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ALL for TOKYO 2020+1 三浦龍司 19歳のサンショー日本記録保持者

2000年代に入ってから男子3000m障害で五輪に出場した日本人は、順大勢の2名のみ。OBの岩水嘉孝(トヨタ自動車/現・資生堂監督)が04年アテネと08年北京大会、塩尻和也(現・富士通)は2年時に16年リオ大会を経験した。そんな偉大な先輩たちの系譜を受け継ぐのが2年生の三浦龍司だ。5月9日のREADY STEADY TOKYOで岩水の日本記録を18年ぶりに塗り替える8分17秒46をマークし、東京五輪参加標準記録(8分22秒00)も突破。6月下旬の日本選手権を前に、東京五輪代表入りに最も近い位置に立った。京都・洛南高時代からいくつもの快挙を成し遂げ続けてきた19歳は、冷静に自身の現在地を捉えている。
●文/田中 葵 撮影/船越陽一郎

自らレースを作り、18年ぶりの快挙

衝撃のレースから1ヵ月が経過した。5月9日に行われたREADY STEADY TOKYO男子3000m障害で、8分17秒46をマークして日本記録保持者となった三浦龍司(順大)が今の心境を語る。

「日本記録はずっと意識していたので、更新できたことは達成感がありますね。ただ『日本記録保持者』という肩書きに関しては特に意識していません。昨年からの延長線上という感じで取り組んできたので、そこまでの変化はないですね」

レースは、序盤から自らが牽引する展開となったが、「想定していたこと。当然後ろで走るほうが楽ですけど、結局は記録を狙っていかないといけない状況だったので、それでも勝ち切ろうと強気に切り替えられた」と19歳は振り返る。

最初の1000mを2分47秒で入ると、最も課題としていた中間走の落ち込みを最小限に抑えて、2000mを5分37秒で通過。途中で大学の先輩である塩尻和也(富士通)が先頭に出たことも相乗効果となり、「そこで自分にしっかりムチを打つことができた」と実感。タイム自体は終盤までほとんど確認しなかったそうだが、「場内アナウンス等でしっかり中盤の落ちを抑えられていることはわかりました」と言う。

そこからは「必然とペースは上がる」という終盤で後続を一気に引き離し、2位のフィレモン・キプラガット(愛三工業)に3秒以上の差をつける圧巻の走りを見せた。フィニッシュの瞬間、「普段はあまりしない」というガッツポーズが出たことこそが、その達成感を象徴する会心のレース。「ある程度のペースで押し切って、ラストもしっかり切り替えて出るという展開を覚えることができました」と納得の走りだった。

誤算だったトラックシーズン前の故障

だが、快挙の裏で不安がなかったわけではなかった。2月に福岡で行われた日本選手権クロカンでは、日本選手権5000m2度優勝を誇る国内屈指のスピードランナー、松枝博輝(富士通)を同タイムながら破って優勝したが、その後に左ふくらはぎの炎症が発覚。しばらくは補強トレーニング中心で回復に努めたこともあり、今季初戦が4月29日の織田記念3000m障害までずれこんだ。

「クロカンの日本選手権が終わってから、故障で思うように走れず、トラックへの移行もうまくいきませんでした。本来ならクロカン後に1500mや3000mの記録会に出て、4月には兵庫リレーカーニバル2000m障害と思っていましたが、そこを回避したので、状態を確認できないまま織田記念を迎えることになってしまったことは痛かったと思います」

同レースの結果は8分25秒31で2位。記録的には悪くないように思えるが、本人は「走りの感覚的にズレがありました。今思えばそこまでの準備はうまくいっていなかったかなと思います」と納得のレースではなかったことを強調する。

特に、東京五輪出場に向けて、世界ランキングでは届かない現状があった。昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では、日本歴代2位の8分19秒37をマークし、五輪参加標準記録(8分22秒00)を上回ったものの、コロナ禍の影響で記録は有効期限外。2019年はまだ京都・洛南高3年生だったため、そもそも五輪を具体的に目指す段階ではなかった。

そのため、どうしても標準記録を突破する必要がある。代表選考会の最重要大会となる6月下旬の日本選手権までに、記録を狙うチャンスは限られていた。

その1つを逃したことで、「日本選手権本番を除くと、東京五輪の参加標準(8分22秒00)を切るチャンスはREADY STEADY TOKYOが最後だと思っていました」と三浦。織田記念後は、「外せないというプレッシャーもありましたし、ちょっとナーバスになっていた部分もあったかなと思います」と明かす。

織田記念からの10日で状態好転

それでも長門俊介駅伝監督は、「織田記念は動きがもたついていてもあの記録だったので、そこまで悪くはないかなと思いました」と振り返る。

この続きは2021年6月14日発売の『月刊陸上競技7月号』をご覧ください。

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