2021.12.27

箱根駅伝Stories
東洋大学
Toyo University
12月29日の区間エントリーを直前に控え、箱根駅伝ムードが徐々に高まっている。「箱根駅伝Stories」と題し、12月下旬から本番まで計19本の特集記事を掲載していく。
第17回目は、前回3位で「鉄紺軍団」との愛称を持つ東洋大をクローズアップする。
出雲は3位と上位に食い込みながら、全日本は連続シードが「13」でストップする10位。もちろん、このまま終わるわけにはいかない。目標に掲げる「往路優勝」と「総合3位以内」に向け、じっくりとその実力を蓄えている。
往路V、総合3位以内がターゲット
10月の出雲駅伝は主軸である宮下隼人(4年)と松山和希(2年)を欠きながら3位。2人が復帰した11月の全日本大学駅伝は10位に沈み、連続シードを「13」でストップさせてしまった。果たして今季の東洋大は強いのか。鉄紺ファンはやきもきしていることだろう。
しかし、冷静に戦力を考えると、総合3位に入った前回よりもチーム力はパワーアップしていると見ていい。酒井俊幸監督は箱根駅伝の戦いを見据え、出雲駅伝と全日本大学駅伝で出場選手を振り分けてきた部分があるからだ。両駅伝で合計11人の選手が経験を積んだことに加え、さらに区間記録保持者の「5区宮下」という超強力カードもある。
では、今季ここまでの駅伝シーズンにおける東洋大の戦いを振り返っていこう。
出雲駅伝では3区終了時で8位と前半苦戦するも、4区・九嶋恵舜(2年)が区間2位と好走。追い上げムードを作ると、5区の石田洸介(1年)が4人抜きで2位に急上昇した。アンカーの柏優吾(3年)は青学大と國學院大と2位争いを演じて、3位でフィニッシュ。2位の青学大とは6秒差だった。
全日本大学駅伝は1区の佐藤真優(2年)が11位でスタートすると、4区の石田が区間賞。5区の梅崎蓮(1年)が3人抜きで5位に浮上した。5区終了時では優勝した駒大の前にいたのはチーム力がある証拠といえるだろう。
全日本大学駅伝は体調不良者が出た影響もあった。
しかし、箱根駅伝ではチーム力を集結させて、真っ向勝負に挑む。酒井監督は「往路は優勝を狙って、総合でも3位以内に入りたい」とトップ争いに切り込むつもりでいる。
前回大会は総合3位。写真は10区を走った清野太雅
5区・宮下の快走に注目
往路は前回2位のメンバーが4人も残っている。そこに出雲と全日本で連続区間賞を奪った石田が加わるかたちが濃厚だ。前回1区(区間9位)を務めた児玉悠輔(3年)は出雲でも1区を好走。トップの青学大・近藤幸太郎(3年)と8秒差で中継しており、今回も安心して1区を任せることができるだろう。
前回1年生ながら2区を区間4位で駆け抜けた松山は今季、右腸脛靭帯や右足底を痛めて、前半戦は苦しんだ。夏合宿から徐々に調子を上げて、全日本は7区で出場した。「6割ぐらい」の状態のなか、予定よりも突っ込んで入ったことで後半失速。区間13位に沈んだが、原因ははっきりしている。全日本以降は故障もなく順調にトレーニングを消化しており、2区に向かう準備は整いつつある。
「前回はもらった位置がかなり良くて、他の選手に引っ張ってもらった部分も大きかったと思います。自分ひとりだけの力で出したタイムではありません。今回は自分でしっかりとレースを作って、1年前の自分のタイム(1時間7分15秒)を超えたいです。前回走った経験を生かして、前半は楽な気持ちで入り、権太坂が終わった直後ぐらいから仕掛けて、残り3kmでもう1回仕掛けていきたい」
前回3区(区間8位)の前田義弘(3年)は出雲で3区(区間6位)、全日本で2区(区間8位)と主要区間で経験を積み、いずれも順位を押し上げている。箱根では3区もしくは4区が有力。他の選手が調子を上げてくれば、復路のエースとしての役割を担うことも予想されている。
5000mの前高校記録保持者・石田も3区もしくは4区出走が有力視されている。今季の前半戦は故障もあり、結果を残すことができなかったが、秋になって覚醒。出雲は向かい風のなかで強さを発揮して、全日本ではスピード感のある走りを見せている。
「本当に少しずつですけど、自信をつけています。距離への不安はありますが、終盤どれだけがんばれるかで変わってくる。個人としても区間賞3冠が懸かっているので、100%の状態に仕上げていきたい」
5区は主将・宮下が3年連続で務める予定で、「走るからには前々回の自分が出した記録を塗り替えて終わりたい」と意気揚々。前々回は1時間10分25秒の区間記録を樹立。前回は2年連続区間賞を逃したが、区間3位の走りで、3人抜きを演じている。箱根駅伝後は疲労骨折があり、その後も左右のバランスが崩れたことで、今季は故障に悩まされた。それでも「7割弱」くらいの状態で迎えた全日本大学駅伝は最終8区を区間6位でまとめている。
「区間賞と区間記録の更新が目標です。5区は宮ノ下を過ぎたあたりの傾斜が一番きつい。そこから1号線最高地点までは自分のストロングポイントだと思うので、そこで差をつけたいですね。出雲と全日本は4年生の存在感を示すことができなかった。最後は4年生が活躍して、今季のチームスローガンである『鉄紺の証明』を走りで立証したい」
他にも出雲駅伝で活躍した柏と九嶋、全日本でも好走を見せた佐藤と梅崎らが箱根に向けて力を蓄えている。さらに前回10区(区間9位)で総合3位のゴールに飛び込んだ清野太雅(3年)、前々回で7区(区間6位)を担った蝦夷森章太(4年)もエントリーメンバーに入った。
「箱根は走るべき選手の適性を見てオーダーを考えたい。2区と5区はもちろん、3区と4区も大切です。また上位でゴールするには復路の7区と8区。そこでどう上位に行けるのか。梅崎は強くなる雰囲気を持っていますし、おもしろい選手になると思います。前回6区(区間14位)の九嶋は他選手のメドが立てば平坦区間にまわすことも考えています。3位以内を目指すためにも、往路で優勝を狙えるようなオーダーを組んでいきたい」(酒井監督)
全日本10位からの逆襲へ。学生駅伝を締めくくる箱根駅伝で、鉄紺の“本当の強さ”を見せつける。

文/酒井政人
箱根駅伝Stories
東洋大学
Toyo University
12月29日の区間エントリーを直前に控え、箱根駅伝ムードが徐々に高まっている。「箱根駅伝Stories」と題し、12月下旬から本番まで計19本の特集記事を掲載していく。
第17回目は、前回3位で「鉄紺軍団」との愛称を持つ東洋大をクローズアップする。
出雲は3位と上位に食い込みながら、全日本は連続シードが「13」でストップする10位。もちろん、このまま終わるわけにはいかない。目標に掲げる「往路優勝」と「総合3位以内」に向け、じっくりとその実力を蓄えている。
往路V、総合3位以内がターゲット
10月の出雲駅伝は主軸である宮下隼人(4年)と松山和希(2年)を欠きながら3位。2人が復帰した11月の全日本大学駅伝は10位に沈み、連続シードを「13」でストップさせてしまった。果たして今季の東洋大は強いのか。鉄紺ファンはやきもきしていることだろう。 しかし、冷静に戦力を考えると、総合3位に入った前回よりもチーム力はパワーアップしていると見ていい。酒井俊幸監督は箱根駅伝の戦いを見据え、出雲駅伝と全日本大学駅伝で出場選手を振り分けてきた部分があるからだ。両駅伝で合計11人の選手が経験を積んだことに加え、さらに区間記録保持者の「5区宮下」という超強力カードもある。 では、今季ここまでの駅伝シーズンにおける東洋大の戦いを振り返っていこう。 出雲駅伝では3区終了時で8位と前半苦戦するも、4区・九嶋恵舜(2年)が区間2位と好走。追い上げムードを作ると、5区の石田洸介(1年)が4人抜きで2位に急上昇した。アンカーの柏優吾(3年)は青学大と國學院大と2位争いを演じて、3位でフィニッシュ。2位の青学大とは6秒差だった。 全日本大学駅伝は1区の佐藤真優(2年)が11位でスタートすると、4区の石田が区間賞。5区の梅崎蓮(1年)が3人抜きで5位に浮上した。5区終了時では優勝した駒大の前にいたのはチーム力がある証拠といえるだろう。 全日本大学駅伝は体調不良者が出た影響もあった。 しかし、箱根駅伝ではチーム力を集結させて、真っ向勝負に挑む。酒井監督は「往路は優勝を狙って、総合でも3位以内に入りたい」とトップ争いに切り込むつもりでいる。
前回大会は総合3位。写真は10区を走った清野太雅
5区・宮下の快走に注目
往路は前回2位のメンバーが4人も残っている。そこに出雲と全日本で連続区間賞を奪った石田が加わるかたちが濃厚だ。前回1区(区間9位)を務めた児玉悠輔(3年)は出雲でも1区を好走。トップの青学大・近藤幸太郎(3年)と8秒差で中継しており、今回も安心して1区を任せることができるだろう。 前回1年生ながら2区を区間4位で駆け抜けた松山は今季、右腸脛靭帯や右足底を痛めて、前半戦は苦しんだ。夏合宿から徐々に調子を上げて、全日本は7区で出場した。「6割ぐらい」の状態のなか、予定よりも突っ込んで入ったことで後半失速。区間13位に沈んだが、原因ははっきりしている。全日本以降は故障もなく順調にトレーニングを消化しており、2区に向かう準備は整いつつある。 「前回はもらった位置がかなり良くて、他の選手に引っ張ってもらった部分も大きかったと思います。自分ひとりだけの力で出したタイムではありません。今回は自分でしっかりとレースを作って、1年前の自分のタイム(1時間7分15秒)を超えたいです。前回走った経験を生かして、前半は楽な気持ちで入り、権太坂が終わった直後ぐらいから仕掛けて、残り3kmでもう1回仕掛けていきたい」 前回3区(区間8位)の前田義弘(3年)は出雲で3区(区間6位)、全日本で2区(区間8位)と主要区間で経験を積み、いずれも順位を押し上げている。箱根では3区もしくは4区が有力。他の選手が調子を上げてくれば、復路のエースとしての役割を担うことも予想されている。 5000mの前高校記録保持者・石田も3区もしくは4区出走が有力視されている。今季の前半戦は故障もあり、結果を残すことができなかったが、秋になって覚醒。出雲は向かい風のなかで強さを発揮して、全日本ではスピード感のある走りを見せている。 「本当に少しずつですけど、自信をつけています。距離への不安はありますが、終盤どれだけがんばれるかで変わってくる。個人としても区間賞3冠が懸かっているので、100%の状態に仕上げていきたい」 5区は主将・宮下が3年連続で務める予定で、「走るからには前々回の自分が出した記録を塗り替えて終わりたい」と意気揚々。前々回は1時間10分25秒の区間記録を樹立。前回は2年連続区間賞を逃したが、区間3位の走りで、3人抜きを演じている。箱根駅伝後は疲労骨折があり、その後も左右のバランスが崩れたことで、今季は故障に悩まされた。それでも「7割弱」くらいの状態で迎えた全日本大学駅伝は最終8区を区間6位でまとめている。 「区間賞と区間記録の更新が目標です。5区は宮ノ下を過ぎたあたりの傾斜が一番きつい。そこから1号線最高地点までは自分のストロングポイントだと思うので、そこで差をつけたいですね。出雲と全日本は4年生の存在感を示すことができなかった。最後は4年生が活躍して、今季のチームスローガンである『鉄紺の証明』を走りで立証したい」 他にも出雲駅伝で活躍した柏と九嶋、全日本でも好走を見せた佐藤と梅崎らが箱根に向けて力を蓄えている。さらに前回10区(区間9位)で総合3位のゴールに飛び込んだ清野太雅(3年)、前々回で7区(区間6位)を担った蝦夷森章太(4年)もエントリーメンバーに入った。 「箱根は走るべき選手の適性を見てオーダーを考えたい。2区と5区はもちろん、3区と4区も大切です。また上位でゴールするには復路の7区と8区。そこでどう上位に行けるのか。梅崎は強くなる雰囲気を持っていますし、おもしろい選手になると思います。前回6区(区間14位)の九嶋は他選手のメドが立てば平坦区間にまわすことも考えています。3位以内を目指すためにも、往路で優勝を狙えるようなオーダーを組んでいきたい」(酒井監督) 全日本10位からの逆襲へ。学生駅伝を締めくくる箱根駅伝で、鉄紺の“本当の強さ”を見せつける。
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