HOME 国内

2025.02.25

浪速路に大いなる一歩!初マラソン日本最高の近藤亮太「最後の1kmは最高の時間」/大阪マラソン
浪速路に大いなる一歩!初マラソン日本最高の近藤亮太「最後の1kmは最高の時間」/大阪マラソン

25年大阪マラソンで初マラソン日本最高をマークした近藤亮太(三菱重工、中央)。右は黒木純総監督、左は松村康平監督

◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ)

JMCシリーズG1の大阪マラソンが東京世界選手権代表選考会を兼ねて行われ、イフニリング・アダン(エチオピア)が2時間5分37秒の大会新記録で優勝した。

日本勢は今年もまた、初マラソン組が快走。25歳の新星が浪速路に大いなる一歩を記した近藤亮太(三菱重工)が初マラソン日本最高、日本歴代5位となる2時間5分39秒で日本人トップの2位と力走した。

広告の下にコンテンツが続きます

「初マラソンだったので、30kmまで余裕を持って身体の軸をぶらさず走り切ることだけを意識していました。2時間8分台が目標だったので、日本人トップも記録にもビックリです」と初マラソンの感想を口にする。

序盤から細かなペースのアップダウンはあったものの、ペースメーカーが離れる30kmまで1km2分58秒、5km14分50秒の高速スプリットを刻む。チームの先輩である定方俊樹とともにマラソン練習に励んできたという近藤。その定方からのアドバイスを、しっかりと胸に刻んでいた。

「定方さんから『マラソンはずっとキツイけど、途中で楽になる時が来る』と言われていたので、その言葉を信じて我慢しました」

10kmから20kmで「少しきつくなった」と言うが、ハーフ以降に回復。「以前は、ハーフなどのレースでも先頭のずっと先を見ていましたが、今回は周りを気にせず自分の走りに集中するため、前を走る選手のお尻をずっと見ていました」。レース前に思い描いたとおり、その後は30kmまで余裕を持ってレースを進めることができた。

展開が大きく動いた30km以降は、先頭集団に食らいつくなかで33kmで左脚にケイレンが発生。それでも、一度は追いついた先頭集団に再び離された38km過ぎ、「前のペースがあまり上がっていなかったので追いつけると思った」と冷静だった。

40km過ぎには右脚にもケイレンが起きたがそれをものともせず、41km地点でトップ争いを繰り広げるアダン、アブディサ・トーラ(エチオピア)を一気に抜き去る。「先導のバイクの後ろを走った最後の1kmは最高の時間でした」。残り100mを切ったところでアダンに逆転を許したことについては。「今、思えば優勝を逃して悔しいですが、脚がきつくてスパートしきれなかった」と振り返る。

今回、自身3度目の2時間7分台(2時間7分34秒)で12位だった定方も、ニュージーランド合宿をはじめトレーニングの過程を見守った黒木純監督も、「2時間5~6分台を出せる練習は積めていたので、出せる力はついていた」と言葉をそろえる。

陸上を始めた中学時代。800mや1500mでは勝てない相手に、3000mでは不思議と勝てた。「距離が延びれば自分は強くなると勝手に思い込んでいました。フルマラソンまで競技を続ければ、意外と勝てるんじゃないかという謎の自信がありました」

それから10年。島原高時代はインターハイには進めなかったが、国体で全国大会を経験。順大に進み、4年時に箱根駅伝の10区を担当。総合2位で大手町のフィニッシュテープを切っている。「あの時の2位より、今回のほうがうれしい」とはにかむ。

今回の快走で東京世界選手権の参加標準記録(2時間6分30秒)も突破。代表争いに加わることとなった。「長期的にはロサンゼルス五輪のマラソンでメダルを獲得することが目標。東京も選ばれることがあれば、日本代表に恥じないレースをしたい」と目を輝かせる。

小雪が舞うコンディションのなか、9位までが2時間6分30秒を切るハイレベルなレースで、強さが光った近藤。次なるステージでどんな輝きを放つか注目だ。

文/花木 雫

◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) JMCシリーズG1の大阪マラソンが東京世界選手権代表選考会を兼ねて行われ、イフニリング・アダン(エチオピア)が2時間5分37秒の大会新記録で優勝した。 日本勢は今年もまた、初マラソン組が快走。25歳の新星が浪速路に大いなる一歩を記した近藤亮太(三菱重工)が初マラソン日本最高、日本歴代5位となる2時間5分39秒で日本人トップの2位と力走した。 「初マラソンだったので、30kmまで余裕を持って身体の軸をぶらさず走り切ることだけを意識していました。2時間8分台が目標だったので、日本人トップも記録にもビックリです」と初マラソンの感想を口にする。 序盤から細かなペースのアップダウンはあったものの、ペースメーカーが離れる30kmまで1km2分58秒、5km14分50秒の高速スプリットを刻む。チームの先輩である定方俊樹とともにマラソン練習に励んできたという近藤。その定方からのアドバイスを、しっかりと胸に刻んでいた。 「定方さんから『マラソンはずっとキツイけど、途中で楽になる時が来る』と言われていたので、その言葉を信じて我慢しました」 10kmから20kmで「少しきつくなった」と言うが、ハーフ以降に回復。「以前は、ハーフなどのレースでも先頭のずっと先を見ていましたが、今回は周りを気にせず自分の走りに集中するため、前を走る選手のお尻をずっと見ていました」。レース前に思い描いたとおり、その後は30kmまで余裕を持ってレースを進めることができた。 展開が大きく動いた30km以降は、先頭集団に食らいつくなかで33kmで左脚にケイレンが発生。それでも、一度は追いついた先頭集団に再び離された38km過ぎ、「前のペースがあまり上がっていなかったので追いつけると思った」と冷静だった。 40km過ぎには右脚にもケイレンが起きたがそれをものともせず、41km地点でトップ争いを繰り広げるアダン、アブディサ・トーラ(エチオピア)を一気に抜き去る。「先導のバイクの後ろを走った最後の1kmは最高の時間でした」。残り100mを切ったところでアダンに逆転を許したことについては。「今、思えば優勝を逃して悔しいですが、脚がきつくてスパートしきれなかった」と振り返る。 今回、自身3度目の2時間7分台(2時間7分34秒)で12位だった定方も、ニュージーランド合宿をはじめトレーニングの過程を見守った黒木純監督も、「2時間5~6分台を出せる練習は積めていたので、出せる力はついていた」と言葉をそろえる。 陸上を始めた中学時代。800mや1500mでは勝てない相手に、3000mでは不思議と勝てた。「距離が延びれば自分は強くなると勝手に思い込んでいました。フルマラソンまで競技を続ければ、意外と勝てるんじゃないかという謎の自信がありました」 それから10年。島原高時代はインターハイには進めなかったが、国体で全国大会を経験。順大に進み、4年時に箱根駅伝の10区を担当。総合2位で大手町のフィニッシュテープを切っている。「あの時の2位より、今回のほうがうれしい」とはにかむ。 今回の快走で東京世界選手権の参加標準記録(2時間6分30秒)も突破。代表争いに加わることとなった。「長期的にはロサンゼルス五輪のマラソンでメダルを獲得することが目標。東京も選ばれることがあれば、日本代表に恥じないレースをしたい」と目を輝かせる。 小雪が舞うコンディションのなか、9位までが2時間6分30秒を切るハイレベルなレースで、強さが光った近藤。次なるステージでどんな輝きを放つか注目だ。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.10

【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ

第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]

NEWS 前回6位の城西大・櫛部静二監督「アッと驚く試合を」 20年連続シード東洋大・酒井俊幸監督「誰が出ても粘りながら」/箱根駅伝

2025.12.10

前回6位の城西大・櫛部静二監督「アッと驚く試合を」 20年連続シード東洋大・酒井俊幸監督「誰が出ても粘りながら」/箱根駅伝

第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回6位の城西大は16人のエントリーの半数を4年生が占めた。櫛部静二監督は「ここ数年、この4年生の力によって、城西大としては上 […]

NEWS 15年ぶりVへ!早大・花田勝彦監督「往路優勝のオーダーを」山口智規主将を「胴上げしたい」/箱根駅伝

2025.12.10

15年ぶりVへ!早大・花田勝彦監督「往路優勝のオーダーを」山口智規主将を「胴上げしたい」/箱根駅伝

第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 前回4位の早大は「5強」の一角として、15年ぶり優勝をしっかりと視界に捉える。 就任4年目を迎えた花田勝彦駅伝監督は、今年度で […]

NEWS 99回目出場の中大・藤原監督「いい顔でスタートを」4年生が優勝へ執念「勝たせてやりたい」/箱根駅伝

2025.12.10

99回目出場の中大・藤原監督「いい顔でスタートを」4年生が優勝へ執念「勝たせてやりたい」/箱根駅伝

第102回箱根駅伝の記者発表会が12月10日、都内で行われ、出場校の監督が意気込みを語った。 全日本大学駅伝で2位を占めた中大は、前回5位からの躍進を期す。藤原正和監督は「いいチームができました」と胸を張って語る。 1年 […]

NEWS 第102回箱根駅伝ゲスト解説に駒大OB・篠原倖太朗、國學院大OB・平林清澄ら 往路さらなる特別ゲストも

2025.12.10

第102回箱根駅伝ゲスト解説に駒大OB・篠原倖太朗、國學院大OB・平林清澄ら 往路さらなる特別ゲストも

関東学生陸上競技連盟が12月10日、第102回箱根駅伝の開催要項を発表し、テレビ中継する日本テレビの放送についても合わせて発表された。 2026年1月2日の往路、3日の復路ともに7時から生中継。放送センターでの解説は往路 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top