2025.05.30

FOCUS! 高校生INTERVIEW
今峰紗希 Imamine Saki
済美高3岐阜
注目の高校アスリートに焦点を当てる高校生FOCUS。今回はU18アジア選手権(4月15~18日/サウジアラビア・ダンマーム)女子400mで金メダルを獲得した岐阜・済美(せいび)高の今峰紗希選手(3年)です。初めての海外渡航だったそうですが、年齢制限がある中で日本代表としてアジアを制しました。そんな今峰選手がこのあと、見据えるものとは――。
記録の目標は岐阜県高校記録
――U18アジア選手権で金メダル獲得、おめでとうございます。
今峰 タイム(予選57秒31、決勝57秒27)などは全然満足できていませんが、初の国際大会で緊張することもたくさんあったなか、こういう大舞台で結果を残すことができたのは、これからの自信につながったし、とても良い経験になりました。
――レース序盤から積極的に飛ばして逃げ切りました。
今峰 暑さもありましたが、暑さよりも風が強いのが大変でした。本番はバックストレートが向かい風という自分の中では嫌なパターンだったので、レース展開も少し難しかったですが、いつも通り前半から突っ込んで、せめて55秒台は出したいと考えていました。
――日の丸をつけて戦う試合は、これまでの試合と違うものでしたか?
今峰 一緒に出場した選手たちがすごい人たちばかりで、遠征期間中に話していても陸上に対する思いがみんな強くて、良い刺激を受けました。レース後はまさかここで自分が優勝できて、表彰式で君が代を歌える時が来るなんて考えていなかったので、とてもうれしかったです。
――アジアの他の国の選手たちから学べたことはありましたか。
今峰 ウォーミングアップの仕方も日本人と全然違って、レース前のウォーミングアップで声を出したり全身を叩いたりして気持ちを入れている選手もいました。見るからに強そうで圧倒される感じでした。他にも国際交流をできる時間もあって有意義でした。
――高校最後のシーズンとなる今季の目標は。
今峰 インターハイで優勝することを目指しています。家のリビングにも大きな紙に「全国優勝」と目標タイムを書いて貼り、毎日ご飯を食べながらそれを見て、心が燃えています。
――目標タイムは何秒と書いたのですか。
今峰 100m、200m、300m、400mとすべて書いていますが、400mは岐阜県高校記録(54秒37/1982年の越本ひとみ・県岐阜商/※同年アジア大会4×400mR金メダルメンバー)を上回る54秒30と書きました。
――インターハイ路線の県大会はU18アジア選手権の特例措置でシードにより通過しました。本格参戦となる東海大会や全国ではどのように戦っていくイメージですか。
今峰 東海大会は最低でも55秒台前半を出して1位で突破したいです。全国は今年から400mの日程が2日間に変わって、初日の予選と準決勝は普通に走れば、絶対に突破できると信じています。昨年は準決勝敗退だったので、しっかり自分の走りをして、決勝では自己ベストを出して優勝したいです。
――今シーズンに向けての冬季練習は順調でしたか。
今峰 実は、11月中旬に右足首を捻挫してしまい、最初の1週間は松葉杖。バイク(固定式自転車)を漕げるようになったのもケガをした3週間後ぐらいからでした。来年はもっと結果を残すと決めていたのに、大事な冬季にケガをしてしまい、本当にショックで不安でした。バイクを漕げない時期はたくさん筋力トレーニングをしていました。
――通常の練習に復帰できたのはいつですか。
今峰 2月からです。少しでも取り戻そうと、自宅でも体幹トレーニングや腹筋、腕振りを今までよりもたくさんやりました。今はもう痛みや違和感もないですし、順調です。
――毎日の練習で意識していることや心掛けていることは。
今峰 1つひとつのメニューは絶対にやる意味があるので、適当にやったり手を抜いたりせず、その意味を考えながらがんばっています。
――U18アジア選手権で金メダルを取るほどの活躍ですが、そもそも高校入学当初、どんな目標を掲げていましたか。
今峰 全国大会に1度も出場したことなかったので、全国に行ってみたい、インターハイには必ず出場したいと思っていました。
――400mをメイン種目にした経緯は。
今峰 周りに速い人ばかりだった100mはあまり考えていなくて、中学ではなかった400mに出てみたい気持ちは最初からありました。入学してすぐの頃にあった記録会で意外と良いタイムで走れたので、そこから400mを続けてきました。
――1年生から4×400mリレーでインターハイに出場しました。初めての全国大会はいかがでしたか。
今峰 初めてだったので、周りの選手がウォーミングアップの時からスピードが速いことにまずびっくりしました。まだ自分の走力に自信がなくて、本番も本当に自分がここで走っていいのかと思うくらい緊張したことを覚えています。
――昨年はリレー2種目でインターハイに出場し、アンカーを務めた4×400mリレーは4位。個人でも東海大会優勝を経て全国で準決勝まで進んでいます。
今峰 昨年はまず春の記録会でいきなり55秒台が出て、自分でも信じられないぐらい驚きました。なぜこんなに伸びたんだろうと考えると、自分はケガをしやすいので1年生の冬季練習では、毎日のケアを徹底したらしっかり練習できました。それが好成績につながったのかなと。ただ、インターハイの個人種目は夏バテしていたのもあって、56秒79で準決勝止まり。入賞を目指していて必ず決勝に行きたかったので悔しさが残りました。
――インターハイ後も400mで9月に54秒94をマークし、秋は300mで国スポ(5位)、U18大会(3位)といずれも入賞を果たしました。
今峰 国スポ前に脚をケガしてしまい、あまり練習を積めずに不安な気持ちのまま国スポに出ました。優勝を目指していたので悔しかったです。
――高校に入学した頃は「全国に行きたい」という目標だったのが、次第に「勝ちたい」という思いに変わっていきましたね。
今峰 自分がレベルアップするにつれて、周りに負けたくないという気持ちが大きくなっていきました。絶対に勝つとか、負けたくないという思いは、中学の頃と比べたら何倍も強くなった気がします。
記録の目標は岐阜県高校記録
――U18アジア選手権で金メダル獲得、おめでとうございます。 今峰 タイム(予選57秒31、決勝57秒27)などは全然満足できていませんが、初の国際大会で緊張することもたくさんあったなか、こういう大舞台で結果を残すことができたのは、これからの自信につながったし、とても良い経験になりました。 ――レース序盤から積極的に飛ばして逃げ切りました。 今峰 暑さもありましたが、暑さよりも風が強いのが大変でした。本番はバックストレートが向かい風という自分の中では嫌なパターンだったので、レース展開も少し難しかったですが、いつも通り前半から突っ込んで、せめて55秒台は出したいと考えていました。 ――日の丸をつけて戦う試合は、これまでの試合と違うものでしたか? 今峰 一緒に出場した選手たちがすごい人たちばかりで、遠征期間中に話していても陸上に対する思いがみんな強くて、良い刺激を受けました。レース後はまさかここで自分が優勝できて、表彰式で君が代を歌える時が来るなんて考えていなかったので、とてもうれしかったです。 ――アジアの他の国の選手たちから学べたことはありましたか。 今峰 ウォーミングアップの仕方も日本人と全然違って、レース前のウォーミングアップで声を出したり全身を叩いたりして気持ちを入れている選手もいました。見るからに強そうで圧倒される感じでした。他にも国際交流をできる時間もあって有意義でした。 ――高校最後のシーズンとなる今季の目標は。 今峰 インターハイで優勝することを目指しています。家のリビングにも大きな紙に「全国優勝」と目標タイムを書いて貼り、毎日ご飯を食べながらそれを見て、心が燃えています。 ――目標タイムは何秒と書いたのですか。 今峰 100m、200m、300m、400mとすべて書いていますが、400mは岐阜県高校記録(54秒37/1982年の越本ひとみ・県岐阜商/※同年アジア大会4×400mR金メダルメンバー)を上回る54秒30と書きました。 ――インターハイ路線の県大会はU18アジア選手権の特例措置でシードにより通過しました。本格参戦となる東海大会や全国ではどのように戦っていくイメージですか。 今峰 東海大会は最低でも55秒台前半を出して1位で突破したいです。全国は今年から400mの日程が2日間に変わって、初日の予選と準決勝は普通に走れば、絶対に突破できると信じています。昨年は準決勝敗退だったので、しっかり自分の走りをして、決勝では自己ベストを出して優勝したいです。 ――今シーズンに向けての冬季練習は順調でしたか。 今峰 実は、11月中旬に右足首を捻挫してしまい、最初の1週間は松葉杖。バイク(固定式自転車)を漕げるようになったのもケガをした3週間後ぐらいからでした。来年はもっと結果を残すと決めていたのに、大事な冬季にケガをしてしまい、本当にショックで不安でした。バイクを漕げない時期はたくさん筋力トレーニングをしていました。 ――通常の練習に復帰できたのはいつですか。 今峰 2月からです。少しでも取り戻そうと、自宅でも体幹トレーニングや腹筋、腕振りを今までよりもたくさんやりました。今はもう痛みや違和感もないですし、順調です。 ――毎日の練習で意識していることや心掛けていることは。 今峰 1つひとつのメニューは絶対にやる意味があるので、適当にやったり手を抜いたりせず、その意味を考えながらがんばっています。 ――U18アジア選手権で金メダルを取るほどの活躍ですが、そもそも高校入学当初、どんな目標を掲げていましたか。 今峰 全国大会に1度も出場したことなかったので、全国に行ってみたい、インターハイには必ず出場したいと思っていました。 ――400mをメイン種目にした経緯は。 今峰 周りに速い人ばかりだった100mはあまり考えていなくて、中学ではなかった400mに出てみたい気持ちは最初からありました。入学してすぐの頃にあった記録会で意外と良いタイムで走れたので、そこから400mを続けてきました。 ――1年生から4×400mリレーでインターハイに出場しました。初めての全国大会はいかがでしたか。 今峰 初めてだったので、周りの選手がウォーミングアップの時からスピードが速いことにまずびっくりしました。まだ自分の走力に自信がなくて、本番も本当に自分がここで走っていいのかと思うくらい緊張したことを覚えています。 ――昨年はリレー2種目でインターハイに出場し、アンカーを務めた4×400mリレーは4位。個人でも東海大会優勝を経て全国で準決勝まで進んでいます。 今峰 昨年はまず春の記録会でいきなり55秒台が出て、自分でも信じられないぐらい驚きました。なぜこんなに伸びたんだろうと考えると、自分はケガをしやすいので1年生の冬季練習では、毎日のケアを徹底したらしっかり練習できました。それが好成績につながったのかなと。ただ、インターハイの個人種目は夏バテしていたのもあって、56秒79で準決勝止まり。入賞を目指していて必ず決勝に行きたかったので悔しさが残りました。 ――インターハイ後も400mで9月に54秒94をマークし、秋は300mで国スポ(5位)、U18大会(3位)といずれも入賞を果たしました。 今峰 国スポ前に脚をケガしてしまい、あまり練習を積めずに不安な気持ちのまま国スポに出ました。優勝を目指していたので悔しかったです。 ――高校に入学した頃は「全国に行きたい」という目標だったのが、次第に「勝ちたい」という思いに変わっていきましたね。 今峰 自分がレベルアップするにつれて、周りに負けたくないという気持ちが大きくなっていきました。絶対に勝つとか、負けたくないという思いは、中学の頃と比べたら何倍も強くなった気がします。先輩の熱い思いを受けて済美高へ
――陸上を始めたきっかけを教えてください。 今峰 もともと走ることが好きで、小学2年生の時に鬼ごっこやドッジボールなど、みんなで遊ぶようなコミュニティに入りました。そこのコーチに「陸上をやってみない?」と誘われ、3年生の秋から地域のクラブで陸上を始め、4年生から大会に出るようになりました。 ――家族に陸上経験者はいますか。 今峰 母だけが陸上経験者で、高校時代に400mで県大会1位になったことがあると聞いたことがあります。母の1年後輩が(済美高)顧問の太田三暁先生です。家族は他に、父はいろいろなスポーツをやっていて、1つ上の兄は野球、2つ下の妹はソフトボールをやっています。 ――小学生の頃は上位大会の出場経験はありますか。 今峰 もともと走るのが好きだっただけで、脚は全然速くなくて、大会に出ても予選で最下位とかばかり。決勝に残ったことも賞状をもらったこともありません。記録や順位は関係なく、とにかく楽しんで走っていただけです。 ――中学でも陸上部へ入部したそうですね。 今峰 見学に行った時に楽しそうだったバドミントン部と迷いましたが、結局、先輩方が誘ってくださった陸上部に入りました。陸上部は厳しい練習というよりも楽しい雰囲気。練習は平日が週2回で、土曜と日曜も練習がありましたが、息切れするようなきつさは全然なかったので、自主練習をやるようになりました。 ――自主練習はどのような内容を。 今峰 自宅付近は車があまり通らないところなので、自宅の周りを走ったり坂ダッシュをしまくったり。毎日、学校から帰ってきてすぐに走っていました。ほとんど1人でしたが、たまに妹を誘ってやることもありました。 ――中学3年の東海大会では200mに出場しています。いつ頃から記録が伸びていったのですか。 今峰 2年生の夏ぐらいからです。記録が伸びるのが楽しくて、その時期に初めて県の決勝に残れました。東海大会では全然通用しませんでしたが、もともと全国を目指していたわけではないので、自分の好きな走ることを毎日やって、記録も徐々に伸びて、すごく充実した中学3年間でした。 ――済美高校に進学した経緯は。 今峰 記録が伸びたら楽しくなってきて、高校でも陸上やりたい、やるなら強いチームでやってみたいと思うようになりました。済美高校が強いことは知っていて、中学3年の7月に見学に行くと、先輩方が熱い思いをいろいろ語ってくれました。先輩、後輩の上下関係はあるけれど、仲が良く、優しく話しかけてくれた先輩方と一緒に練習したいと思って済美高校に決めました。 ――どんな熱い思いを聞いたのですか。 今峰 先輩からは「練習はきついかもしれないけど、絶対に結果は出るよ。タイムは絶対に伸びるし、やりがいがあるよ」と言ってもらって、より一層行きたくなりました。 ――陸上部に入って練習ではレベルの高さを感じましたか。 今峰 感じました。中学では自分が1番速いみたいな感じでしたが、高校に来たら先輩も速いし、同級生も県のトップの人たちばかり。みんなに置いていかれるぐらい下のほうだったので、すごく焦っていました。練習も慣れない頃はすごくきつくて、家に帰ってからも疲れて、夜ご飯を食べながら寝てしまったこともあります。 ――普段はどうやって学校に通っていますか。 今峰 自宅近くからバスに約1時間乗って岐阜駅まで行って、そこから学校まで自転車です。平日は朝練習があるので、毎日4時45分に起きて5時20分頃に出ます。放課後の練習は2時間ぐらいなので、夜は遅くても午後8時前には家に着いています。 [caption id="attachment_171672" align="alignnone" width="800"]
今峰紗希選手のプロフィールをチェック!
◎いまみね・さき/2008年3月2日、岐阜県関市出身。関緑ヶ丘中―済美高。中学3年時の22年岐阜県中学総体200mで2位、4×100mリレー(2走)でも4位と、2種目で東海大会に出場。高校1年で400mを始めると、個人種目こそ東海大会止まりだったが、4×400mリレーはインターハイで準決勝(3走)まで進んだ。2年生の昨シーズンは東海大会400mを制覇。インターハイは400mに加え、4×100mリレー(3走)と4×400mリレー(アンカー)でも出場し、4×400mリレーでは4位に貢献した。秋には国スポ少年A300mで5位に入り、個人種目での全国初入賞を遂げると、U18大会では3位に食い込んだ。今季は400mでU18アジア選手権金メダルのほか、5月3日の静岡国際にも出場し、シニアのトップ選手と走っている。主な自己ベストは200m24秒53(24年)、400m54秒94(24年)、特殊種目の300m38秒32(24年)。 [caption id="attachment_171673" align="alignnone" width="800"]
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