HOME ニュース、国内

2021.06.02

100mH寺田明日香3度目の日本新も「こんなに悔しいのは初めて」/木南記念
100mH寺田明日香3度目の日本新も「こんなに悔しいのは初めて」/木南記念


◇木南記念(6月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)

 女子100mハードルで寺田明日香(ジャパンクリエイト)は予選から魅せた。好スタートから切れ味鋭いハードリングで1台ごとに後続を突き放しフィニッシュ。速報タイマーに示された「12.88」に一気に周囲がざわついた。風速の表示もないまま、待つこと2分余り。期待と不安がよぎるなか、速報より0秒01速い12秒87(+0.6)が映し出され日本新記録が確定。一度は引退、出産、ラグビー挑戦などを経て陸上に復帰した。これで自身4度目の日本記録樹立(タイ含む)、3度目の日本新で、4月の織田記念でマークした自らの持つ日本記録を0秒09更新し、五輪参加標準にあと0秒03まで迫る好タイムに笑顔がこぼれた。

「予選が横風だったので、しっかり風が追ってくれれば(12秒)84も狙えると思っていました」と話すように、さらなる記録の更新が期待された決勝。予選と変わらず好スタートから一気に加速し、後半もブレることなく駆け抜けたが風に恵まれず12秒89(+0.3)だった。「今日は課題だったハードリングで浮くところもしっかり抑えることができた。風がないなか2本続けて12秒8台を出せたのは、この2年間の成長だと思います」としみじみと話しつつも、「やはり五輪標準に届かなかったのは正直悔しい。日本記録を出してこんなに悔しいのは初めてです」と唇をかんだ。

広告の下にコンテンツが続きます

織田記念で19年にマークした12秒97を100分の1更新してはいたものの、「ずっと12秒9台の後半だったので、まずは8台を出さないことには12秒84も見えてこないかと思っていたので」と寺田。今回、その8台を連発したことで、五輪はもちろん12秒6台で世界のファイナルへという最終目標に向け一歩前進できたことを前向きに捉えている。12秒87は今季世界リスト29位に相当する(6月1日時点)。記録上位の半数がアメリカ勢で、6台を安定して出せるようになれば世界大会での決勝進出も現実味を帯びてくる。

日本人初の公認での12秒8台突入にも、笑顔は見せたが織田記念の時のような喜びを爆発させるシーンはなかった。世界のトップへと着実に近づく男子同様、寺田の活躍もあり女子も12秒台が当たり前の時代へと変わりつつある。「おめでとうは今日で忘れ、明日からさらに先へ進めるよう頑張りたい」。6月6日の布勢スプリントにも出場予定で、そこで東京五輪の参加標準記録突破を狙う。

1952年のヘルシンキ五輪日本代表で元110mハードルの日本記録保持者だった故木南道孝氏の功績を記念し創設された大会だけあってか、ハードルで好記録が続く。男子の110mハードルでは、今季13秒51の学生歴代2位の好タイムをマークしている村竹ラシッド(順大)が予選で13秒44(±0)、決勝ではさらにタイムを短縮し、13秒35(+0.3)と立て続けに自己記録を更新。日本歴代4位、U20日本最高、今季U20世界リスト(一般規格)でもトップ立つ好タイム。五輪標準にもあと0秒03に迫り、「標準突破も具体的に見えてきました」と、木南をステップに日本選手権で五輪代表に挑む。

◇木南記念(6月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)  女子100mハードルで寺田明日香(ジャパンクリエイト)は予選から魅せた。好スタートから切れ味鋭いハードリングで1台ごとに後続を突き放しフィニッシュ。速報タイマーに示された「12.88」に一気に周囲がざわついた。風速の表示もないまま、待つこと2分余り。期待と不安がよぎるなか、速報より0秒01速い12秒87(+0.6)が映し出され日本新記録が確定。一度は引退、出産、ラグビー挑戦などを経て陸上に復帰した。これで自身4度目の日本記録樹立(タイ含む)、3度目の日本新で、4月の織田記念でマークした自らの持つ日本記録を0秒09更新し、五輪参加標準にあと0秒03まで迫る好タイムに笑顔がこぼれた。 「予選が横風だったので、しっかり風が追ってくれれば(12秒)84も狙えると思っていました」と話すように、さらなる記録の更新が期待された決勝。予選と変わらず好スタートから一気に加速し、後半もブレることなく駆け抜けたが風に恵まれず12秒89(+0.3)だった。「今日は課題だったハードリングで浮くところもしっかり抑えることができた。風がないなか2本続けて12秒8台を出せたのは、この2年間の成長だと思います」としみじみと話しつつも、「やはり五輪標準に届かなかったのは正直悔しい。日本記録を出してこんなに悔しいのは初めてです」と唇をかんだ。 織田記念で19年にマークした12秒97を100分の1更新してはいたものの、「ずっと12秒9台の後半だったので、まずは8台を出さないことには12秒84も見えてこないかと思っていたので」と寺田。今回、その8台を連発したことで、五輪はもちろん12秒6台で世界のファイナルへという最終目標に向け一歩前進できたことを前向きに捉えている。12秒87は今季世界リスト29位に相当する(6月1日時点)。記録上位の半数がアメリカ勢で、6台を安定して出せるようになれば世界大会での決勝進出も現実味を帯びてくる。 日本人初の公認での12秒8台突入にも、笑顔は見せたが織田記念の時のような喜びを爆発させるシーンはなかった。世界のトップへと着実に近づく男子同様、寺田の活躍もあり女子も12秒台が当たり前の時代へと変わりつつある。「おめでとうは今日で忘れ、明日からさらに先へ進めるよう頑張りたい」。6月6日の布勢スプリントにも出場予定で、そこで東京五輪の参加標準記録突破を狙う。 1952年のヘルシンキ五輪日本代表で元110mハードルの日本記録保持者だった故木南道孝氏の功績を記念し創設された大会だけあってか、ハードルで好記録が続く。男子の110mハードルでは、今季13秒51の学生歴代2位の好タイムをマークしている村竹ラシッド(順大)が予選で13秒44(±0)、決勝ではさらにタイムを短縮し、13秒35(+0.3)と立て続けに自己記録を更新。日本歴代4位、U20日本最高、今季U20世界リスト(一般規格)でもトップ立つ好タイム。五輪標準にもあと0秒03に迫り、「標準突破も具体的に見えてきました」と、木南をステップに日本選手権で五輪代表に挑む。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.05

仙台国際ハーフの来年大会の日程が決定 国内レースによる「ジャパンプレミアハーフシリーズ」

仙台国際ハーフマラソン大会実行委員会は、2026年大会の日程が5月10日に決まったと発表した。定員は10,000人とし、エントリーは11月18日から順次開始される。 国内主要ハーフマラソン6大会が連携する「ジャパンプレミ […]

NEWS 「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

2025.11.05

「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

世界陸連(WA)はワールド・アスレティクス・アワード2025「ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー」の最終候補者を発表した。 トラック、フィールド、競技場外種目の各部門で、10月に発表された候補者の中から男女2選手ずつ […]

NEWS キヤノンAC九州の中村日菜多が退部「最後まであきらめずに頑張れた」高校時代から駅伝で活躍

2025.11.05

キヤノンAC九州の中村日菜多が退部「最後まであきらめずに頑張れた」高校時代から駅伝で活躍

キヤノンAC九州は10月末で中村日菜多の退部を発表した。 中村は熊本県出身の21歳。ルーテル学院高ではトラックでインターハイこそ届かなかったものの、3000mで9分38秒80を持ち、3年時に全国高校駅伝に出場して5区を務 […]

NEWS エディオン・古木愛莉が10月末で退部・退社 ルーテル学院高時代に全国高校駅伝1区5位

2025.11.05

エディオン・古木愛莉が10月末で退部・退社 ルーテル学院高時代に全国高校駅伝1区5位

エディオン女子陸上競技部は11月4日、古木愛莉の退部、退社を発表した。 古木は熊本・ルーテル学院高出身で、今年4月に入社。昨年のインターハイ3000mで13位と力走し、2年時には全国高校駅伝の1区で5位の活躍を見せている […]

NEWS 26年WA室内ツアーの日程が発表 ゴールドは欧州中心に8大会を実施

2025.11.05

26年WA室内ツアーの日程が発表 ゴールドは欧州中心に8大会を実施

世界陸連(WA)は11月3日、26年のWA室内ツアーの日程を発表した。12月から3月にかけて約80大会が開催される。 ツアーでは大会の規模により、ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーと4つのカテゴリーに分類。ゴー […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top