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2025.01.03

青学大が大会新V2「最高の仲間と最高の景色が見られた」チーム全員でつかみとった頂点/箱根駅伝
青学大が大会新V2「最高の仲間と最高の景色が見られた」チーム全員でつかみとった頂点/箱根駅伝

25年箱根駅伝総合優勝の青学大

◇第101回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町往復/10区間217.1km)

箱根駅伝の復路が行われ、青学大が2年連続の総合優勝を果たした。昨年打ち立てた大会記録を6秒更新する10時間41分19秒をマーク。通算8度目の制覇となる。

「やっぱり子どもたちに胴上げしてもらうのは最高ですよ」。8回胴上げされた原晋監督は満面に笑みを浮かべた。決して100点満点の駅伝ではなかったかもしれない。それでも、強い青学大を見せつける大会新連覇だった。

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往路は1区・宇田川瞬矢(3年)が区間10位スタート。「自分の走りとしては悔しい結果に終わった」と振り返るが、ライバル校との差を考えれば役割は果たした。

前回2区区間賞の黒田朝日(3年)がまたも快走を見せる。昨年の黒田の走りが一つの指標となったことで、多くのチームが主力を配置し、“花の2区”にふさわしい顔ぶれに。

ハイペースとなるなか「1年かけて走力が上がったのもありますし、前回走った経験もあります。自分の立てたレースプランに徹することができました」。区間賞こそ逃したが、1時間5分44秒の区間新を叩き出す。

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最初で最後の出走となった3区の鶴川正也(4年)は区間4位。「走りはイメージしたものと違いましたが、最高の景色をチームのみんなと見られた。このチームが大好き」。走りには、そういう思いが詰まっていた。

そして、真打ち登場。4区の太田蒼生(4年)は「区間新を出せなかったのは悔しい」というが、圧巻の区間賞。中大との差を縮めて5区の若林へとタスキをつないだ。

「1年間、箱根のために取り組んできた」という若林。競技人生最後の山上りで、確かな足跡を刻む、1時間9分11秒の区間新。3度目の往路優勝のテープを切って“若の神”は箱根路に別れを告げた。

往路を終え、「2位以下に30秒の差をつけてピクニックランですよ」と原監督。その言葉通り、「山下りのスペシャリスト」(原監督)と送り出した野村昭夢(4年)が、史上初の57分切りとなる56分47秒で駆け下りる。

「この1年間、56分台を目標に取り組んできた。前回は後ろとの差を気にしましたが、今回は56分台だけを目指して、そうすれば後ろを離せると思っていました」

野村は新設されたMVPと金栗四三杯のダブル受賞。まさに優勝を大きくたぐり寄せる走りとなった。

続く白石光星(4年)は「区間新で来てくれたことで気負ってしまい、(前半)つっこんでしまった」と反省する区間9位。だが、前回に続いて8区の塩出翔太(3年)も区間賞で挽回するのもチームの強さ。「積極的に走りました」とミッションを完遂する。

主将の田中悠登(4年)は、「本当は10区を走りたかったのですが、調子が良すぎて『もったいない』と9区になりました」と苦笑い。それでも、その前は貧血もあり「メンバー入りが厳しい状況」だった。そこから見事に復活した。

アンカーは1年生の小河原陽琉。「昨日、走ると言われましたが、前から10区を走るつもりでいました」。最後の指を頬にあてるポーズは作戦名の『(笑顔で)会いたい』から連想して「自分で考えました」と笑う。15km以降はきつさもあったというが、「先輩方が駒大との差を広げて持ってきてくれたので安心して走ることができました」。

原監督は「田中キャプテンが同期と口論したり、下級生に厳しく接したりする時も若林寮長、主務と愛を持って運営してくました」と言い、田中の走りで「終始安定し、しっかりまとめてくれました。キャプテンらしい走り。優勝はある程度確信できました」と振り返る。

作戦大成功で「300点でしょう」と原監督。「我々には箱根駅伝必勝メソッドがある。基本的なメカニズムは一緒ですが、固定概念をくつがえして取り組んでいます」。

チームを引っ張った田中は「部員62名全員でつかみとった優勝。調子が合わずにメンバーに入れなかった選手も(練習で)勢いを与えてくれました。本当は迎えるのが怖かったですが、最高の仲間と最高の景色が見られて良かったです」と喜びを語った。

成熟した“メソッド”と自主性の中で育つ選手たちが織りなす継走は、新時代に入っても強さを増し続ける。打倒・青学大を掲げるライバル校を迎え撃つために、すぐに厳しい日々を過ごしていく。

◇第101回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町往復/10区間217.1km) 箱根駅伝の復路が行われ、青学大が2年連続の総合優勝を果たした。昨年打ち立てた大会記録を6秒更新する10時間41分19秒をマーク。通算8度目の制覇となる。 「やっぱり子どもたちに胴上げしてもらうのは最高ですよ」。8回胴上げされた原晋監督は満面に笑みを浮かべた。決して100点満点の駅伝ではなかったかもしれない。それでも、強い青学大を見せつける大会新連覇だった。 往路は1区・宇田川瞬矢(3年)が区間10位スタート。「自分の走りとしては悔しい結果に終わった」と振り返るが、ライバル校との差を考えれば役割は果たした。 前回2区区間賞の黒田朝日(3年)がまたも快走を見せる。昨年の黒田の走りが一つの指標となったことで、多くのチームが主力を配置し、“花の2区”にふさわしい顔ぶれに。 ハイペースとなるなか「1年かけて走力が上がったのもありますし、前回走った経験もあります。自分の立てたレースプランに徹することができました」。区間賞こそ逃したが、1時間5分44秒の区間新を叩き出す。 最初で最後の出走となった3区の鶴川正也(4年)は区間4位。「走りはイメージしたものと違いましたが、最高の景色をチームのみんなと見られた。このチームが大好き」。走りには、そういう思いが詰まっていた。 そして、真打ち登場。4区の太田蒼生(4年)は「区間新を出せなかったのは悔しい」というが、圧巻の区間賞。中大との差を縮めて5区の若林へとタスキをつないだ。 「1年間、箱根のために取り組んできた」という若林。競技人生最後の山上りで、確かな足跡を刻む、1時間9分11秒の区間新。3度目の往路優勝のテープを切って“若の神”は箱根路に別れを告げた。 往路を終え、「2位以下に30秒の差をつけてピクニックランですよ」と原監督。その言葉通り、「山下りのスペシャリスト」(原監督)と送り出した野村昭夢(4年)が、史上初の57分切りとなる56分47秒で駆け下りる。 「この1年間、56分台を目標に取り組んできた。前回は後ろとの差を気にしましたが、今回は56分台だけを目指して、そうすれば後ろを離せると思っていました」 野村は新設されたMVPと金栗四三杯のダブル受賞。まさに優勝を大きくたぐり寄せる走りとなった。 続く白石光星(4年)は「区間新で来てくれたことで気負ってしまい、(前半)つっこんでしまった」と反省する区間9位。だが、前回に続いて8区の塩出翔太(3年)も区間賞で挽回するのもチームの強さ。「積極的に走りました」とミッションを完遂する。 主将の田中悠登(4年)は、「本当は10区を走りたかったのですが、調子が良すぎて『もったいない』と9区になりました」と苦笑い。それでも、その前は貧血もあり「メンバー入りが厳しい状況」だった。そこから見事に復活した。 アンカーは1年生の小河原陽琉。「昨日、走ると言われましたが、前から10区を走るつもりでいました」。最後の指を頬にあてるポーズは作戦名の『(笑顔で)会いたい』から連想して「自分で考えました」と笑う。15km以降はきつさもあったというが、「先輩方が駒大との差を広げて持ってきてくれたので安心して走ることができました」。 原監督は「田中キャプテンが同期と口論したり、下級生に厳しく接したりする時も若林寮長、主務と愛を持って運営してくました」と言い、田中の走りで「終始安定し、しっかりまとめてくれました。キャプテンらしい走り。優勝はある程度確信できました」と振り返る。 作戦大成功で「300点でしょう」と原監督。「我々には箱根駅伝必勝メソッドがある。基本的なメカニズムは一緒ですが、固定概念をくつがえして取り組んでいます」。 チームを引っ張った田中は「部員62名全員でつかみとった優勝。調子が合わずにメンバーに入れなかった選手も(練習で)勢いを与えてくれました。本当は迎えるのが怖かったですが、最高の仲間と最高の景色が見られて良かったです」と喜びを語った。 成熟した“メソッド”と自主性の中で育つ選手たちが織りなす継走は、新時代に入っても強さを増し続ける。打倒・青学大を掲げるライバル校を迎え撃つために、すぐに厳しい日々を過ごしていく。

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