東京五輪男子マラソン6位の大迫傑(Nike)が9月27日、法人「株式会社I(アイ)」を9月15日付で設立し、同法人の代表取締役に就任したことを発表した。
これまで、トラックやマラソンでさまざまな実績を残してきた大迫。その経験で得た知見を「たくさんの人たちに届けたい」と考えていたという。東京五輪でラストランを終え、この思いを持続可能なかたちで実行するために、法人を設立したとしている。社名のIは、「『私』。いまを生きる『あなた自身』」を示すという。
事業概要は主に育成、アスリートマネジメント、地域活性化の3つを掲げている。育成事業では未来のアスリートを育成する大学生対象プログラム「Sugar Elite」や、大迫自身の知見を子供たちに伝える「Sugar Elite KIDs」の開催。アスリートマネジメント事業については、通常のマネジメントに留まらず、大迫の目指すアスリートとしてのあり方の啓発・教育を含めたマネジメントを手掛けるという。地域活性化事業はランニング文化の醸成を通して、地域活性化のコンサルティング、アドバイス等を行う。
その他にも学校やビジネスの現場を対象として教育・研修事業や健康増進事業、メディア事業など、法人の理念を実現するために必要な事業を展開する予定だ。
これらの事業を、「『愛』と『ファーストの精神』を持って取り組む」というのが法人のミッション。そのために、過去の常識にとらわれない本質を見極める「『本質』ファースト」や、自分だけのオンリーワンの価値を見つける「『自分』ファースト」、地元で夢をかなえることを目指す「『地元』ファースト」、それぞれの挑戦の「はじめの一歩」を後押しする「ファーストステップ」を掲げる。
役員は代表取締役(社長)の大迫の他に、取締役には青学大時代に主務として2015年箱根駅伝総合初Vに貢献した高木聖也氏が就任。すでに法人のホームページも立ち上げている。
大迫から社名に込めた思いは次の通り。
「I」は、「私」。いまを生きる「あなた自身」を意味します。
現役中、「常識を超えている」と私の言動を受け取られることしばしばありましたが、私の中では「超常識」な行動をとること自体が目的ではありませんでした。自分の目標をどうやったら達成できるか。辿りつきたいゴールから逆算して、シンプルに最短距離で向かおうとしたことが、結果的にいろいろな受け止め方を生みました。
目標まで最短距離で走るために大切にしたことは、常に「自分を主語に」して、自分の頭で考えるということでした。例えば、指導者や先輩など、誰かが「こうだ」と言ったとしても、それまでの常識がそうだとしても、「自分を主語に」してシンプルに考え抜くと、違う答えが見つかりました。また、靴一足で世界各地を回りましたが、ケニアなどを訪れて感じたことは、モノこそ十分にはないかもしれないけれど、そこに暮らす人たちが幸せそうなのに対して、日本ではモノは溢れているけれど、幸福ではない人が多いということでした。
アスリートが人々を感動させるのは、余計なものを削ぎ落とし、ひたむきに努力しゴールに向かおうとしているからです。私の実体験から、モノや常識に左右されず、「自分を主語に」するだけで、幸福度が上がり、イキイキとした人生を送れるはずです。誤解して頂きたくないのは、自分の人生を豊かにすることは、自己中心的に生きることではありません。自分が幸せだからこそ、周りの人の幸せも大切にできるということです。
自分ファーストで世界を幸せにする。このことを多くの人たちに、愛をもってお伝えしたい。自分の人生の主人公になるお手伝いを通して、世界中に幸せをあふれさせたい。
そんな思いが、社名を「I」とした理由です。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)