HOME 特集

2021.11.27

【展望】JP日本郵政グループが3連覇へ着々、前回2位の積水化学、予選トップの資生堂が追う/全日本実業団対抗女子駅伝
    【展望】JP日本郵政グループが3連覇へ着々、前回2位の積水化学、予選トップの資生堂が追う/全日本実業団対抗女子駅伝


    3連覇を狙うJP日本郵政グループを引っ張る廣中璃梨佳(写真は前回大会)

    第41回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城)は11月28日、宮城県松島町文化観光交流館前から仙台市陸上競技場(弘進ゴムアスリートパーク仙台)までの6区間42.195kmのコースで行われる。昨年設けられるはずだった第40回記念大会枠の「6」が新型コロナウイルス感染症対策のため今回にスライド。前回大会でシード権を獲得した上位8チームと、予選会(プリンセス駅伝in宗像・福津/10月24日)と突破した20チーム、計28チームが「駅伝クイーン」の座を争う。

    広告の下にコンテンツが続きます

    昨年はJP日本郵政グループは2時間13分34秒の大会新記録で2連覇を達成。1分16秒差で2位だった積水化学も、3区・新谷仁美の区間新で一時首位に立つなど過去最高順位をつかんだ。優勝争いはもちろん、8位までに与えられる次回のシード権を懸けた争いも年々激しさを増しており、今年も各区間で目の離せない展開となりそうだ。

    21歳・廣中と鈴木の五輪代表コンビが牽引

    その中で、優勝争いの中心となるのは、史上4チーム目の3連覇がかかるJP日本郵政グループだろう。会社の創立150周年という節目を飾るべく、準備を進めている。

    チームの主軸を担ってきた鍋島莉奈が登録メンバーから外れたが、東京五輪代表の廣中璃梨佳と鈴木亜由子の存在が大きい。特に2年連続1区区間賞の廣中は、東京五輪では5000mは9位ながら14分52秒84の日本新、10000mは31分00秒71の自己新で7位入賞と、11月24日に21歳の誕生日を迎えたばかりだが、今や日本女子長距離界を引っ張るランナーへと成長した。

    廣中が3年連続の1区か、それとも最長10.9kmの3区に入るのか。高橋昌彦監督の戦略に注目だが、1区(7.6km)に入るとすれば、2位に31秒差をつける区間新をマークした昨年以上の激走が求められるだろう。

    廣中以外の主要区間は鈴木と、前回6区区間賞の大西ひかり、4年目でチームキャプテンを務める太田琴菜が担う見込み。さらにはトラックレースで実績を積んだ高卒ルーキートリオ、小坂井智絵(千葉・成田高卒)、三原梓(京都・立命館宇治高卒)、土井葉月(須磨学園高卒)が脇を固めるオーダーは、やはりV候補筆頭と呼ぶにふさわしいものとなりそうだ。


    初優勝を目指す積水化学は新谷仁美の仕上がりがカギを握りそう(写真は前回大会)

    新谷擁する積水化学は初V、勢いに乗る資生堂は15年ぶり栄冠なるか

    対抗はやはり、昨年に予選会1位通過から過去最高の2位へと駆け上がった積水化学だろう。こちらも東京五輪に新谷と卜部蘭の2人を送り出した。新谷は、五輪は10000mで21位どまり。従来の区間記録を1分10秒も塗り替え、その2週間後の日本選手権10000mで30分20秒44の驚異的日本新を出した昨年の同時期のような走りとまではいかないだろうが、それでも他チームの脅威となるのは間違いない。

    一方で、五輪で1500mに出場した卜部は、予選敗退ながら日本歴代3位の4分07秒90をマーク。10月には1000mで、東京五輪で7位入賞を果たした田中希実(豊田自動織機TC)と大接戦を演じるなどそのスピードに磨きがかかってきた。そこに、9月末の全日本実業団対抗選手権で5000m7位(15分08秒72の自己新)、10000m日本人トップ(2位)の佐藤早也伽を加えた「3本柱」は今年も強力だ。

    昨年は佐藤、卜部、新谷を1~3区に並べ、新谷で首位に立ち、5区途中までその座をキープした。課題は、JP日本郵政グループに2分以上もやられた終盤2区間。森智香子、木村梨七あたりがいかに踏ん張れるかが、初優勝への大きなカギとなる。


    予選会をトップ通過して勢いに乗る資生堂(写真はアンカーの前田海音)

    優勝候補としてもう1チーム挙げたいのが、予選会1位通過の資生堂だ。2006年以来15年ぶりの優勝に向けて、名門が虎視眈々と戦力を整えている。

    予選会は1区の主将・木村友香の区間新で主導権を握ると、2区でいったん譲った首位の座を、3区の佐藤成葉が奪い返してその後は独走。2位の天満屋に1分21秒もの大差をつけた。

    近年の苦戦からの脱却を図るべく3ヵ年計画で強化を進め、今年はその中間年。6月にヘッドコーチから昇格した岩水義孝監督が、スピード豊かな若手から、経験豊富なベテランまで、バランスの良いチームを作り上げている。

    2016年リオ五輪10000m代表の33歳・高島由香は、前回大会2日前に坐骨の痛みで急遽欠場となった悔しさを秘め、予選会で5区区間新と存在をアピール。2019年ドーハ世界選手権5000m代表の木村も、東京五輪代表入りこそ逃したが、駅伝で持ち味のスピードを示した。佐藤と同じ2年目の五島莉乃ら日本人選手の層も厚いうえ、JP日本郵政グループや積水化学にはいない外国人選手、全日本実業団対抗選手権5000m優勝のジュディ・ジェブングティチがいることも大きな強みだ。予選会でつけた勢いのまま、頂点へと駆け上がる可能性も十分秘めている。

    戦力的には以上の3チームが抜けている印象だが、少しでも隙を見せれば、シードや予選会上位などから逆転の力を備えたチームがひしめく。

    前回3位の豊田自動織機、東京五輪マラソン8位の一山麻緒、同10000m出場の安藤友香を擁するワコール、伸び盛りの若手がそろうデンソー、長距離区間で強さを見せそうなヤマダホールディングス、17年、18年と2連覇したパナソニック、4年ぶりシードチームとして挑む九電工の中では、ワコールが優勢か。予選会からは天満屋、第一生命グループ、大塚製薬、エディオン、ダイハツあたりが浮上してきそうだ。

    初出場は岩谷産業、ダイソー、ニトリ、埼玉医大グループの4チームとなる。

    個人では前述した五輪代表たちに加え、エディオンのエース・萩谷楓の走りに注目。東京五輪5000mで自己新(15分04秒95)をマークしたあと、秋も9月の全日本実業団対抗選手権5000mで14分台(14分59秒36)、予選会では3区区間賞など好調だ。

    スタートは12時15分、レースはTBS系列で生中継される。

    第41回全日本実業団対抗女子駅伝出場チーム一覧

    3連覇を狙うJP日本郵政グループを引っ張る廣中璃梨佳(写真は前回大会)第41回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城)は11月28日、宮城県松島町文化観光交流館前から仙台市陸上競技場(弘進ゴムアスリートパーク仙台)までの6区間42.195kmのコースで行われる。昨年設けられるはずだった第40回記念大会枠の「6」が新型コロナウイルス感染症対策のため今回にスライド。前回大会でシード権を獲得した上位8チームと、予選会(プリンセス駅伝in宗像・福津/10月24日)と突破した20チーム、計28チームが「駅伝クイーン」の座を争う。昨年はJP日本郵政グループは2時間13分34秒の大会新記録で2連覇を達成。1分16秒差で2位だった積水化学も、3区・新谷仁美の区間新で一時首位に立つなど過去最高順位をつかんだ。優勝争いはもちろん、8位までに与えられる次回のシード権を懸けた争いも年々激しさを増しており、今年も各区間で目の離せない展開となりそうだ。

    21歳・廣中と鈴木の五輪代表コンビが牽引

    その中で、優勝争いの中心となるのは、史上4チーム目の3連覇がかかるJP日本郵政グループだろう。会社の創立150周年という節目を飾るべく、準備を進めている。チームの主軸を担ってきた鍋島莉奈が登録メンバーから外れたが、東京五輪代表の廣中璃梨佳と鈴木亜由子の存在が大きい。特に2年連続1区区間賞の廣中は、東京五輪では5000mは9位ながら14分52秒84の日本新、10000mは31分00秒71の自己新で7位入賞と、11月24日に21歳の誕生日を迎えたばかりだが、今や日本女子長距離界を引っ張るランナーへと成長した。廣中が3年連続の1区か、それとも最長10.9kmの3区に入るのか。高橋昌彦監督の戦略に注目だが、1区(7.6km)に入るとすれば、2位に31秒差をつける区間新をマークした昨年以上の激走が求められるだろう。廣中以外の主要区間は鈴木と、前回6区区間賞の大西ひかり、4年目でチームキャプテンを務める太田琴菜が担う見込み。さらにはトラックレースで実績を積んだ高卒ルーキートリオ、小坂井智絵(千葉・成田高卒)、三原梓(京都・立命館宇治高卒)、土井葉月(須磨学園高卒)が脇を固めるオーダーは、やはりV候補筆頭と呼ぶにふさわしいものとなりそうだ。 初優勝を目指す積水化学は新谷仁美の仕上がりがカギを握りそう(写真は前回大会)

    新谷擁する積水化学は初V、勢いに乗る資生堂は15年ぶり栄冠なるか

    対抗はやはり、昨年に予選会1位通過から過去最高の2位へと駆け上がった積水化学だろう。こちらも東京五輪に新谷と卜部蘭の2人を送り出した。新谷は、五輪は10000mで21位どまり。従来の区間記録を1分10秒も塗り替え、その2週間後の日本選手権10000mで30分20秒44の驚異的日本新を出した昨年の同時期のような走りとまではいかないだろうが、それでも他チームの脅威となるのは間違いない。一方で、五輪で1500mに出場した卜部は、予選敗退ながら日本歴代3位の4分07秒90をマーク。10月には1000mで、東京五輪で7位入賞を果たした田中希実(豊田自動織機TC)と大接戦を演じるなどそのスピードに磨きがかかってきた。そこに、9月末の全日本実業団対抗選手権で5000m7位(15分08秒72の自己新)、10000m日本人トップ(2位)の佐藤早也伽を加えた「3本柱」は今年も強力だ。昨年は佐藤、卜部、新谷を1~3区に並べ、新谷で首位に立ち、5区途中までその座をキープした。課題は、JP日本郵政グループに2分以上もやられた終盤2区間。森智香子、木村梨七あたりがいかに踏ん張れるかが、初優勝への大きなカギとなる。 予選会をトップ通過して勢いに乗る資生堂(写真はアンカーの前田海音)優勝候補としてもう1チーム挙げたいのが、予選会1位通過の資生堂だ。2006年以来15年ぶりの優勝に向けて、名門が虎視眈々と戦力を整えている。予選会は1区の主将・木村友香の区間新で主導権を握ると、2区でいったん譲った首位の座を、3区の佐藤成葉が奪い返してその後は独走。2位の天満屋に1分21秒もの大差をつけた。近年の苦戦からの脱却を図るべく3ヵ年計画で強化を進め、今年はその中間年。6月にヘッドコーチから昇格した岩水義孝監督が、スピード豊かな若手から、経験豊富なベテランまで、バランスの良いチームを作り上げている。2016年リオ五輪10000m代表の33歳・高島由香は、前回大会2日前に坐骨の痛みで急遽欠場となった悔しさを秘め、予選会で5区区間新と存在をアピール。2019年ドーハ世界選手権5000m代表の木村も、東京五輪代表入りこそ逃したが、駅伝で持ち味のスピードを示した。佐藤と同じ2年目の五島莉乃ら日本人選手の層も厚いうえ、JP日本郵政グループや積水化学にはいない外国人選手、全日本実業団対抗選手権5000m優勝のジュディ・ジェブングティチがいることも大きな強みだ。予選会でつけた勢いのまま、頂点へと駆け上がる可能性も十分秘めている。戦力的には以上の3チームが抜けている印象だが、少しでも隙を見せれば、シードや予選会上位などから逆転の力を備えたチームがひしめく。前回3位の豊田自動織機、東京五輪マラソン8位の一山麻緒、同10000m出場の安藤友香を擁するワコール、伸び盛りの若手がそろうデンソー、長距離区間で強さを見せそうなヤマダホールディングス、17年、18年と2連覇したパナソニック、4年ぶりシードチームとして挑む九電工の中では、ワコールが優勢か。予選会からは天満屋、第一生命グループ、大塚製薬、エディオン、ダイハツあたりが浮上してきそうだ。初出場は岩谷産業、ダイソー、ニトリ、埼玉医大グループの4チームとなる。個人では前述した五輪代表たちに加え、エディオンのエース・萩谷楓の走りに注目。東京五輪5000mで自己新(15分04秒95)をマークしたあと、秋も9月の全日本実業団対抗選手権5000mで14分台(14分59秒36)、予選会では3区区間賞など好調だ。スタートは12時15分、レースはTBS系列で生中継される。第41回全日本実業団対抗女子駅伝出場チーム一覧

    次ページ:

           

    RECOMMENDED おすすめの記事

        

    Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

             

    Latest articles 最新の記事

    2026.09.29

    【高平慎士の視点】メダルに届かなかった日本4継 あるべく場所へ「チーム力」を一丸で高めることが最重要/名古屋アジア大会

    9月28日に愛知県名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われた名古屋アジア大会の男子4×100mリレー決勝で、多田修平(住友電工)、小室歩久斗(中大)、桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)のオーダーで臨んだ日本は38秒 […]

    NEWS 大会最終日! 800m落合 64年ぶり金メダルなるか、 2日連続のメダル狙う森 リレー3種目にも注目/名古屋アジア大会

    2026.09.29

    大会最終日! 800m落合 64年ぶり金メダルなるか、 2日連続のメダル狙う森 リレー3種目にも注目/名古屋アジア大会

    ◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)7日目 名古屋アジア大会は9月29日、パロマ瑞穂スタジアムで最終日を迎える。イブニングセッションでは女子800m、男子5000mなど […]

    NEWS 3000m障害・三浦龍司、1500m・飯澤千翔が金!400mH後藤大樹が47秒93、4継は女子銅・男子5位/名古屋アジア大会

    2026.09.29

    3000m障害・三浦龍司、1500m・飯澤千翔が金!400mH後藤大樹が47秒93、4継は女子銅・男子5位/名古屋アジア大会

    ◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)6日目 名古屋アジア大会の6日目が行われ、日本は男子3000m障害、男子1500mで金メダルを獲得した。 広告の下にコンテンツが続き […]

    NEWS 400mH・後藤大樹が47秒93で銀! 得意レースで逆転されるも「大人の世界は広いと学べた」/名古屋アジア大会

    2026.09.29

    400mH・後藤大樹が47秒93で銀! 得意レースで逆転されるも「大人の世界は広いと学べた」/名古屋アジア大会

    ◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)6日目 名古屋アジア大会の6日目の午後セッションに男子400mハードル決勝が行われ、後藤大樹(洛南高2京都)は日本歴代2位タイ、U2 […]

    NEWS 日本4継は4大会ぶりメダル届かず5位「悔しさ」糧に伝統復活への道模索/名古屋アジア大会

    2026.09.29

    日本4継は4大会ぶりメダル届かず5位「悔しさ」糧に伝統復活への道模索/名古屋アジア大会

    ◇第20回アジア大会・陸上競技(9月23~29日/愛知県名古屋市・パロマ瑞穂スタジアム)6日目 名古屋アジア大会の6日目の午後セッションに男子4×100mリレー決勝が行われ、日本は38秒57で5位となった。 広告の下にコ […]

      SNS

      Latest Issue 最新号最新号

      2026年10月号 (9月14日発売)

      2026年10月号 (9月14日発売)

      アジア大会総展望
      山口全中&日本インカレ
      サウェ特集

      page top