2024.11.07
男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が11月7日、東京都渋谷区の中学校の陸上競技部をサプライズ訪問した。
突然の世界的スプリンターの来訪に陸上部員は「え? え? なんで!?」と驚き、目を輝かせる。男子100mで世界選手権2大会連続ファイナリストでパリ五輪代表のサニブラウン。普段は米国を拠点としているが、オフの日本滞在を利用し、サニブラウンの希望で日本陸連に協力を依頼して紹介されたのがこの中学校だったという。
同校は男子4×100mリレーは100m10秒65を出している村上永遠(3年)を擁し、今年の全中にも出場している。母校ではないが、「近くの保育園に通っていて近くの保育園や小学校にサッカーで来たことがあるんです。友達も近所に住んでいた」とたまたま縁がある場所だった。
練習を見つめながら「寒いのに半袖半ズボンで元気だなぁ」「こういう技術的な練習も必要ですね」「都会の真ん中にこんなグラウンドがあるのはすごい」など言い、自身の中学校時代を思い出して「厳しい練習でした」と笑う。
練習後には中学生の質問コーナーも設けたサニブラウン。「身体が大きいですが食生活や睡眠で気をつけていることは」という問いに「食生活は栄養士をつけていて、睡眠は8時間くらい寝たほうがいい。午後10時には寝ましょう」と答えた。
「速くなるトレーニングはありますか?」という質問には「全員違った走り方があって、みんなにどの練習が合うかわからないので、ハマる練習を自分で見つけていってほしい」とエールを送る。試合で「自己ベストと相手に勝つのとどっちがうれしい?」と聞かれ「良い質問」と笑顔。「あまり記録を考えていなくて意識すると記録は出ない。どれだけ自分の走りができるかが大事で、記録は勝手に出ると思います」と伝えた。
貴重な機会に中3の東京都中学記録を持つ村上は「テレビで見ている人。並んでみるとめっちゃでかかった」と目をまん丸にし、「自分も将来は9秒台を出して世界選手権やオリンピックに出たいです」と先輩の背中を追いかける構えだ。
サニブラウンは「『部活』という感じがして懐かしい気持ちになりました」と話し、「陸上をやってくれているのを見られたのがうれしかった」と笑みを浮かべる。このオフは自身の主催大会でもある『DAWN GAMES』を含め、こうした活動を数多くこなしているが「東京世界選手権もありますし、競技面以外で地域、社会にどれだけお返しできるかを考えた時に、小さなことからやっていくのが大切だと思っています」と言う。
改めて「現役で最前線で戦っているからこそ意味があるのかな」と、第一線で戦っている今、伝えたい思いがあると強調し、「自分の経験を伝えて、それが今後の競技に生きてくれればうれしいです」と話す。
このあと渡米してからはなかなかこうした活動は難しくなるが、「SNSなどを使っていきたいですし、シーズンが始まったら競技面で期待を高められるようにしていきたい」サニブラウン。世界選手権に向け「こうやって交流したつながりもあるので、陸上を好きになってもらえたらうれしいですし、国立競技に足を運んでもらえるよう、自分はパフォーマンスで魅せていきたい。今まで以上の結果を出すために、これから1日、1日を大切にしてトレーニングしていきます」と語った。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.30
2025.12.30
城西大が2冠達成!2区・本間香が区間新、順位下げるも7区で再逆転/富士山女子駅伝
-
2025.12.30
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.31
逆境はねのけ初優勝の城西大「選手たちの思いが強かった」 ルーキー3人が区間賞/富士山女子駅伝
◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km) 学生女子駅伝2大タイトルの一つ、富士山女子駅伝が行われ、城西大が2時間22分36秒で初 […]
2025.12.31
箱根駅伝 ご当地選手をチェック! 福岡市出身6人が登録 川崎市、新潟市、姫路市、北九州市からも多数エントリー 徳島県から4年ぶり箱根路なるか
2026年1月2、3日に開催される第102回箱根駅伝のスタートまであと2日。12月29日には各チームの区間エントリーも発表された。 今回も登録された21チーム336人全員にアンケートを実施。その回答を元に出身地を都道府県 […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
