HOME 高校

2024.12.23

長野東 “全員駅伝”で2度目の日本一「自信を持ったオーダー」でトップを快走/全国高校駅伝・女子
長野東 “全員駅伝”で2度目の日本一「自信を持ったオーダー」でトップを快走/全国高校駅伝・女子

2年ぶり2度目の優勝を遂げた長野東

◇全国高校駅伝・女子(12月22日/京都・京都市たけびしスタジアム京都発着:5区間21.0975km)

長野東(長野)が1時間7分27秒で2年ぶり2度目の頂点に立った。2年前の初優勝時にマークした県最高記録を10秒更新した。

1区・真柴愛里(2年)が区間賞の快走で、チームを勢いづけた。連覇に挑みながら5位に終わった前回は大会直前に腰を痛め、3区の付き添いに回った。今回は「選手として走れること、走りでチームに貢献できることがうれしかったです」と、前向きな気持ちでスタートラインに立っていた。

広告の下にコンテンツが続きます

横打史雄監督からは「先頭集団のペースに対応することと、後半にどれだけ粘れるか、がんばり切れるかが大切」というアドバイスを受けていたが、真柴は「最初は後ろのほうからスタートしてしまいました」と話す。それでも「焦らずに淡々と自分のリズムで走ろう」と位置取りを冷静に修正しながらレースを進め、残り300mからのスパートで他校のライバルたちを振り切った。

「(1位でたすきを受けて)緊張したけれど、うれしい気持ちのほうが大きかったです」と、川上南海(1年)は2区で区間2位という堂々の都大路デビュー。後続をさらに引き離す。

今大会から留学生の起用が3km区間に限定され、出場する留学生8人全員が集まった3区は、主将の窪田舞(3年)が担当。そこには「他校は3区に留学生が来ると想定していました。1年生を使うとプレッシャーがあると思うので、短い区間ですが、プレッシャーに強い窪田を配置しました」という横打監督の狙いがあった。

窪田が考えていたのは、「留学生から逃げることと、1番でタスキをもらったからには、絶対に1番でタスキを4区に渡すこと」。区間11位で後方から差を詰められることになったが、首位をしっかりとキープした。

4区の今井玲那(1年)も、「最初の上りから勢いをつけて上り、ラストも下りを利用してキレのある走りを意識しました」と守りに入ることなく、積極的な姿勢を崩さない。

アンカーの田畑陽菜(2年)は「他校に追い上げられるかもしれないという不安がありました」と言いながら、「1区から4区の仲間が良いかたちで持ってきてくれたので、これを絶対にゴールに運ぶ」と強い気持ちを胸に区間4位の力走。両手を左右いっぱいに広げ、歓喜のフィニッシュを決めた。

横打監督は、真柴の区間賞獲得には「非常に驚きました」と笑顔を見せつつも、「全員がそれぞれの仕事を全うしてくれました」と全員の頑張りを高く評価する。

「1区、2区、3区が想定以上の走りで来てくれました。4区、5区は単独走ができる2人を置き、自信を持ってオーダーを組みました。生徒たちがそういった展開に持ち込み、想定通りの走りをしてくれたと思います」

大舞台で持てる力を出し切ることは簡単ではない。しかし、今大会の長野東は部員11人全員が各自の役割をきっちりと果たし、まさに“全員駅伝”で2度目の日本一をつかみ取った。

文/小野哲史

◇全国高校駅伝・女子(12月22日/京都・京都市たけびしスタジアム京都発着:5区間21.0975km) 長野東(長野)が1時間7分27秒で2年ぶり2度目の頂点に立った。2年前の初優勝時にマークした県最高記録を10秒更新した。 1区・真柴愛里(2年)が区間賞の快走で、チームを勢いづけた。連覇に挑みながら5位に終わった前回は大会直前に腰を痛め、3区の付き添いに回った。今回は「選手として走れること、走りでチームに貢献できることがうれしかったです」と、前向きな気持ちでスタートラインに立っていた。 横打史雄監督からは「先頭集団のペースに対応することと、後半にどれだけ粘れるか、がんばり切れるかが大切」というアドバイスを受けていたが、真柴は「最初は後ろのほうからスタートしてしまいました」と話す。それでも「焦らずに淡々と自分のリズムで走ろう」と位置取りを冷静に修正しながらレースを進め、残り300mからのスパートで他校のライバルたちを振り切った。 「(1位でたすきを受けて)緊張したけれど、うれしい気持ちのほうが大きかったです」と、川上南海(1年)は2区で区間2位という堂々の都大路デビュー。後続をさらに引き離す。 今大会から留学生の起用が3km区間に限定され、出場する留学生8人全員が集まった3区は、主将の窪田舞(3年)が担当。そこには「他校は3区に留学生が来ると想定していました。1年生を使うとプレッシャーがあると思うので、短い区間ですが、プレッシャーに強い窪田を配置しました」という横打監督の狙いがあった。 窪田が考えていたのは、「留学生から逃げることと、1番でタスキをもらったからには、絶対に1番でタスキを4区に渡すこと」。区間11位で後方から差を詰められることになったが、首位をしっかりとキープした。 4区の今井玲那(1年)も、「最初の上りから勢いをつけて上り、ラストも下りを利用してキレのある走りを意識しました」と守りに入ることなく、積極的な姿勢を崩さない。 アンカーの田畑陽菜(2年)は「他校に追い上げられるかもしれないという不安がありました」と言いながら、「1区から4区の仲間が良いかたちで持ってきてくれたので、これを絶対にゴールに運ぶ」と強い気持ちを胸に区間4位の力走。両手を左右いっぱいに広げ、歓喜のフィニッシュを決めた。 横打監督は、真柴の区間賞獲得には「非常に驚きました」と笑顔を見せつつも、「全員がそれぞれの仕事を全うしてくれました」と全員の頑張りを高く評価する。 「1区、2区、3区が想定以上の走りで来てくれました。4区、5区は単独走ができる2人を置き、自信を持ってオーダーを組みました。生徒たちがそういった展開に持ち込み、想定通りの走りをしてくれたと思います」 大舞台で持てる力を出し切ることは簡単ではない。しかし、今大会の長野東は部員11人全員が各自の役割をきっちりと果たし、まさに“全員駅伝”で2度目の日本一をつかみ取った。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.18

駒大4年生4本柱は主要区間を熱望! 主将・山川拓馬「エース区間に挑みたい」 佐藤圭汰「しっかり走って恩返しを」

第102回箱根駅伝で3年ぶりの総合優勝を狙う駒大が12月18日、オンラインで合同会見を行い、エントリー選手が出席した。 今季の駒大は4年生の4人が強力。それぞれ希望区間を問われると、主将の山川拓馬は2区と5区、伊藤蒼唯は […]

NEWS 箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

2025.12.18

箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

前回優勝メンバーから6人が卒業 前回、10時間41分19秒の大会新記録で連覇を飾ったメンバーから6人が卒業。それも4区で歴代2位の好タイムをマークした太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)に5、6区連続区間新で、「 […]

NEWS 横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

2025.12.18

横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

鳥取・由良育英高(現・鳥取中央育英高)の陸上部顧問として、インターハイで2度の総合優勝に導き、高校駅伝でも全国大会で2度の準優勝を果たした横山隆義氏が、12月15日、肺炎のため亡くなった。81歳だった。 横山氏は1944 […]

NEWS 26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

2025.12.18

26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

アジア陸連は11月に理事会を開催し、2026年7月9日から12日の日程で、第1回U23アジア選手権を中国・オルドスで開催することを発表した。 陸上競技では、U18やU20など年齢別の競技会が実施されており、U20カテゴリ […]

NEWS 中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

2025.12.18

中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

第102回箱根駅伝で30年ぶりとなる総合優勝を狙う中大が12月18日、東京・八王子市の多摩キャンパスで合同取材を開いた。 主将の吉居駿恭(4年)は「昨年の11月中旬くらいに(総合優勝の)目標を立てました。昨年の全日本の結 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top