◇日本選手権・混成競技(6月12、13日/長野)
第105回日本選手権・混成競技の七種競技2日目が行われ、山崎有紀(スズキ)が大会4連覇を達成した。
初日を日本新、初の6000点ペースで折り返した山崎。だが、2日目最初の種目である走幅跳で思わぬ事態が続く。午後から天気が崩れる予報だったが、走幅跳の時だけ強い雨が降り、向かい風が吹きつける。さらに1回目に5m60(-1.0)を跳んだあとの2回目は、タイマーの表示を見誤りタイムオーバーでファウルとなってしまう。3回目に5m72(-1.4)をマークしたものの、自身の持つ日本記録、6000点からは遠のいた。
やり投では46m74を投げて迎えた800m。ここで日本記録保持者の意地を示す激走を見せる。1周目を65秒あたりで自ら引っ張り、その後も後続を引き離すとセカンドベストとなる2分14秒47をマークした。合計5909点は自己2番目、パフォーマンス日本歴代4位の好記録で、5900点を複数回超えたのは前日本記録保持者の中田有紀(3回)だけ。日本選手権4連覇は過去に内田知子(6連覇)、磯貝美奈子(5連覇)、中田有紀(9連覇)に続く史上4人目。圧倒的な存在感で貫禄を見せた。
だが、会見に訪れた山崎は涙。「うーん……悔しいです」。終了後すぐに、疋田晃久コーチ(九州共立大監督)に連絡したようで「厳しい評価というより、私の能力はこんなものじゃないと期待してくれていたはず。これだけフィールド種目がよくなかったのは……」と言葉を詰まらせた。特にやり投の前には気持ちも落ち込んでいたという。だが、「800mは最後まで全力で走ろうと思った」と底力を見せつけた。
「悔しかったけど、(5900点に乗せたのは)うれしい。複雑な感じです。ダメだったフィールド種目は今後の期待と捉えたい」。これが7回目の日本選手権。大学2年で本格的に七種競技と向き合うようになり、出場するのが夢だった大会で、優勝するのが目標になり、日本記録保持者、3連覇中で臨んだ今回は「勝って当たり前だと思っていた」。目線が上がるにつれて、目指すものも変わってきた。「日本記録を出してから、現実的に世界選手権やオリンピックへの手応えを少しだけ感じました」。これまでアジアや欧州の大会で戦った仲間と、参加資格をしっかり得て、世界の舞台で戦いたい。
「スプリント能力は上がってきたのでそれを維持しながら、フィールド種目の当たり前を上げていきたい」
1種目1種目、楽しく。でも、真剣に、自らを高めていく。それが世界へと続く最短距離だと信じている。
◇山崎有紀5909点の内訳
100mH13.58(1.4)/走高跳1.63/砲丸投12.21/200m24.20(2.4)/走幅跳5.72(-1.4)/やり投46.74/800m2.14.74
大玉華鈴が5622点で2位。「5600点に乗せられたのは良かったが、目指していたのはもっと高いところ」と悔しがる。「『ここ』という場面で1本出るかどうかが有紀さんとの差」と評価し、「(9月の)日本インカレまでに練習を積んで少しでも追いつけるように」と次を見据えていた。

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