2021.06.22

東京五輪選考会となる第105回日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)が6月24日から27日まで4日間にわたって行われる。
何と言っても最注目は男子100m。地元開催のオリンピックを前に、日本の短距離界はかつてないほどのレベルにまで到達した。100mの代表枠は「3」。五輪参加標準記録の10秒05を切っている選手(もしくは日本選手権で切った選手)が3位以内に入ればオリンピック代表に内定する。日本にはすでに参加標準記録を切っている選手が5人。つまり少なくとも2人が代表になれないというわけだ。
6月の布勢スプリントで9秒95の日本新をマークした山縣亮太(セイコー)、日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀(日本生命)、9秒97の前日本記録保持者で17、19年と200mとの2冠を果たしているサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)、9秒98の自己記録を持つ小池祐貴(住友電工)と、ここまでの4人が9秒台。そして山縣と同じ布勢スプリントで10秒01をマークしたのが多田修平(住友電工)だ。この5人がすでに参加標準記録を突破済みで、3位以内に入れば即時代表に内定する。さらにここに、昨年有効期間外ながら10秒03をマークしたリオ五輪代表のケンブリッジ飛鳥(Nike)も加わり、壮絶な代表争いが繰り広げられる。
■男子100m日本歴代10傑 ★=現役選手
9.95 山縣亮太21年★
9.97 サニブラウン・アブデル・ハキーム19年★
9.98 桐生祥秀17年★
9.98 小池祐貴19年★
10.00 伊東浩司98年
10.01 多田修平21年★
10.02 朝原宣治01年
10.03 末續慎吾03年★
10.03 ケンブリッジ飛鳥20年★
10.07 江里口匡史09年
好調なのは山縣。ここ2年は度重なるケガや肺気胸などで戦線離脱が多かったが、この冬から新たに寺田明日香(ジャパンクリエイト)やパラアスリートを指導するプロコーチの高野大樹コーチに師事。これまで特定のコーチをつけてこなかった山縣が初めて第三者の目を通して自分の走りを見つめ直した。膝が外を向いてしまうクセの矯正やケガをしないフォームと身体作りを通して見事に復活。2012年ロンドン、16年リオと2大会で五輪代表となり、いずれも準決勝に進出して自己記録をマークしている“五輪男”の山縣が、東京五輪に合わせるように復調してきたのはさすがの一言だ。
昨年の日本選手権を制した桐生は今季、膝の違和感で春先は思うような走りができず、4月の織田記念は山縣と小池に次ぐ3位で、5月に国立競技場で行われたテストイベント「READY STEADY TOKYO」は予選でフライング失格。だが、布勢スプリント予選で追い風参考ながら10秒01(+2.6)と復調気配を見せ、決勝こそレース2週間前にアキレス腱を痛めたこともあって大事を取って棄権したが、しっかり調子を上げている。
サニブラウンはケガやコロナ禍の影響で19年ドーハ世界選手権以来、しばらくレースから遠ざかった。復帰戦は5月31日で実に1年9ヵ月ぶり。10秒25(+3.6)だった。高校を卒業してフロリダ大に進学したのが17年。その後、プロランナーとなり、現在は大学入学前に指導を受けていたレイダー氏に再び師事し、本人も大きな手応えを感じている様子だ。レースを追うごとに調子を上げ、“ここ”という狙った場面に合わせてくるのがサニブラウンの特徴。17、19年に続く3度目の優勝なるか。
この3人が絶好調で対戦したことはこれまで一度もない。オリンピックトライアルでそれが実現するか。
今季の勢いと実績からすると優勝候補として少し抜ける3人だが、小池、多田にもチャンスがある。特に多田は布勢スプリントの10秒01で大きな自信と手応えを得た。その前のREADY STEADY TOKYOでも日本人トップとして10秒26(±0)でジャスティン・ガトリン(米国)と競り合っている。得意のスタートからの加速により磨きがかかり、そこでしっかり勝負して最後まで粘り切れるかどうか。小池は4月の出雲陸上で10秒04(+4.0)をマーク。織田記念、READY STEADY TOKYO、布勢スプリントと、前半か後半どちらかが良いなど噛み合っていない様子だが、特に後半には強烈なスプリントを見せているだけに後半勝負になれば強さを発揮するだろう。
昨年、絶好調だったケンブリッジだが、今年に入り脚の違和感で万全な状態を保てていない。布勢スプリントでは2本走ってともに10秒2台。2大会連続五輪を勝ち取るためには、予選、準決勝、決勝のいずれかで参加標準記録を突破するしかない。
参加標準記録を突破していない選手が3位以内に入った場合、残りの代表枠はポイントによる世界陸連のワールドランキングで代表権を獲得した選手の中から日本選手権上位者から順に選ばれる。日本選手権前の段階でワールドランキングによるターゲットナンバー(出場枠)の56に入っているのはケンブリッジを除く4人。やはり日本選手権の結果で代表が決まると言える。また、4×100mリレーの代表(補欠も含む)入りも熾烈だ。
なお、2009年から12年まで江里口匡史が4連覇し、13年に山縣が初優勝。その後、昨年まで一度も連覇した選手はいない。
■13年以降の100m王者
13年 山縣亮太/10秒11
14年 桐生祥秀/10秒22
15年 高瀬 慧/10秒28
16年 ケンブリッジ飛鳥/10秒16
17年 サニブラウン・アブデル・ハキーム/10秒05
18年 山縣亮太/10秒05
19年 サニブラウン・アブデル・ハキーム/10秒02
20年 桐生祥秀/10秒27
上記の通り、山縣、桐生、サニブラウンが2回ずつ優勝している。
レースは初日の24日(木)15時40分から予選、19時32分から準決勝が、翌25日(金)の20時30分から決勝が行われる。少なくとも9秒台1人が落選するという、至極の男子100m。日本人初の9秒台決着なるか? 誰が代表の座を勝ち取るのか? 東京五輪代表を懸けた歴史的一戦が、いよいよ幕を開ける。
東京五輪選考会となる第105回日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)が6月24日から27日まで4日間にわたって行われる。
何と言っても最注目は男子100m。地元開催のオリンピックを前に、日本の短距離界はかつてないほどのレベルにまで到達した。100mの代表枠は「3」。五輪参加標準記録の10秒05を切っている選手(もしくは日本選手権で切った選手)が3位以内に入ればオリンピック代表に内定する。日本にはすでに参加標準記録を切っている選手が5人。つまり少なくとも2人が代表になれないというわけだ。
6月の布勢スプリントで9秒95の日本新をマークした山縣亮太(セイコー)、日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀(日本生命)、9秒97の前日本記録保持者で17、19年と200mとの2冠を果たしているサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)、9秒98の自己記録を持つ小池祐貴(住友電工)と、ここまでの4人が9秒台。そして山縣と同じ布勢スプリントで10秒01をマークしたのが多田修平(住友電工)だ。この5人がすでに参加標準記録を突破済みで、3位以内に入れば即時代表に内定する。さらにここに、昨年有効期間外ながら10秒03をマークしたリオ五輪代表のケンブリッジ飛鳥(Nike)も加わり、壮絶な代表争いが繰り広げられる。
■男子100m日本歴代10傑 ★=現役選手
9.95 山縣亮太21年★
9.97 サニブラウン・アブデル・ハキーム19年★
9.98 桐生祥秀17年★
9.98 小池祐貴19年★
10.00 伊東浩司98年
10.01 多田修平21年★
10.02 朝原宣治01年
10.03 末續慎吾03年★
10.03 ケンブリッジ飛鳥20年★
10.07 江里口匡史09年
好調なのは山縣。ここ2年は度重なるケガや肺気胸などで戦線離脱が多かったが、この冬から新たに寺田明日香(ジャパンクリエイト)やパラアスリートを指導するプロコーチの高野大樹コーチに師事。これまで特定のコーチをつけてこなかった山縣が初めて第三者の目を通して自分の走りを見つめ直した。膝が外を向いてしまうクセの矯正やケガをしないフォームと身体作りを通して見事に復活。2012年ロンドン、16年リオと2大会で五輪代表となり、いずれも準決勝に進出して自己記録をマークしている“五輪男”の山縣が、東京五輪に合わせるように復調してきたのはさすがの一言だ。
昨年の日本選手権を制した桐生は今季、膝の違和感で春先は思うような走りができず、4月の織田記念は山縣と小池に次ぐ3位で、5月に国立競技場で行われたテストイベント「READY STEADY TOKYO」は予選でフライング失格。だが、布勢スプリント予選で追い風参考ながら10秒01(+2.6)と復調気配を見せ、決勝こそレース2週間前にアキレス腱を痛めたこともあって大事を取って棄権したが、しっかり調子を上げている。
サニブラウンはケガやコロナ禍の影響で19年ドーハ世界選手権以来、しばらくレースから遠ざかった。復帰戦は5月31日で実に1年9ヵ月ぶり。10秒25(+3.6)だった。高校を卒業してフロリダ大に進学したのが17年。その後、プロランナーとなり、現在は大学入学前に指導を受けていたレイダー氏に再び師事し、本人も大きな手応えを感じている様子だ。レースを追うごとに調子を上げ、“ここ”という狙った場面に合わせてくるのがサニブラウンの特徴。17、19年に続く3度目の優勝なるか。
この3人が絶好調で対戦したことはこれまで一度もない。オリンピックトライアルでそれが実現するか。
今季の勢いと実績からすると優勝候補として少し抜ける3人だが、小池、多田にもチャンスがある。特に多田は布勢スプリントの10秒01で大きな自信と手応えを得た。その前のREADY STEADY TOKYOでも日本人トップとして10秒26(±0)でジャスティン・ガトリン(米国)と競り合っている。得意のスタートからの加速により磨きがかかり、そこでしっかり勝負して最後まで粘り切れるかどうか。小池は4月の出雲陸上で10秒04(+4.0)をマーク。織田記念、READY STEADY TOKYO、布勢スプリントと、前半か後半どちらかが良いなど噛み合っていない様子だが、特に後半には強烈なスプリントを見せているだけに後半勝負になれば強さを発揮するだろう。
昨年、絶好調だったケンブリッジだが、今年に入り脚の違和感で万全な状態を保てていない。布勢スプリントでは2本走ってともに10秒2台。2大会連続五輪を勝ち取るためには、予選、準決勝、決勝のいずれかで参加標準記録を突破するしかない。
参加標準記録を突破していない選手が3位以内に入った場合、残りの代表枠はポイントによる世界陸連のワールドランキングで代表権を獲得した選手の中から日本選手権上位者から順に選ばれる。日本選手権前の段階でワールドランキングによるターゲットナンバー(出場枠)の56に入っているのはケンブリッジを除く4人。やはり日本選手権の結果で代表が決まると言える。また、4×100mリレーの代表(補欠も含む)入りも熾烈だ。
なお、2009年から12年まで江里口匡史が4連覇し、13年に山縣が初優勝。その後、昨年まで一度も連覇した選手はいない。
■13年以降の100m王者
13年 山縣亮太/10秒11
14年 桐生祥秀/10秒22
15年 高瀬 慧/10秒28
16年 ケンブリッジ飛鳥/10秒16
17年 サニブラウン・アブデル・ハキーム/10秒05
18年 山縣亮太/10秒05
19年 サニブラウン・アブデル・ハキーム/10秒02
20年 桐生祥秀/10秒27
上記の通り、山縣、桐生、サニブラウンが2回ずつ優勝している。
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