2020.12.30
◇2020全日本大学女子選抜駅伝(12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場)
これが女王の強さか。10月の全日本大学駅伝を4連覇中だった名城大が、富士山女子駅伝でも圧倒的な強さを見せ大会3連覇。2時間21分38秒で2018年に同チームが作った大会記録を更新した。
1区に高松智美ムセンビ(3年)。2km付近でペースアップして前に出たことが響いてか最後は区間4位にとどまり、「勢いのないタスキリレーになってしまった」(高松)と、狙っていた「全員区間賞優勝」はこの時点で崩れる。それでも、トップの日体大からは6秒差で同期の和田有菜につないだ。
今季、なかなか思うような走りができなかったという和田は「自分らしく走ろう」とスタートすると、1km過ぎにあっという間に先頭に踊り出す。結果的に、以降は他校に影をも踏ませなかった。
和田は20分40秒の区間タイ記録で区間賞を獲得すると、3区の鴨志田海来(3年)が「地元・静岡で走れる喜びを胸に走った」と区間5位でつなぐ。圧巻の走りを見せたのが4区の山本有真(2年)。前回もこの区間で13分55秒の区間記録を樹立して区間賞を獲得している山本は「今季はケガもあって走れない時期もあった」という悔しさをぶつけ、自身の区間記録に並んで区間賞を獲得した。
タスキを受けたのはエースで主将の加世田梨花(4年)。区間記録更新を狙って爆走するが、気負いもあってか中盤以降はペースダウン。区間3位にとどまり、「この4年間で一番の走りをして恩返しをしたかたのに、一番ふがいない走りをしてしまった」と号泣した。
だが、これまでチームを引っ張ってきた加世田への「恩返し」とばかりに全員でカバー。ルーキーの6区・増渕祐香が区間新デビューを飾ると、山上り区間の7区は小林成美(2年)が28分26秒と区間記録を13秒更新する走りで3連覇のフィニッシュテープを切った。小林は「このような状況の中で走れる舞台をつくっていただけて感謝したい」と話し、「チームのみんなで支え合ってきた。優勝という目標を達成できてうれしいです」と笑顔を見せた。
米田勝朗監督は感極まった表情で、コロナ禍でも「勝ち続けたいという気持ちで日々努力をしてくれた」と目頭を熱くした。名城大は、これで全日本大学駅伝4連覇、富士山女子駅伝3連覇。3年連続で2冠を達成。そのすべてに貢献してきたのが加世田だった。苦しい走りになった主将に対して米田監督は「キャプテンの役割を果たしてくれた。立派なキャプテンだった」と称える。
「最高のチームで競技ができた」と加世田。惜しくも区間新を逃した山本が「来年は絶対に更新したい」と強い気持ちを押し出すように、強い後輩たちが「名城大・黄金期」をさらに確固たるものにしていくだろう。
■名城大の優勝メンバー
1区 高松智美ムセンビ(3年)13分10秒(区間4位)
2区 和田有菜(3年)20分40秒(区間1位、区間タイ)
3区 鴨志田海来(3年)10分30秒(区間5位)
4区 山本有真(2年)13分55秒(区間1位、区間タイ)
5区 加世田梨花(4年)35分26秒(区間4位)
6区 増渕祐香(1年)19分31秒(区間1位、区間新)
7区 小林成美(2年)28分26秒(区間1位、区間賞)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.11
やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす
健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]
2024.12.11
27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定
日本陸連は12月11日、2027年北京世界選手権のマラソン代表選考方針を発表し、編成方針は「2027年度最重要国際競技会と位置づけ、メダル獲得および入賞を目指す競技者で選手団を編成する」とした。 そのうえで、代表内定基準 […]
2024.12.11
ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録
12月11日、日本実業団陸上競技連合は第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2025年1月1日)のエントリー選手を発表した。 前回4回目の優勝を飾ったトヨタ自動車はパリ五輪10000m代表の太田智樹や福岡国際マ […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会