2021.12.06

◇第75回福岡国際マラソン(12月5日/福岡市・平和台陸上競技場発着)
数々の名勝負・名シーンを刻んできた伝統ある福岡で、地元企業・黒崎播磨所属の26歳が粘りの走りを見せて『世界』へ一歩近づいた。
来年のオレゴン世界選手権選考会および2024年パリ五輪選考会であるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催予定)の切符を懸けた第75回福岡国際マラソンが行われ、細谷恭平(黒崎播磨)が2時間8分16秒をマークして日本人トップの2位。MGC出場条件である日本人3位以内+2時間10分以内をクリアして出場権獲得第一号になった。
先頭集団のペースメーカーの設定は1km2分58秒。このハイペースにも序盤から招待選手を含め15人前後が常に集団を作った。20kmで元日本記録保持者の設楽悠太(Honda)が途中棄権。「一番の目標は優勝だった」と言う細谷もしっかりトップ集団におり、30km手前では一般参加の国内所属海外選手のジェームス・ルンガル(中央発條)、マイケル・ギザエ(スズキ)、そして高久龍(ヤクルト)、定方俊樹(三菱重工)、大塚祥平(九電工)らとともに先頭集団を形成する。
ペースメーカーが外れた30km。高久がギザエ、ルンガルと前に出て、細谷はやや遅れる。だが、「リズムが合わなかったですが、落ち着いてペースを戻せばいいかなと思いました」と焦りはなかった。その言葉通り細谷と定方が前を追って追いつくと、折り返し地点(31.6km)前に細谷が前に出る。しかし、ここで「一気に行こうと思ったのですがついてこられて、脚が思ったより動きませんでした」。
そこをつかれてギザエが35kmにペースアップ。「対応出来れば良かったのですが身体が動かず反応できませんでした。30kmの時と同じように少しずつ差を詰めればと思いましたが、苦しかったです」。持ち前の粘りは見せたが、ギザエとの差は広がってしまった。
それでも「日本人トップに切り替えた」と、最後まで粘りきり日本勢トップの2位は死守。フィニッシュ後は脱水症状が見られ医務室で点滴を打つほど過酷なレースだった。症状が落ち着いてから取材に応じ、MGC出場権をしっかり獲得したことに「パリ五輪を目指すためにはMGCが必須条件なので、それはよかったです」と安堵の表情を浮かべる。
1995年生まれの26歳。茨城の強豪・水城高時代には3年連続で全国高校駅伝を走り、2、3年ではエースが集う1区を務めている。中央学大でも力をつけ、箱根駅伝では3、4年時に5区区間3位と好走してチームのシード権獲得に貢献した。
指導する澁谷明憲監督は「大学までは成長期でケガも多かったですが、川崎(勇二)監督が無理させずに取り組まれていらっしゃいました。卒業してからはコツコツと地味な練習をして1年1年、ステップアップしてくれました」と言う。
『粘り』が信条で、「僕はセンスがあるタイプではないので、ひたすら前を追うタイプ。今日の粘りもいつも通りです」と笑う。初マラソンだった20年3月のびわ湖毎日では2時間28分47で“洗礼”を浴びたが、今年2月のびわ湖では日本歴代6位の2時間6分35秒と自己記録を22分以上も更新。だが、その際は3分ペースの集団について追い上げたため「びわ湖の後はスピードをつけようとトラックで自己記録を目指した」(澁谷監督)。その結果、5000m13分38秒14、10000m28分05秒88と狙い通り自己新。10日前の20km走でも2分58秒でしっかり走れ(調子が良すぎて18kmでストップ)、自信を持ってレースを迎えた。
2時間8分台と前半のハイペースからは落ちてしまい「経験不足で集団の中でうろうろしてしまって、(体力が)残らなかったのは反省点」と言うが、しっかり粘りを見せての日本人トップに“フロック”ではないことを証明。「まだ経験がないのですが、1度目は悪条件の中でダメで、2回目は好条件で後ろから上げていく、今回はあまり条件が良くない中でハイペースで行って粘るレース。身体の反応も違うし、一つひとつ対応しなくてはいけない。マラソンは奥が深いなって思いました」と、『レジェンド』が駆け抜けてきた最後の福岡で大きな収穫を得た。
「ひたすら日の丸を背負うという意識でやってきました。これからもそうやって取り組んでいきたい。MGCの切符も手に入れたので、少し(世界)が見えるようになりました。2分58秒ペースで30kmまでどれだけ余裕で行って、後半上げられるかが大事だと思います」と細谷。「エリートじゃない」という26歳のホープが、世界への第一歩を福岡で踏み出した。
◇第75回福岡国際マラソン(12月5日/福岡市・平和台陸上競技場発着)数々の名勝負・名シーンを刻んできた伝統ある福岡で、地元企業・黒崎播磨所属の26歳が粘りの走りを見せて『世界』へ一歩近づいた。来年のオレゴン世界選手権選考会および2024年パリ五輪選考会であるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催予定)の切符を懸けた第75回福岡国際マラソンが行われ、細谷恭平(黒崎播磨)が2時間8分16秒をマークして日本人トップの2位。MGC出場条件である日本人3位以内+2時間10分以内をクリアして出場権獲得第一号になった。先頭集団のペースメーカーの設定は1km2分58秒。このハイペースにも序盤から招待選手を含め15人前後が常に集団を作った。20kmで元日本記録保持者の設楽悠太(Honda)が途中棄権。「一番の目標は優勝だった」と言う細谷もしっかりトップ集団におり、30km手前では一般参加の国内所属海外選手のジェームス・ルンガル(中央発條)、マイケル・ギザエ(スズキ)、そして高久龍(ヤクルト)、定方俊樹(三菱重工)、大塚祥平(九電工)らとともに先頭集団を形成する。ペースメーカーが外れた30km。高久がギザエ、ルンガルと前に出て、細谷はやや遅れる。だが、「リズムが合わなかったですが、落ち着いてペースを戻せばいいかなと思いました」と焦りはなかった。その言葉通り細谷と定方が前を追って追いつくと、折り返し地点(31.6km)前に細谷が前に出る。しかし、ここで「一気に行こうと思ったのですがついてこられて、脚が思ったより動きませんでした」。そこをつかれてギザエが35kmにペースアップ。「対応出来れば良かったのですが身体が動かず反応できませんでした。30kmの時と同じように少しずつ差を詰めればと思いましたが、苦しかったです」。持ち前の粘りは見せたが、ギザエとの差は広がってしまった。それでも「日本人トップに切り替えた」と、最後まで粘りきり日本勢トップの2位は死守。フィニッシュ後は脱水症状が見られ医務室で点滴を打つほど過酷なレースだった。症状が落ち着いてから取材に応じ、MGC出場権をしっかり獲得したことに「パリ五輪を目指すためにはMGCが必須条件なので、それはよかったです」と安堵の表情を浮かべる。1995年生まれの26歳。茨城の強豪・水城高時代には3年連続で全国高校駅伝を走り、2、3年ではエースが集う1区を務めている。中央学大でも力をつけ、箱根駅伝では3、4年時に5区区間3位と好走してチームのシード権獲得に貢献した。指導する澁谷明憲監督は「大学までは成長期でケガも多かったですが、川崎(勇二)監督が無理させずに取り組まれていらっしゃいました。卒業してからはコツコツと地味な練習をして1年1年、ステップアップしてくれました」と言う。『粘り』が信条で、「僕はセンスがあるタイプではないので、ひたすら前を追うタイプ。今日の粘りもいつも通りです」と笑う。初マラソンだった20年3月のびわ湖毎日では2時間28分47で“洗礼”を浴びたが、今年2月のびわ湖では日本歴代6位の2時間6分35秒と自己記録を22分以上も更新。だが、その際は3分ペースの集団について追い上げたため「びわ湖の後はスピードをつけようとトラックで自己記録を目指した」(澁谷監督)。その結果、5000m13分38秒14、10000m28分05秒88と狙い通り自己新。10日前の20km走でも2分58秒でしっかり走れ(調子が良すぎて18kmでストップ)、自信を持ってレースを迎えた。2時間8分台と前半のハイペースからは落ちてしまい「経験不足で集団の中でうろうろしてしまって、(体力が)残らなかったのは反省点」と言うが、しっかり粘りを見せての日本人トップに“フロック”ではないことを証明。「まだ経験がないのですが、1度目は悪条件の中でダメで、2回目は好条件で後ろから上げていく、今回はあまり条件が良くない中でハイペースで行って粘るレース。身体の反応も違うし、一つひとつ対応しなくてはいけない。マラソンは奥が深いなって思いました」と、『レジェンド』が駆け抜けてきた最後の福岡で大きな収穫を得た。「ひたすら日の丸を背負うという意識でやってきました。これからもそうやって取り組んでいきたい。MGCの切符も手に入れたので、少し(世界)が見えるようになりました。2分58秒ペースで30kmまでどれだけ余裕で行って、後半上げられるかが大事だと思います」と細谷。「エリートじゃない」という26歳のホープが、世界への第一歩を福岡で踏み出した。RECOMMENDED おすすめの記事
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