6月6日の布勢スプリントの男子100mで9秒95(+2.0)の日本新記録を樹立した山縣亮太(セイコー)が6月9日、オンライン上で会見を開き、悲願の9秒台突入への感慨、これまでの道のり、3大会連続の五輪代表入りを懸ける日本選手権に向けての抱負を述べた。
自身初の9秒台、そして初の日本記録保持者になったことについては、「意外と変わらない日々を過ごしているので、実感としてはあまりない」と言いつつも、「小学校時代の同級生とか、すごくたくさんの方々にメッセージをいただけてうれしい気持ちです」と笑顔がこぼれる。
布勢スプリントでは、現地入りした大会2日前に「身体の重心がピタッとはまってくれた。これはいける」という感覚をつかんだという。
「1本目から記録を狙う」と臨んだ予選レースで、狙い通りに東京五輪参加標準記録(10秒05)を突破する10秒01(+1.7)。そして決勝の9秒台へとつなげた。
トップスピードでも、9秒台を出すために必要と言われる「秒速11.6m」をクリアする「秒速11.62m」を55m地点で記録した。
「2015年からウエイトトレーニングを始めましたが、筋力、パワーをつけることはよりスピードを出すために重要なこと。もちろん筋力をつけるだけではダメで、身体のいろいろな部分を連動させないとスピードは出せなません。PNFなどいろいろな取り組みがつながったのではないかと思っています」
ただ、レースを振り返る中で課題も見つかっている。追い風2.0mという好条件に恵まれたということも、「風のアシストなし、自分の力だけで出せるようにならないといけない」と気を引き締め直す部分。さらに、「スタートから中間の加速に乗る前半部分は、より精度を上げていかないといけないフェーズかなと思います」と、日本選手権、東京五輪への課題を口にした。
ここ2年はケガや病気に悩まされ、ほとんどレースに出場できていなかった。それでも「不安になることはあったけど、とにかく自分が今、できることをもっと全力でやろう」という意識を持ち続けてきたという。そこに、「自分の周りには本当に親身になってサポートしてくれる人たちがいた」ことで気持ちを切らせることなくやってこられたという。
「支えてくれた人たちのお陰で、ケガもあったし、記録も出なかったけど、1日に1日が充実でき、自分が成長できている実感がありました」
その中で、「肉体の変化、技術の変化もあったけど、その裏には内面の変化、物の見方の変化があった」と言う。もともとは「負けず嫌い。レースでは負けたくない」。ただ、「この2年は勝つことができなかったところで、いい意味で負けを恐れなくなったし、悪い言い方では負け慣れたところもあった。だからこそ、チャレンジを恐れなくなったという心境の変化がありました」と振り返る。
それが、2月から母校・慶大や、女子100mハードルの寺田明日香(ジャパンクリエイト)を指導していた高野大樹氏コーチの助言を受けるようになったこと。これまで走りの技術に関しては自分の感覚から探るスタイルだったが、「自分の課題に対して自信を持ってそこに対処できるようになったし、どう克服していくかという方法についても、その引き出しを僕なんかよりもたくさん持っている。確実に前に進んでいる感覚を植え付けてくださったような気がします」。
今季に向けては、東京五輪を見据えながら、「標準記録をどこかで切らないといけない中で、日本選手権や五輪だけに合わせるわけにはいかない」。ピンポイントに合わせる大きな波は作らず、「試合に向けて小さな波を作りながら、徐々に右肩上がりにしていく」ことを目指して臨んだ。
五輪出場へは参加標準記録を突破するか、試合結果や大会の格付けなどを総合したポイントの複数レース平均で設定されるワールドランキングで上位にくることという2通りの方法があるが、山縣は「五輪で戦うことを見据えても、記録を持っていたほうが有利」と迷いなく「記録」と決断。好条件になる可能性の大会を模索し、2月に室内、3月に宮崎でレースをこなした後、4月29日の織田記念、5月5日の水戸国際、そして布勢スプリントを選択した。
織田記念を10秒14で制して自信を取り戻したあと、水戸国際が強い雨風になった点は不運だったが、布勢スプリントですべてをクリア。次はいよいよ、五輪代表の座を懸けた最後の勝負・日本選手権へと向かうことになる。
「布勢の反省を生かすレースをして、しっかり記録を出すということもありますが、一番重要なのはとにかく(五輪代表に即内定する)3位以内に入って代表をつかむこと。速い人がたくさんいるので簡単なことではないのはわかっています。でも、その中で結果を残したい」
その先に、3大会連続の五輪、そしてずっと目標にしてきた「ファイナル」の舞台がある。過去2回の五輪は、12年ロンドン、16年リオ大会ともに準決勝に進出。いずれも大会中に自己ベストをマークするなど、大舞台で力を発揮してきたという自負がある。
「今度こそは準決勝で自己記録をまた更新して、『決勝に残る』という目標を達成したい」
1走としてロンドンは4位、リオでは銀メダル獲得の原動力となった4×100mリレーについても、「リオ以上の結果を出せるように、その一員になれるようにしたい」と力強く語る。
記録は出した。あとは勝負に勝つのみ。明日、6月10日が29歳の誕生日。気持ちを新たに、その時への準備に入る。
6月6日の布勢スプリントの男子100mで9秒95(+2.0)の日本新記録を樹立した山縣亮太(セイコー)が6月9日、オンライン上で会見を開き、悲願の9秒台突入への感慨、これまでの道のり、3大会連続の五輪代表入りを懸ける日本選手権に向けての抱負を述べた。自身初の9秒台、そして初の日本記録保持者になったことについては、「意外と変わらない日々を過ごしているので、実感としてはあまりない」と言いつつも、「小学校時代の同級生とか、すごくたくさんの方々にメッセージをいただけてうれしい気持ちです」と笑顔がこぼれる。布勢スプリントでは、現地入りした大会2日前に「身体の重心がピタッとはまってくれた。これはいける」という感覚をつかんだという。「1本目から記録を狙う」と臨んだ予選レースで、狙い通りに東京五輪参加標準記録(10秒05)を突破する10秒01(+1.7)。そして決勝の9秒台へとつなげた。トップスピードでも、9秒台を出すために必要と言われる「秒速11.6m」をクリアする「秒速11.62m」を55m地点で記録した。「2015年からウエイトトレーニングを始めましたが、筋力、パワーをつけることはよりスピードを出すために重要なこと。もちろん筋力をつけるだけではダメで、身体のいろいろな部分を連動させないとスピードは出せなません。PNFなどいろいろな取り組みがつながったのではないかと思っています」ただ、レースを振り返る中で課題も見つかっている。追い風2.0mという好条件に恵まれたということも、「風のアシストなし、自分の力だけで出せるようにならないといけない」と気を引き締め直す部分。さらに、「スタートから中間の加速に乗る前半部分は、より精度を上げていかないといけないフェーズかなと思います」と、日本選手権、東京五輪への課題を口にした。ここ2年はケガや病気に悩まされ、ほとんどレースに出場できていなかった。それでも「不安になることはあったけど、とにかく自分が今、できることをもっと全力でやろう」という意識を持ち続けてきたという。そこに、「自分の周りには本当に親身になってサポートしてくれる人たちがいた」ことで気持ちを切らせることなくやってこられたという。「支えてくれた人たちのお陰で、ケガもあったし、記録も出なかったけど、1日に1日が充実でき、自分が成長できている実感がありました」その中で、「肉体の変化、技術の変化もあったけど、その裏には内面の変化、物の見方の変化があった」と言う。もともとは「負けず嫌い。レースでは負けたくない」。ただ、「この2年は勝つことができなかったところで、いい意味で負けを恐れなくなったし、悪い言い方では負け慣れたところもあった。だからこそ、チャレンジを恐れなくなったという心境の変化がありました」と振り返る。それが、2月から母校・慶大や、女子100mハードルの寺田明日香(ジャパンクリエイト)を指導していた高野大樹氏コーチの助言を受けるようになったこと。これまで走りの技術に関しては自分の感覚から探るスタイルだったが、「自分の課題に対して自信を持ってそこに対処できるようになったし、どう克服していくかという方法についても、その引き出しを僕なんかよりもたくさん持っている。確実に前に進んでいる感覚を植え付けてくださったような気がします」。今季に向けては、東京五輪を見据えながら、「標準記録をどこかで切らないといけない中で、日本選手権や五輪だけに合わせるわけにはいかない」。ピンポイントに合わせる大きな波は作らず、「試合に向けて小さな波を作りながら、徐々に右肩上がりにしていく」ことを目指して臨んだ。五輪出場へは参加標準記録を突破するか、試合結果や大会の格付けなどを総合したポイントの複数レース平均で設定されるワールドランキングで上位にくることという2通りの方法があるが、山縣は「五輪で戦うことを見据えても、記録を持っていたほうが有利」と迷いなく「記録」と決断。好条件になる可能性の大会を模索し、2月に室内、3月に宮崎でレースをこなした後、4月29日の織田記念、5月5日の水戸国際、そして布勢スプリントを選択した。織田記念を10秒14で制して自信を取り戻したあと、水戸国際が強い雨風になった点は不運だったが、布勢スプリントですべてをクリア。次はいよいよ、五輪代表の座を懸けた最後の勝負・日本選手権へと向かうことになる。「布勢の反省を生かすレースをして、しっかり記録を出すということもありますが、一番重要なのはとにかく(五輪代表に即内定する)3位以内に入って代表をつかむこと。速い人がたくさんいるので簡単なことではないのはわかっています。でも、その中で結果を残したい」その先に、3大会連続の五輪、そしてずっと目標にしてきた「ファイナル」の舞台がある。過去2回の五輪は、12年ロンドン、16年リオ大会ともに準決勝に進出。いずれも大会中に自己ベストをマークするなど、大舞台で力を発揮してきたという自負がある。「今度こそは準決勝で自己記録をまた更新して、『決勝に残る』という目標を達成したい」1走としてロンドンは4位、リオでは銀メダル獲得の原動力となった4×100mリレーについても、「リオ以上の結果を出せるように、その一員になれるようにしたい」と力強く語る。記録は出した。あとは勝負に勝つのみ。明日、6月10日が29歳の誕生日。気持ちを新たに、その時への準備に入る。RECOMMENDED おすすめの記事
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