HOME 高校

2024.12.23

佐久長聖 最速から最強へ 選手層の厚さ、勝負強さ見せる「連覇したい思いを強く持っていた」/全国高校駅伝・男子
佐久長聖 最速から最強へ 選手層の厚さ、勝負強さ見せる「連覇したい思いを強く持っていた」/全国高校駅伝・男子

24年全国高校駅伝の男子を制した佐久長聖

◇全国高校駅伝・男子(12月22日/京都・京都市たけびしスタジアム京都発着:7区間42.195km)

追い上げの序盤、競り合いの終盤。佐久長聖(長野)が激しく動いた戦況を乗り切り、最後に抜け出した。2時間1分33秒で4度目の優勝をつかみ、自校初となる2連覇の達成だ。

1区の濵口大和(3年)は中盤、八千代松陰(千葉)の鈴木琉胤(3年)の飛び出しに対し、自重する判断。「八千代松陰以外の大牟田や仙台育英との差も考えなくては」と、2区以降に控える仲間を信頼してタスキをつなぐ。

広告の下にコンテンツが続きます

トップと39秒差の4位で走り出した2区の松山優太(3年)は、2位に浮上し八千代松陰との差を詰めた。県大会で4区を務め、長い距離も走れるが、高見澤勝監督が「今回からケニア人留学生とぶつかる2区に松山を」と、実力者をもってきた。

前回5区の区間新をマークして優勝を決定づけた3区・佐々木哲(3年)は今回もポイントゲッターに。「自分のところで必ずトップに」と36秒先行するターゲットを追った。得意な上りの傾斜がきつくなってくると八千代松陰に急接近。残り1kmで一気に抜き去った。

4区の篠和真(3年)がやや不本意な走りとなり、大牟田と仙台育英に追い上げられ三つ巴に。5区で酒井崇史(2年)が大牟田と争いながら仙台育英を引き離し、6区の岸端悠友(3年)は激しいつばぜり合いの末、同タイム区間賞。7区の石川が大牟田を引き離し、2連覇を手繰り寄せた。

高見澤監督は「5~6区が1年前よりは少し力が落ちると見られていましたが、後半3区間はすべて設定タイムを上回りました。層の厚さ、競り合いの強さを見せられたのでは」と選手を誇る。また、目標タイムが2時間1分55秒だったとも明かし、寒さと強風の悪条件にもかかわらず上回った選手たちをたたえた。

3年生がけん引した。1年時はケガで離脱する選手が多く、コンプレックスを抱いていた学年。早くに台頭した濵口が引っ張り、1年の秋から篠と小名祐志(3年)が力をつけ、2年になると故障を克服した佐々木が台頭してきた。

前回優勝メンバーだった濵口、佐々木、篠の「3本柱」を追って、大勢が力をつけたのがこの1年だ。今大会はメンバー7人中6人が3年生。2区の松山と3区の佐々木がそれぞれ、「僕たちは1年の頃から横のつながりが強い」と口をそろえる。

ただ1人2年生の酒井は「濵口先輩は走りで引っ張ってくれ、佐々木先輩は言葉でも元気つけてくれます。頼もしい先輩たちです」と信頼を寄せた。

「特別なことをしたわけではない。使命ではなく希望、子どもたちがどうありたいか。連覇したい思いを強く持ってくれたので、それを達成できたと思います」と高見澤監督。優勝旗は佐久へ再び戻っていく。それを一番強く望んだのが佐久長聖だった。

文/奥村 崇

◇全国高校駅伝・男子(12月22日/京都・京都市たけびしスタジアム京都発着:7区間42.195km) 追い上げの序盤、競り合いの終盤。佐久長聖(長野)が激しく動いた戦況を乗り切り、最後に抜け出した。2時間1分33秒で4度目の優勝をつかみ、自校初となる2連覇の達成だ。 1区の濵口大和(3年)は中盤、八千代松陰(千葉)の鈴木琉胤(3年)の飛び出しに対し、自重する判断。「八千代松陰以外の大牟田や仙台育英との差も考えなくては」と、2区以降に控える仲間を信頼してタスキをつなぐ。 トップと39秒差の4位で走り出した2区の松山優太(3年)は、2位に浮上し八千代松陰との差を詰めた。県大会で4区を務め、長い距離も走れるが、高見澤勝監督が「今回からケニア人留学生とぶつかる2区に松山を」と、実力者をもってきた。 前回5区の区間新をマークして優勝を決定づけた3区・佐々木哲(3年)は今回もポイントゲッターに。「自分のところで必ずトップに」と36秒先行するターゲットを追った。得意な上りの傾斜がきつくなってくると八千代松陰に急接近。残り1kmで一気に抜き去った。 4区の篠和真(3年)がやや不本意な走りとなり、大牟田と仙台育英に追い上げられ三つ巴に。5区で酒井崇史(2年)が大牟田と争いながら仙台育英を引き離し、6区の岸端悠友(3年)は激しいつばぜり合いの末、同タイム区間賞。7区の石川が大牟田を引き離し、2連覇を手繰り寄せた。 高見澤監督は「5~6区が1年前よりは少し力が落ちると見られていましたが、後半3区間はすべて設定タイムを上回りました。層の厚さ、競り合いの強さを見せられたのでは」と選手を誇る。また、目標タイムが2時間1分55秒だったとも明かし、寒さと強風の悪条件にもかかわらず上回った選手たちをたたえた。 3年生がけん引した。1年時はケガで離脱する選手が多く、コンプレックスを抱いていた学年。早くに台頭した濵口が引っ張り、1年の秋から篠と小名祐志(3年)が力をつけ、2年になると故障を克服した佐々木が台頭してきた。 前回優勝メンバーだった濵口、佐々木、篠の「3本柱」を追って、大勢が力をつけたのがこの1年だ。今大会はメンバー7人中6人が3年生。2区の松山と3区の佐々木がそれぞれ、「僕たちは1年の頃から横のつながりが強い」と口をそろえる。 ただ1人2年生の酒井は「濵口先輩は走りで引っ張ってくれ、佐々木先輩は言葉でも元気つけてくれます。頼もしい先輩たちです」と信頼を寄せた。 「特別なことをしたわけではない。使命ではなく希望、子どもたちがどうありたいか。連覇したい思いを強く持ってくれたので、それを達成できたと思います」と高見澤監督。優勝旗は佐久へ再び戻っていく。それを一番強く望んだのが佐久長聖だった。 文/奥村 崇

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.27

プロ野球選手・筒香嘉智と陸上界がコラボ スポーツの垣根を超えるクリニックを12月に開催

11月27日、日本陸連は2024年度から取り組むプロジェクト「RIKUJO JAPAN」の一環として、「~スポーツの垣根を超える~ 2025 TSUTSUGO SPORTS ACADEMY FESTIVAL × RIKU […]

NEWS 古賀ジェレミー、ドルーリー、濱がダイヤモンドアスリート昇格!Nextageに高1の2人が新規認定

2025.11.27

古賀ジェレミー、ドルーリー、濱がダイヤモンドアスリート昇格!Nextageに高1の2人が新規認定

日本陸連は11月27日、「次世代において国際大会での活躍が期待できる競技者」を育成する「ダイヤモンドアスリート」の第12期認定者を発表した。 第11期でダイヤモンドアスリートNextageとして一部のプログラムに参加して […]

NEWS 岡田久美子が引退発表「誰よりも『速く、強く、美しく歩く選手』を目指して」女子競歩牽引し続けた第一人者

2025.11.27

岡田久美子が引退発表「誰よりも『速く、強く、美しく歩く選手』を目指して」女子競歩牽引し続けた第一人者

富士通は11月27日、女子競歩の岡田久美子の現役引退を発表した。かねてより「今季が本当の集大成」と話していたが、正式に発表となった。 岡田は埼玉県出身。1991年生まれの34歳で、大迫傑(リーニン)、飯塚翔太(ミズノ)、 […]

NEWS 【学生長距離Close-upインタビュー】全日本大学駅伝1区区間賞の志學館大・中村晃斗 「結果にこだわっていきたい」

2025.11.26

【学生長距離Close-upインタビュー】全日本大学駅伝1区区間賞の志學館大・中村晃斗 「結果にこだわっていきたい」

学生長距離Close-upインタビュー 中村 晃斗 Nakamura Akito 志學館大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。54回目は、志 […]

NEWS 熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

2025.11.26

熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

熊本信愛女学院高(熊本)の元陸上競技部監督で、長年多くのランナーを育てた山口和也さんが11月23日、病気のため亡くなった。71歳。 1980年に同校に赴任した山口さん。当時の日本女子長距離は黎明期であったが、山口さんは高 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top