HOME 駅伝

2021.11.08

駒大がアンカー決戦制し14度目V「トップに立てば逃げ切れる」田澤7区起用的中/全日本大学駅伝
駒大がアンカー決戦制し14度目V「トップに立てば逃げ切れる」田澤7区起用的中/全日本大学駅伝


◇第53回全日本大学駅伝(2021年11月7日/愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮:8区間106.8km)

2018年大会から距離設定が変更したが、今年も伊勢路を知り尽くした名将の采配がズバリと的中した。2年連続のアンカー決戦となった2021年の全日本大学駅伝。前回王者・駒大が5時間12分58秒で優勝し、2年連続14度目の日本一に輝いた。

広告の下にコンテンツが続きます

前回は田澤廉(当時2年)が最終8区で東海大、青学大との『エース対決』を制した。本来であれば田澤を8区に起用するのがセオリーだが、そこは名将・大八木弘明監督。今回は鈴木芽吹(2年)、唐澤拓海(2年)ら中心選手をケガなどで起用できなかった。そのため、絶対エースの田澤を7区に配置して勝負に出た。

「田澤をアンカーに持っていくとその前にだいぶ離される恐れがあるので、その手前で食い止めなきゃいけない。安定感のある花尾をアンカーに持っていけば、田澤でトップに立てれば逃げ切れるかなという計算でした」(大八木監督)

駒大は1区でルーキー・佐藤条二が区間新記録でトップを奪うも、2区の青柿響(2年)と3区・佃康平(4年)は苦戦して、11位まで後退した。4区・赤星雄斗(2年)と5区・東山静也(3年)が9位に粘ると、ここから王者の反撃が始まった。

圧巻だったのが6区の安原太陽(2年)。見事な5抜きの快走で4位に浮上した。6区終了時点でトップを行く東京国際大とは1分36秒差があった。ところが、勝負の7区で絶対エースが激走する。田澤は日本人最高記録を塗り替えて首位に立つと、ほぼ同時にスタートを切った青学大のエース・近藤幸太郎(3年)に18秒差をつけた。

広告の下にコンテンツが続きます

最終8区の花尾恭輔(2年)は青学大・飯田貴之(4年)に追いつかれたが、前を譲らない。そして残り2kmで突き放した。

「後ろに引いたら負けかなと思っていました。監督には『ヒヤヒヤしたぞ』と言われたんですけど、後半で上げられる自分らしいレースはできたのかなと思います」と花尾は胸を張った。

「6~8区で前に行こうという計画を立てていたので、5区までの選手たちがすごく頑張ってくれたということです。正直、優勝までは厳しいかなという気持ちはあったんです。でも6区安原が前の方に行ってくれましたので、もしかしたらという気持ちに変わりました」(大八木監督)

連覇を狙うチームだったが、今回は学生駅伝初出場者が4人。大八木監督は、「目標を3番くらいに落とした方が選手たちも気楽にやれる。経験させながら結果を出す方向を考えました」と選手たちのメンタル面もうまくコントロールした。

「鈴木芽吹、山野力、篠原倖太朗らを起用しようかなと思いましたけど、彼らの代わりにチャンスをもらった選手たちが一生懸命走ってくれた。これはチームにとって大きな材料になりましたね。今後はレギュラークラスを復帰させて、箱根に向けて20㎞という距離をしっかりと取り組んでいきたい。箱根は勝ちにいきたいと思います」

出雲は5位に沈んだが、得意の全日本でプライドを取り戻した王者・駒大。2年連続の駅伝2冠に向けて突き進む──。

◇第53回全日本大学駅伝(2021年11月7日/愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮:8区間106.8km) 2018年大会から距離設定が変更したが、今年も伊勢路を知り尽くした名将の采配がズバリと的中した。2年連続のアンカー決戦となった2021年の全日本大学駅伝。前回王者・駒大が5時間12分58秒で優勝し、2年連続14度目の日本一に輝いた。 前回は田澤廉(当時2年)が最終8区で東海大、青学大との『エース対決』を制した。本来であれば田澤を8区に起用するのがセオリーだが、そこは名将・大八木弘明監督。今回は鈴木芽吹(2年)、唐澤拓海(2年)ら中心選手をケガなどで起用できなかった。そのため、絶対エースの田澤を7区に配置して勝負に出た。 「田澤をアンカーに持っていくとその前にだいぶ離される恐れがあるので、その手前で食い止めなきゃいけない。安定感のある花尾をアンカーに持っていけば、田澤でトップに立てれば逃げ切れるかなという計算でした」(大八木監督) 駒大は1区でルーキー・佐藤条二が区間新記録でトップを奪うも、2区の青柿響(2年)と3区・佃康平(4年)は苦戦して、11位まで後退した。4区・赤星雄斗(2年)と5区・東山静也(3年)が9位に粘ると、ここから王者の反撃が始まった。 圧巻だったのが6区の安原太陽(2年)。見事な5抜きの快走で4位に浮上した。6区終了時点でトップを行く東京国際大とは1分36秒差があった。ところが、勝負の7区で絶対エースが激走する。田澤は日本人最高記録を塗り替えて首位に立つと、ほぼ同時にスタートを切った青学大のエース・近藤幸太郎(3年)に18秒差をつけた。 最終8区の花尾恭輔(2年)は青学大・飯田貴之(4年)に追いつかれたが、前を譲らない。そして残り2kmで突き放した。 「後ろに引いたら負けかなと思っていました。監督には『ヒヤヒヤしたぞ』と言われたんですけど、後半で上げられる自分らしいレースはできたのかなと思います」と花尾は胸を張った。 「6~8区で前に行こうという計画を立てていたので、5区までの選手たちがすごく頑張ってくれたということです。正直、優勝までは厳しいかなという気持ちはあったんです。でも6区安原が前の方に行ってくれましたので、もしかしたらという気持ちに変わりました」(大八木監督) 連覇を狙うチームだったが、今回は学生駅伝初出場者が4人。大八木監督は、「目標を3番くらいに落とした方が選手たちも気楽にやれる。経験させながら結果を出す方向を考えました」と選手たちのメンタル面もうまくコントロールした。 「鈴木芽吹、山野力、篠原倖太朗らを起用しようかなと思いましたけど、彼らの代わりにチャンスをもらった選手たちが一生懸命走ってくれた。これはチームにとって大きな材料になりましたね。今後はレギュラークラスを復帰させて、箱根に向けて20㎞という距離をしっかりと取り組んでいきたい。箱根は勝ちにいきたいと思います」 出雲は5位に沈んだが、得意の全日本でプライドを取り戻した王者・駒大。2年連続の駅伝2冠に向けて突き進む──。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.29

【高校生FOCUS】走高跳・中村佳吾(関大北陽高)「プレッシャーがあったほうが跳べる」

FOCUS! 高校生INTERVIEW 中村佳吾 Nakamura Keigo 関大北陽3大阪 毎月恒例掲載の高校生FOCUSは、男子走高跳の中村佳吾選手(関大北陽3大阪)に2025年を締めくくってもらいます。7月の広島 […]

NEWS インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

2025.12.29

インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

2025.12.29

全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 全日本大学駅伝を制し、3年ぶりの優勝を狙う駒大は前回経験者4人を登録。1区は伊勢路でも同区間で区間4位と好走した小山翔也(3年) […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 出雲駅伝を制し、悲願の初優勝を狙う國學院大は2区に主将の上原琉翔(4年)を登録。1区には前回6区の嘉数純平(4年)、4区には出雲 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top