2019.08.11
National Record Memorial Interview
高山峻野(男子110mH・ゼンリン)
着実な上積みで
〝想定外〟の日本記録連発

7月27日の実業団・学生対抗で13秒30(+1.9)の日本新記録を打ち立てた高山峻野(ゼンリン)。今シーズンは2度も日本タイを記録しており、まさに3度目の正直だった
まさに3度目の正直だった。6月、布勢スプリントと日本選手権で13秒36の日本タイ記録を2度にわたってマークしていた高山峻野(ゼンリン)。7月27日の2019オールスターナイト陸上(秩父宮賜杯第59回実業団・学生対抗陸上競技大会)で、その壁を一気に突き破る13秒30の日本新記録を樹立した。日本選手権を3度制し、日本記録を樹立しても、その〝マイペース〟は変わらない。現在地と目指すべき場所は明確。ここにたどり着くまでの過程、日本スプリントハードル界の現状、そしてこれから先の展望を聞いた。
構成/向永拓史
撮影/船越陽一郎
3台目までにレースを作れた
――改めまして、日本新記録(13秒30 /+1.9)の樹立おめでとうございます。
高山 ありがとうございます。まだタイムを出したという実感はないのですが、素直にうれしく思います。出社日には会社のみなさんも喜んでくれました。
――実業団・学生対抗にはどのような状態で臨まれたのでしょう。
高山 日本選手権(6月末)が終わってから疲労を取って、体調面は万全の状態でした。自己ベストかそれに近いタイムを出そう、と。ただ、どうも調整がうまくいかな
くて、前日練習も脚をハードルにぶつけていました。それでも競技場に着いた時はやる気があったんです。でも、ウォーミングアップをやって、「今日はダメだな」と。
ハードルで膝を久々に強打して……。気持ちが落ちました。ただ、直前の女子100mハードルでいいタイムが出ていたので、「風が吹けば行けるんじゃないか」と気持ちを
切り替えることができました。
――走りを振り返っていただけますか。
高山 ずっと取り組んでいた「3台目までにレースを作る」という部分が、しっかりできていたと思います。
――感覚としては、布勢スプリントや日本選手権との違いはありましたか。
高山 布勢の時はスピード感がなかったので、どうして(13秒36が)出たのかわかりませんでした。でも、今回は自分で地面をとらえている感じがありました。スタート
はゆっくり出たつもりでしたが、思いのほか前にいて、これは調子がいい時の証。インターバルをうまく刻めればベストに近いタイムが出るかも、と思っていました。
―― いつも競り合う泉谷駿介選手(順大)が、少し遅れました(2着、13秒60)。
高山 隣にいると視界に入りますが、今回はレーンが離れていたので(※高山4レーン、泉谷7レーン)、気になりませんでした。泉谷君はユニバーシアードの疲れなど
があっただけだと思います。
――13秒30というタイムについては、どのように感じていますか。
高山 まったくの想定外。そもそも13秒36でさえ、想定外です。冬季練習の感じからいっても、ベスト(去年までのベスト13秒44 / 17年)を少し更新できればいいな、
と思っていたので、まさか13秒3台が出るとは思いもしませんでした。
――東京五輪の参加標準記録(13秒32)も突破されました。
高山 切れればうれしいな、という思いは持っていましたが、特に意識はしていません。ベストを出し続けた延長にあると思っていました。
※この続きは2019年8月10日発売の『月刊陸上競技』9月号をご覧ください
National Record Memorial Interview 高山峻野(男子110mH・ゼンリン)
着実な上積みで 〝想定外〟の日本記録連発
[caption id="attachment_4027" align="aligncenter" width="400"]
3台目までにレースを作れた
――改めまして、日本新記録(13秒30 /+1.9)の樹立おめでとうございます。 高山 ありがとうございます。まだタイムを出したという実感はないのですが、素直にうれしく思います。出社日には会社のみなさんも喜んでくれました。 ――実業団・学生対抗にはどのような状態で臨まれたのでしょう。 高山 日本選手権(6月末)が終わってから疲労を取って、体調面は万全の状態でした。自己ベストかそれに近いタイムを出そう、と。ただ、どうも調整がうまくいかな くて、前日練習も脚をハードルにぶつけていました。それでも競技場に着いた時はやる気があったんです。でも、ウォーミングアップをやって、「今日はダメだな」と。 ハードルで膝を久々に強打して……。気持ちが落ちました。ただ、直前の女子100mハードルでいいタイムが出ていたので、「風が吹けば行けるんじゃないか」と気持ちを 切り替えることができました。 ――走りを振り返っていただけますか。 高山 ずっと取り組んでいた「3台目までにレースを作る」という部分が、しっかりできていたと思います。 ――感覚としては、布勢スプリントや日本選手権との違いはありましたか。 高山 布勢の時はスピード感がなかったので、どうして(13秒36が)出たのかわかりませんでした。でも、今回は自分で地面をとらえている感じがありました。スタート はゆっくり出たつもりでしたが、思いのほか前にいて、これは調子がいい時の証。インターバルをうまく刻めればベストに近いタイムが出るかも、と思っていました。 ―― いつも競り合う泉谷駿介選手(順大)が、少し遅れました(2着、13秒60)。 高山 隣にいると視界に入りますが、今回はレーンが離れていたので(※高山4レーン、泉谷7レーン)、気になりませんでした。泉谷君はユニバーシアードの疲れなど があっただけだと思います。 ――13秒30というタイムについては、どのように感じていますか。 高山 まったくの想定外。そもそも13秒36でさえ、想定外です。冬季練習の感じからいっても、ベスト(去年までのベスト13秒44 / 17年)を少し更新できればいいな、 と思っていたので、まさか13秒3台が出るとは思いもしませんでした。 ――東京五輪の参加標準記録(13秒32)も突破されました。 高山 切れればうれしいな、という思いは持っていましたが、特に意識はしていません。ベストを出し続けた延長にあると思っていました。 ※この続きは2019年8月10日発売の『月刊陸上競技』9月号をご覧ください
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.07.18
-
2025.07.17
-
2025.07.17
-
2025.07.13
-
2025.07.05
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.18
富士北麓ワールドトライアル 100mに栁田大輝、桐生祥秀 ハードルに泉谷駿介、田中佑美がエントリー!
日本陸連は7月18日、日本グランプリシリーズの富士北麓ワールドトライアル2025のエントリーリストを発表した。 男子100mには日本選手権で優勝した桐生祥秀(日本生命)を筆頭に、関口裕太(早大)、小池祐貴(住友電工)、多 […]
2025.07.18
【世界陸上プレイバック】―13年モスクワ―棒高跳イシンバエワが地元で有終の美 福士加代子がマラソンで笑顔の銅メダル、桐生祥秀が世界デビュー
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]
2025.07.18
100m栁田大輝60年ぶり“世界一”なるか!?落合晃、阿部竜希、柳井綾音らがドイツで勝負/ユニバ
学生世界一を決めるFISUワールドユニバーシティゲームズの陸上競技が7月21日から27日まで、ドイツのライン・ルールで行われる。若き日本代表の注目選手を紹介する。 男子100mには栁田大輝(東洋大)が出場する。自己記録は […]
2025.07.18
チェプンゲティチ暫定的資格停止!女子マラソン初2時間10分切り、3月のドーピング検査陽性
世界陸連の独立不正監査機関「アスリート・インテグリティー・ユニット」(AIU)は7月17日、女子マラソン世界記録(2時間9分56秒)保持者のルース・チェプンゲティチ(ケニア)に暫定的資格停止処分を科したことを発表した。 […]
Latest Issue
最新号

2025年8月号 (7月14日発売)
詳報!日本選手権
IH地区大会