9月8日、9日の両日、東京で世界陸連のカウンシル会議が行われ、世界陸連の今後の活動方針などが話し合われた。
世界陸連会長のセバスチャン・コー氏は、3期目の任期が満了する2027年で退任することが決まっており、会議冒頭で「2年後に北京で再びカウンシル会議が開かれるが、私を含め、数名が世界陸連での任期を終える」と説明。「これからの2年間で陸上競技をさらに強化し、私が会長を務めたときよりも良いかたちで次世代に引き継ぎたい」と語った。
コー氏は現役時代、中距離走の名選手として活躍。80年モスクワ五輪と84年ロサンゼルス五輪で1500m金メダル、800m銀メダルを獲得し、通算12回の世界記録更新を誇る伝説的存在として知られている。
2015年に第6代会長に就任後は、ドーピングや倫理違反に対応する独立機関「アスリート・インテグリティ・ユニット」を設立。さらに、選手の地位向上を目的に金銭的支援を導入し、26年には総額15億円の賞金をかけた「世界陸上アルティメット選手権」を新設するなど、大胆な改革を進めてきた。
会議では「世界陸連は今や高成長企業となった。4ヵ年戦略を策定し、陸上競技の発展に取り組んできた。残りの2年でさらなる成長を加速させたい」と強調。「来年の世界陸上アルティメット選手権では、アスリート、ファン、メディアを巻き込み、国際スポーツにおけるリーダーとしての地位を確立していきたい」と意気込みを示した。
また、コー氏が重視してきた女性アスリートの権利保護に関しては、競技の公平性を担保する遺伝子検査(SRY検査)が95%以上完了したことも報告。「女性カテゴリーを守るという原則は、スポーツ界全体が共有する価値観である」と語った。
会議後に行われた記者会見では、日本のファンや関係者に向けてのメッセージとして「2020年に東京五輪の延期が決まった際、私たちはどの競技団体よりも早く東京を訪れ、日本のみなさんの懸念を真摯に受けてとめてきました。翌年に大会が開催された際には『あのスタジアムで試合を行いたい』と小池都知事と伝えましたが、東京都はじめ多くの関係当局の強力によって今大会が開かれることを感謝したい」と謝辞を伝えた。
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