2025.06.02

広島インターハイ(7月25日~29日)に向けた都府県大会が5月上旬から各地で行われ、高校生たちが熱戦を繰り広げている。
兵庫県大会は5月30日から6月1日までの3日間、ユニバー記念競技場で行われ、女子100mハードルで高校新記録が誕生したほか、女子では4×100mリレー、七種競技で大会新、100mでも準決勝で大会タイ記録が出た。男子も100m、200m、110mハードル、5000m競歩、4×400mリレー、走高跳と女子を超える6種目で大会記録が塗り替えられるなど好記録ラッシュとなった。
高校記録が誕生した大会初日の女子100mハードルは、予選からインターハイ本番を思わせるハイレベルな展開となった。最初の1組で昨年のU18大会2位、高2歴代4位の13秒49のベストを持つ井上凪紗(滝川二3)が向かい風のなか13秒77(-1.0)の好走を見せると、続く2組で昨年の全中2位でU16大会ではU18日本記録を樹立していたルーキーの福田花奏(滝川二1)が、前回井上が作った13秒70の大会記録に加え高1最高(13秒65)をも上回る13秒59(+0.1)をマーク。4組でも二階堂咲(山手2)が13秒75(+1.9)と三つ巴の展開となる。
2組3着+2で行われた準決勝では、1組で福田が好スタートから「それまで怖さを感じていた後半も詰まるぐらいで最後まで駆け抜けることができた」と、予選をさらに超える13秒46(+1.7)を叩き出して笑顔を見せた。
その後輩の走りに刺激を受けたのが2組の井上。「自分のベストより速いタイムを出されたので、絶対負けられないと気合が入りました」。こちらも得意の後半で突き抜け、13秒31(+0.7)。小林歩未(市船橋・千葉)が2018年に作った高校記録を7年ぶりに0.03秒更新。「今年中に高校記録を出せればいいなとは思っていましたが、県大会で出せるとは思っていなかったので自分でもビックリです」と目を丸くした。このレースでは最後まで井上に食らいついた2着の二階堂も、13秒59の高2歴代8位をマークしている。
そして迎えた決勝。2.1mの追い風参考になったものの、後半抜け出した井上が驚異の13秒13で3連覇を達成。「スタートで少し出遅れましたが、前半はリードされると思っていたので、最後まで落ち着いて走れた。絶対後輩には負けたくなかったので、優勝でき、タイムも良かったのでうれしい」と安堵の表情を浮かべた。
前半をリードした福田も13秒27と、井上の高校記録を上回る快走。「最後は追いつかれるとは思っていましたが、これまであこがれの遠い存在だった凪紗先輩と最後まで競ったレースができ、背中に近づくことができた」と笑顔で話す。
この井上、福田を4、1走に起用した滝川二の女子4×100mリレーも46秒24で快勝。準決勝で山手が出したばかりの大会記録46秒38をさらに更新する。福田は最終日の100mでも準決勝で自己新、大会タイの11秒82(+2.0)をマーク。決勝は強い向かい風のなか11秒98(-2.1)と好走した谷愛菜(園田学園3)に敗れたものの2位。井上は、中学時代に全中優勝(四種競技)、昨年のインターハイ8位と実績のある七種競技は回避したものの、走高跳を1m68で制覇して3冠を獲得。チームの主軸として2年ぶり3度目の女子総合優勝に貢献した。
女子七種競技は昨年のインターハイ女王・本多七(園田学園3)が自己記録(5334点)の更新はならなかったものの、大会新の5278点で3連覇。42m69で制した初日のやり投と合わせ2年連続2冠に輝き、インターハイ連覇、高校記録(5519点)の更新に向けてスタートを切った。
男子では110mハードル決勝で今西瑛大(豊岡3)が村田隼(社3)との100分の1秒差の激戦を制し、14秒22(+1.6)の大会新記録で優勝。200mでは初日の400mで連覇を果たした久保拓己(滝川二3)を、チームメイトの山本柊希(3年)が0.23秒差で抑え、21秒16(+1.2)の大会新で快勝した。久保がアンカーを務めた4×400mリレーは、400m3位の1走・平瑛司(2年)で先頭に立つと、その後も後続との差を広げ、高校歴代7位(学校別6位)、大会新の3分08秒88で締めくくった。
5000m競歩は、昨年のインターハイ2位、秋の国スポ優勝の山田大智(西脇工3)が20分26秒72の大会新記録で貫禄勝ち。フィールドでは、走高跳で初優勝した織邊亘(小野3)が自己ベストを6cm上回る大会新の2m09をクリアしたのが光った。
男子総合は、社が110点で4連覇を達成。男子ハンマー投で63m15の好記録を放った清水蓮大(3年)を筆頭にメダルを独占するなどフィールドで強さを示し、滝川二を18点差で抑えた。
近畿大会は6月12日から4日間、京都府のたけびしスタジアム京都で行われる。
文/花木雫
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