
◇第97回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町/10区間217.1km)
往路12位に沈んだ前回王者の青学大が、復路は驚異的な追い上げを見せて総合4位に押し上げた。
苦しい戦いを終え、原晋監督は「やっぱり箱根駅伝はプレッシャーのかかる駅伝だな」と振り返る。圧倒的な選手層を誇り、戦国駅伝にあっても優勝候補筆頭で迎えた。だが、往路で区間ひとケタは1区の吉田圭太(4年/区間6位)と4区の佐藤一世(1年/区間4位)の2人。5区を託した竹石尚人(4年)は脚がケイレンするアクシデントもあり、まさかの往路12位で終えた。これには原監督も「シード権を」と口にするしかなかった。
だが、切り替えた翌日、学生たちと「復路優勝を目指そう」と再び息を吹き返す。6区の高橋勇輝(3年)が区間3位で走破して10位にアップすると、7区・近藤幸太郎(3年)も区間3位で7位へ。「監督から復路優勝しようと声をかけられたので、それだけを考えて走った」という8区の岩見秀哉(4年)が区間3位で一気に5位まで上昇した。
9区の飯田貴之(3年)が区間2位、アンカーの中倉啓敦(2年)も区間4位と、復路は全員が区間上位で走り4位フィニッシュ。5時間25分33秒で復路優勝を飾った。
青学大は前回2区で好走した岸本大紀(2年)がケガでエントリーに入れず、さらに主将の神林勇太(4年)もアクシデントを襲う。12月中旬に右脚から臀部にかけて痛みが出ていた神林は、治療に努めてほとんど痛みが引いたものの、「1ヵ所だけどうしても痛みが抜けきらなかった」(原監督)。12月28日にMRIを撮ると、疲労骨折が判明した。
原監督はミーティングで「仮に品川で歩くことになっても神林を使いたい」と涙を浮かべて選手たちに話したという。ギリギリまで様子を見たが、12月30日の段階で調子を聞かれた神林は「無理です」と原監督に伝えた。
「彼はこれで競技が引退。もう走れないんです。どうしても走らせてやりたかった。チームを引っ張ってくれて、精神的にも肉体的にも神林のチームだった」と原監督は言葉を詰まらせる。だが、神林自身から「僕が走らなくても総合優勝できるチームだから後輩たちを走らせてください」と話があった。神林は「優勝を目指すチームですから10人ちゃんと走れないと話になりません。痛みが出てから覚悟はできていました。少しでも士気が上がるように取り組んできました」とその時の思いを明かす。
レース前に神林から声をかけられたという同期の岩見は「自信を持ってスタートできました」と、主将の思いを胸にスタートを切った。神林は地元・神奈川の9区、横浜駅前の給水を担当。「一番テレビに映るだろうから9区の給水を神林に使わせてくれと僕から学生たちにお願いした」(原監督)。
「優勝はできませんでしたが、復路優勝で層の厚さ、強さを見せられたと思います。主将としてその伝統を引き継ぐという最低限の仕事はできたと思います。泥臭くて最後まであきらめないチームになれた。これはチームの財産になります」と神林は胸を張る。原監督は「今度は(就職する)サッポロビールの役員になって大手町で青山学院を迎え入れてほしい」と愛弟子にエールを送った。
連覇の難しさを改めて痛感した第97回目の箱根駅伝。それでも、青学大の強さは確かに証明した。「次は数名の強い選手、ゲームチェンジャーを作るメソッドを」と指揮官。偉大な主将が継承した伝統をそれぞれが胸に刻み、再びの頂点ヘ向けて青学大はリスタートする。
◇第97回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町/10区間217.1km)
往路12位に沈んだ前回王者の青学大が、復路は驚異的な追い上げを見せて総合4位に押し上げた。
苦しい戦いを終え、原晋監督は「やっぱり箱根駅伝はプレッシャーのかかる駅伝だな」と振り返る。圧倒的な選手層を誇り、戦国駅伝にあっても優勝候補筆頭で迎えた。だが、往路で区間ひとケタは1区の吉田圭太(4年/区間6位)と4区の佐藤一世(1年/区間4位)の2人。5区を託した竹石尚人(4年)は脚がケイレンするアクシデントもあり、まさかの往路12位で終えた。これには原監督も「シード権を」と口にするしかなかった。
だが、切り替えた翌日、学生たちと「復路優勝を目指そう」と再び息を吹き返す。6区の高橋勇輝(3年)が区間3位で走破して10位にアップすると、7区・近藤幸太郎(3年)も区間3位で7位へ。「監督から復路優勝しようと声をかけられたので、それだけを考えて走った」という8区の岩見秀哉(4年)が区間3位で一気に5位まで上昇した。
9区の飯田貴之(3年)が区間2位、アンカーの中倉啓敦(2年)も区間4位と、復路は全員が区間上位で走り4位フィニッシュ。5時間25分33秒で復路優勝を飾った。
青学大は前回2区で好走した岸本大紀(2年)がケガでエントリーに入れず、さらに主将の神林勇太(4年)もアクシデントを襲う。12月中旬に右脚から臀部にかけて痛みが出ていた神林は、治療に努めてほとんど痛みが引いたものの、「1ヵ所だけどうしても痛みが抜けきらなかった」(原監督)。12月28日にMRIを撮ると、疲労骨折が判明した。
原監督はミーティングで「仮に品川で歩くことになっても神林を使いたい」と涙を浮かべて選手たちに話したという。ギリギリまで様子を見たが、12月30日の段階で調子を聞かれた神林は「無理です」と原監督に伝えた。
「彼はこれで競技が引退。もう走れないんです。どうしても走らせてやりたかった。チームを引っ張ってくれて、精神的にも肉体的にも神林のチームだった」と原監督は言葉を詰まらせる。だが、神林自身から「僕が走らなくても総合優勝できるチームだから後輩たちを走らせてください」と話があった。神林は「優勝を目指すチームですから10人ちゃんと走れないと話になりません。痛みが出てから覚悟はできていました。少しでも士気が上がるように取り組んできました」とその時の思いを明かす。
レース前に神林から声をかけられたという同期の岩見は「自信を持ってスタートできました」と、主将の思いを胸にスタートを切った。神林は地元・神奈川の9区、横浜駅前の給水を担当。「一番テレビに映るだろうから9区の給水を神林に使わせてくれと僕から学生たちにお願いした」(原監督)。
「優勝はできませんでしたが、復路優勝で層の厚さ、強さを見せられたと思います。主将としてその伝統を引き継ぐという最低限の仕事はできたと思います。泥臭くて最後まであきらめないチームになれた。これはチームの財産になります」と神林は胸を張る。原監督は「今度は(就職する)サッポロビールの役員になって大手町で青山学院を迎え入れてほしい」と愛弟子にエールを送った。
連覇の難しさを改めて痛感した第97回目の箱根駅伝。それでも、青学大の強さは確かに証明した。「次は数名の強い選手、ゲームチェンジャーを作るメソッドを」と指揮官。偉大な主将が継承した伝統をそれぞれが胸に刻み、再びの頂点ヘ向けて青学大はリスタートする。 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.08
サニブラウンがU20合宿にサプライズ登場!「みなさんが日本陸上界の未来」期待のジュニア選手たちにエール
有力ジュニア選手が全国から集まるU20オリンピック育成競技者研修合宿が12月4日から7日までの4日間、ナショナルトレーニングセンターで行われた。 選手たちが集合し、開講式が開かれて最初の研修に登場したのが男子短距離のサニ […]
2025.12.08
U20世代トップ選手約60人が4日間合宿! 100mインターハイ2位の菅野翔唯、100mH高校記録保持者・石原南菜ら参加
ジュニア世代の有力選手が対象の「U20オリンピック育成競技者研修合宿」が12月4~7日の4日間、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで行われた。 インターハイやU20日本選手権、U18大会などで上位に入った高校生や […]
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
日本学生陸上競技連合は12月8日、2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)に出場する全日本大学選抜チームの選手を発表した。 全日本大学選抜チームは全国8地区学連(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国四国、 […]
2025.12.08
2026年関東インカレは5月21日~24日に宇都宮で初開催! 参加標準記録も発表
12月8日、関東学連は2026年の関東インカレを、栃木県宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで5月21日から24日に開催すると発表した。 関東の学生ナンバーワンを決める関東インカレは、来年で第105回を迎える伝統の対校戦。 […]
2025.12.08
女子400mのナセルがアディダスと契約 パリ五輪銀、東京世界陸上銅メダリスト
女子400mのアジア記録保持者、S.E.ナセル(バーレーン)がアディダスとのプロ契約を結んだことを発表した。自身のSNSで契約締結に関して「新たな挑戦と歴史的偉業に向け、アディダスの献身的な取り組みとパートナーシップは極 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025