことができました」と感謝を述べた。

広告の下にコンテンツが続きます

引退を考えだしたのは2018年頃からで、「2020年東京五輪までは目標を持って走り続けていきたい」と覚悟を持って臨んできた。その中で、レースに対する「新鮮さが感じられなくなっている」と感じていたという。「東京五輪を走ってみて(進退を)決めたいと思った」と言い、「またこの舞台、というよりは多くの方に支えられたという感謝の気持ちのほうが大きかったので一区切りにした」という。

思い出のレースについては「これというのは難しい」と話しつつ、「2017年ロンドン世界選手権の予選のレース」だと答えた。「2012年ロンドン五輪と同じ舞台で、同じ景色だったはずですが、自分の考え、競技者としての成長をスタートラインに立った瞬間に感じた」ことを理由に挙げる。

目標としていた12秒台には公認記録で届かなかったが、「12秒台は出したかったですが、それ以上に勝負していく大切さ、重要性を感じていました」と言うように、勝負強さにこだわりを持って競技生活を送ってきた。「楽しい競技人生を送らせていただいて、周りの人たちに感謝したい」と改めて感謝を述べる。

2月からはエディオンの一般種目コーチに就任予定。「今後は後進の育成と、一人でも多くのみなさんに陸上競技の魅力、楽しさを伝えられるように普及活動をして、夢を与えていくことができればと思います」と今後について語る。コーチだけではなく、「子供たちに身体を動かすこと、陸上競技は楽しいということを感じてもらいたい」と明かす。

昨年10月に広島大の大学院へ進学。「選手を取り巻く環境について研究を進めていきたい。人間関係のストレスは切っても切り離せない。ハードルだけではなく、世界で戦えていない種目を強化していきたい。その中で、組織をコーディネートしていくのが大事だと感じているので、研究結果とつなげて現場に生かしていきたいです」と言う。

「日本の陸上界は世界から遠ざかっているのが現状なので、一人でも多くの選手が世界で活躍してほしい。世界から遠い種目であっても、いろんな手を借りて、サポートをしていくことで得られるもの、力があると思っています。強化をしっかり行っていきたい」

後輩たちに向けて「自分以上に能力を持っている選手がたくさんいるので、どんどん自分を超えて、能力のない自分でも世界に出られたということは参考にしてほしい」とメッセージを送る。

ケガや五輪延期、世界の壁、13秒台の壁、いくつものハードルを越えて、日本女子スプリントハードルを牽引し、高みへと引き上げた木村。立場は変わっても、日本陸上界が「世界」に近づくように尽力していく。

写真提供/エディオン 女子100mハードルの木村文子(エディオン)が現役引退を発表し、広島市内で会見を行った。 木村は冒頭で、「たくさんのご支援をいただいてここまで来ることができました。世界には到底出られるような選手ではなかったのですが、会社のサポートと、ファンのみなさんからいつも温かいご声援をいただいて、世界で戦うことができました」と感謝を述べた。 引退を考えだしたのは2018年頃からで、「2020年東京五輪までは目標を持って走り続けていきたい」と覚悟を持って臨んできた。その中で、レースに対する「新鮮さが感じられなくなっている」と感じていたという。「東京五輪を走ってみて(進退を)決めたいと思った」と言い、「またこの舞台、というよりは多くの方に支えられたという感謝の気持ちのほうが大きかったので一区切りにした」という。 思い出のレースについては「これというのは難しい」と話しつつ、「2017年ロンドン世界選手権の予選のレース」だと答えた。「2012年ロンドン五輪と同じ舞台で、同じ景色だったはずですが、自分の考え、競技者としての成長をスタートラインに立った瞬間に感じた」ことを理由に挙げる。 目標としていた12秒台には公認記録で届かなかったが、「12秒台は出したかったですが、それ以上に勝負していく大切さ、重要性を感じていました」と言うように、勝負強さにこだわりを持って競技生活を送ってきた。「楽しい競技人生を送らせていただいて、周りの人たちに感謝したい」と改めて感謝を述べる。 2月からはエディオンの一般種目コーチに就任予定。「今後は後進の育成と、一人でも多くのみなさんに陸上競技の魅力、楽しさを伝えられるように普及活動をして、夢を与えていくことができればと思います」と今後について語る。コーチだけではなく、「子供たちに身体を動かすこと、陸上競技は楽しいということを感じてもらいたい」と明かす。 昨年10月に広島大の大学院へ進学。「選手を取り巻く環境について研究を進めていきたい。人間関係のストレスは切っても切り離せない。ハードルだけではなく、世界で戦えていない種目を強化していきたい。その中で、組織をコーディネートしていくのが大事だと感じているので、研究結果とつなげて現場に生かしていきたいです」と言う。 「日本の陸上界は世界から遠ざかっているのが現状なので、一人でも多くの選手が世界で活躍してほしい。世界から遠い種目であっても、いろんな手を借りて、サポートをしていくことで得られるもの、力があると思っています。強化をしっかり行っていきたい」 後輩たちに向けて「自分以上に能力を持っている選手がたくさんいるので、どんどん自分を超えて、能力のない自分でも世界に出られたということは参考にしてほしい」とメッセージを送る。 ケガや五輪延期、世界の壁、13秒台の壁、いくつものハードルを越えて、日本女子スプリントハードルを牽引し、高みへと引き上げた木村。立場は変わっても、日本陸上界が「世界」に近づくように尽力していく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.13

編集部コラム「あっという間の2025年」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

2025.12.13

早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 出雲駅伝、全日本大学駅伝で出走したルーキー・鈴木琉胤は「ハーフは走ったことがなくて、箱根でいきなりという不安はあります。 […]

NEWS 箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

2025.12.13

箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 この日は撮影と共通取材、個別取材を実施。共通取材で花田勝彦駅伝監督は「今年もかなり良いかたちで準備ができたと思っています […]

NEWS 連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通
PR

2025.12.13

連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通

2026年の幕開けを飾る全日本実業団対抗駅伝(通称・ニューイヤー駅伝)は、第70回の記念大会として1月1日、前橋市にある群馬県庁前をスタートし、上州路をぐるりと回って県庁に戻る7区間・総距離100kmのコースで行われる。 […]

NEWS ロス瑚花アディアが60m7秒48のユタ州立大新記録 東京・城西高出身で今秋から留学中

2025.12.13

ロス瑚花アディアが60m7秒48のユタ州立大新記録 東京・城西高出身で今秋から留学中

12月10日に米国・ユタ州でブリガム・ヤング大で行われた同大学招待競技会室内女子60mで、ロス瑚花アディア(ユタ州立大)が7秒48で4位に入った。従来のユタ州立大記録38年ぶりの更新となる。 ロスは東京・駒沢中から城西高 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top