HOME 国内、日本代表

2025.05.30

NEWS
400m松本奈菜子「個人で世界と戦いたい」支えられたキャリア、アジア制覇をステップに/アジア選手権
400m松本奈菜子「個人で世界と戦いたい」支えられたキャリア、アジア制覇をステップに/アジア選手権

アジア選手権女子400mで金メダルを獲得した松本奈菜子

◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ)

2年に一度開かれるアジア選手権から日本選手団が帰国し、メディアの取材に応じた。

女子400mをセカンドベストの52秒17で制し、今大会の日本勢金メダル「第1号」となった松本奈菜子(東邦銀行)は、「自分の中で自身になるレースだった」と笑顔で振り返った。

決勝は外側の選手が松本のレーンに走り込むアクシデントがあったが、「コーナーを抜けて思い切りいきたかったけど、落ち着いて対応できた」。それでも、最後の直線で一気に突き抜け、そのままチームの先輩である千葉麻美(旧姓・丹野)がナチュリル所属だった2009年以来16年ぶりの同種目アジア制覇を果たした。

ただ、タイムについては5月3日の静岡国際で日本歴代2位の52秒14や51秒台に届かず、「第3コーナーをいい感じに抜けてこられていたので、(アクシデントは)ちょっと惜しかったかな」と苦笑いが浮かぶ。

静岡・清水南中では800mで全中優勝を飾り、浜松市立高では2年時に世界ユース選手権メドレーリレー銅メダル、3年時には400mで日本選手権優勝、アジア大会4×400mリレー銅メダルなど、輝かしい足跡を刻んだ。

広告の下にコンテンツが続きます

筑波大を経て、東邦銀行に入社。その間、思うような結果を出せず、指導を受けた川本和久監督が22年に他界するなど、順風満帆な道のりではない。それでも、22年に混合4×400mリレーでシニア初の世界大会となるオレゴン世界選手権に出場すると、昨年は自己ベストを52秒29へと短縮するなど歩みを止めていない。

一昨年、昨年とケガが続いたが、「左脚が流れてしまっていた」動きを、姿勢や歩きから改善。地面からの反発をしっかりともらえる動きを一から作り上げ、今年は室内シーズンで2月(53秒41)、3月(53秒15)とショートトラック日本新を連発、屋外に入ってからも好調を維持している。

「これまでリレーでしか世界には出られていない。個人で世界と戦いたい」という強い思いが、松本を突き動かす。そこには、「これまで指導していただいた先生方が常に世界に目を向けてくださり、世界と戦う楽しさを教えてくださった」ことが根底にある。そして、常に世界に目を向けて戦ってきた今のチームの基盤が、“結果”を出すことの大切さを教えてくれた。

「これまで勝負ごとに対しては苦手意識がすごくあったのですが、実業団選手は結果が大事。それをチームのたくさんの方々が教えてくださった、本当に周りのみなさんのお陰が大きい」

数々のキャリアを積み重ねてきた28歳。個人で世界の舞台に立つ日が、近づいてきた。

◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ) 2年に一度開かれるアジア選手権から日本選手団が帰国し、メディアの取材に応じた。 女子400mをセカンドベストの52秒17で制し、今大会の日本勢金メダル「第1号」となった松本奈菜子(東邦銀行)は、「自分の中で自身になるレースだった」と笑顔で振り返った。 決勝は外側の選手が松本のレーンに走り込むアクシデントがあったが、「コーナーを抜けて思い切りいきたかったけど、落ち着いて対応できた」。それでも、最後の直線で一気に突き抜け、そのままチームの先輩である千葉麻美(旧姓・丹野)がナチュリル所属だった2009年以来16年ぶりの同種目アジア制覇を果たした。 ただ、タイムについては5月3日の静岡国際で日本歴代2位の52秒14や51秒台に届かず、「第3コーナーをいい感じに抜けてこられていたので、(アクシデントは)ちょっと惜しかったかな」と苦笑いが浮かぶ。 静岡・清水南中では800mで全中優勝を飾り、浜松市立高では2年時に世界ユース選手権メドレーリレー銅メダル、3年時には400mで日本選手権優勝、アジア大会4×400mリレー銅メダルなど、輝かしい足跡を刻んだ。 筑波大を経て、東邦銀行に入社。その間、思うような結果を出せず、指導を受けた川本和久監督が22年に他界するなど、順風満帆な道のりではない。それでも、22年に混合4×400mリレーでシニア初の世界大会となるオレゴン世界選手権に出場すると、昨年は自己ベストを52秒29へと短縮するなど歩みを止めていない。 一昨年、昨年とケガが続いたが、「左脚が流れてしまっていた」動きを、姿勢や歩きから改善。地面からの反発をしっかりともらえる動きを一から作り上げ、今年は室内シーズンで2月(53秒41)、3月(53秒15)とショートトラック日本新を連発、屋外に入ってからも好調を維持している。 「これまでリレーでしか世界には出られていない。個人で世界と戦いたい」という強い思いが、松本を突き動かす。そこには、「これまで指導していただいた先生方が常に世界に目を向けてくださり、世界と戦う楽しさを教えてくださった」ことが根底にある。そして、常に世界に目を向けて戦ってきた今のチームの基盤が、“結果”を出すことの大切さを教えてくれた。 「これまで勝負ごとに対しては苦手意識がすごくあったのですが、実業団選手は結果が大事。それをチームのたくさんの方々が教えてくださった、本当に周りのみなさんのお陰が大きい」 数々のキャリアを積み重ねてきた28歳。個人で世界の舞台に立つ日が、近づいてきた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.31

日本金5、銀11、銅12のメダル獲得!100m栁田大輝、200m鵜澤飛羽の連覇などアジアで存在感/アジア選手権

◇アジア選手権(5月27日~31日/韓国・クミ)最終日 2年に一度開かれるアジア選手権が閉幕し、日本は金5、銀11、銅12と計28個のメダルを獲得した。 大会2日目、女子400mで松本奈菜子(東邦銀行)が「金メダル第1号 […]

NEWS 男子棒高跳は山本聖途7位、柄澤智哉8位タイでダブル入賞確保/アジア選手権

2025.05.31

男子棒高跳は山本聖途7位、柄澤智哉8位タイでダブル入賞確保/アジア選手権

◇アジア選手権(5月27日~31日/韓国・クミ)最終日 2年に一度開かれるアジア選手権の最終日5日目が行われ、男子棒高跳で山本聖途(トヨタ自動車)が5m42で7位、柄澤智哉(東京陸協)は5m32で8位タイだった。 ともに […]

NEWS 大六野秀畝が10000m27分52秒63! 東京世界陸上マラソン代表・小山直城も出場 王文傑は中国新記録/日体大長距離競技会

2025.05.31

大六野秀畝が10000m27分52秒63! 東京世界陸上マラソン代表・小山直城も出場 王文傑は中国新記録/日体大長距離競技会

第321回日体大長距離競技会兼第15回NITTAIDAI Challenge Games(NCG)は5月31日、神奈川・日体大健志台陸上競技場で行われ、NGC男子10000mでは大六野秀畝(旭化成)が27分52秒63で日 […]

NEWS 800m学生コンビは4位&5位 ともに世界陸上標準見据え、石井優吉「今回は自信になる」落合晃「もう一度作り直す」/アジア選手権

2025.05.31

800m学生コンビは4位&5位 ともに世界陸上標準見据え、石井優吉「今回は自信になる」落合晃「もう一度作り直す」/アジア選手権

◇アジア選手権(5月27日~31日/韓国・クミ)最終日 2年に一度開かれるアジア選手権の最終日5日目が行われ、男子800mでは石井優吉(ペンシルベニア州立大)が今季屋外ベストの1分46秒74で4位、落合晃(駒大)が1分4 […]

NEWS 久保凛 涙の銀メダル「勝ちにこだわって絶対に優勝したかった」アジア制覇まで0.34秒/アジア選手権

2025.05.31

久保凛 涙の銀メダル「勝ちにこだわって絶対に優勝したかった」アジア制覇まで0.34秒/アジア選手権

◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ) 5日目 2年に一度開かれるアジア選手権の5日目が行われ、女子800mで久保凛(東大阪大敬愛高3)が2分00秒42で銀メダルを獲得した。 「今日は勝ちにこだわって絶対に […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析

page top