HOME 駅伝、箱根駅伝

2024.10.20

「スピード」から「スタミナ」へチームカラー一新 最高成績で通過の立教大/箱根駅伝予選会
「スピード」から「スタミナ」へチームカラー一新 最高成績で通過の立教大/箱根駅伝予選会

第101回箱根駅伝予選会でトップ通過した立教大の選手たち

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

第101回箱根駅伝予選会が行われ、立教大が10時間52分36秒でトップ通過を果たした。

広告の下にコンテンツが続きます

立教大が総合トップで3大会連続の本戦出場を決めた。2年前に6位で「55年ぶり」の本戦出場を決め、前回は前監督の急な退任があった直後に総合6位。4月に髙林祐介新監督を迎え再出発した今回、最高成績で予選会をクリアした。

日中の気温が30度を超え、大会史上もっとも酷な条件。ライバル校に脱水症状などのアクシデントが相次ぐなか、立教大の選手たちの足取りは最後まで確かだった。スピードで勝負してきたチームカラーが一新。汗にまみれながら泥臭く走り切った結果のトップ通過だ。

目標は3位以内に設定。関東インカレ2部ハーフマラソン5位の稲塚大祐(4年)が当日に外れ、同12位の中西洸貴(4年)はエントリーの段階で外れていた。ロードに強いタイプの2人を欠いたのだが、主力の林虎大朗(4年)は「自信はありました。20人、誰が走っても大丈夫な状態でしたから」と動揺はいっさいなかったと言う。

日本選手の有力どころが形成した大集団に、馬場賢人(3年)、林、國安広人(同)、安藤圭佑(4年)らが展開。紫のユニフォームがある程度固まって進んでいたから、傍からは集団走を実行して成功させていたように見えた。

広告の下にコンテンツが続きます

ところがそれは違った。髙林監督が基軸になるペースの設定だけ伝え、各々の判断でペースを守っていたのだ。「こちらとしては集団走を行う方が楽なのですが、選手に尋ねると、『僕たち、そういうのはちょっと苦手で……』と言うんです。なのでこういう形になりました」と指揮官が明かす。

酷暑のなか、全体が徐々にペースダウンしていく。予定のペース通りにいかない中でも、立教大は自律的に走れる選手が多かった。

馬場が1時間3分56秒で日本人3位に食い込むと、林、國安が1時間4分台。8人が100位以内で、10人目のゴールももっとも早かった。個々の力も、総合力も、どちらも秀でていた。

安藤主将は髙林監督就任前、学生が自主運営した時期を支えた。自分の練習を終えた後も、グラウンドに残って仲間を見守ってきた。疲れから選手としては不調に陥っていた。

就任早々の髙林監督が「これからは自分のことに集中しよう」と言ってくれ、その後は「背中で引っ張る」主将になろうと努めた。今回の総合43位(日本人30位)、チーム内4位の個人成績は、選手・安藤としても大きなステップになった。

「シード権獲得で止まるのでなく、その先は上位を争い、強豪校へなっていくべきチームだと思う。そこへつなぐ役目を果たしていきたい」と使命に燃える主将だ。

次は初出場の全日本大学駅伝に挑戦し、正月の本戦へ。髙林監督が当初は「どうかな」と遠く感じていたシード権も、現実味を帯びてきた。古豪にして新境地を切り開く立教大が、次の段階へ進む。

文/奥村 崇

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 第101回箱根駅伝予選会が行われ、立教大が10時間52分36秒でトップ通過を果たした。 立教大が総合トップで3大会連続の本戦出場を決めた。2年前に6位で「55年ぶり」の本戦出場を決め、前回は前監督の急な退任があった直後に総合6位。4月に髙林祐介新監督を迎え再出発した今回、最高成績で予選会をクリアした。 日中の気温が30度を超え、大会史上もっとも酷な条件。ライバル校に脱水症状などのアクシデントが相次ぐなか、立教大の選手たちの足取りは最後まで確かだった。スピードで勝負してきたチームカラーが一新。汗にまみれながら泥臭く走り切った結果のトップ通過だ。 目標は3位以内に設定。関東インカレ2部ハーフマラソン5位の稲塚大祐(4年)が当日に外れ、同12位の中西洸貴(4年)はエントリーの段階で外れていた。ロードに強いタイプの2人を欠いたのだが、主力の林虎大朗(4年)は「自信はありました。20人、誰が走っても大丈夫な状態でしたから」と動揺はいっさいなかったと言う。 日本選手の有力どころが形成した大集団に、馬場賢人(3年)、林、國安広人(同)、安藤圭佑(4年)らが展開。紫のユニフォームがある程度固まって進んでいたから、傍からは集団走を実行して成功させていたように見えた。 ところがそれは違った。髙林監督が基軸になるペースの設定だけ伝え、各々の判断でペースを守っていたのだ。「こちらとしては集団走を行う方が楽なのですが、選手に尋ねると、『僕たち、そういうのはちょっと苦手で……』と言うんです。なのでこういう形になりました」と指揮官が明かす。 酷暑のなか、全体が徐々にペースダウンしていく。予定のペース通りにいかない中でも、立教大は自律的に走れる選手が多かった。 馬場が1時間3分56秒で日本人3位に食い込むと、林、國安が1時間4分台。8人が100位以内で、10人目のゴールももっとも早かった。個々の力も、総合力も、どちらも秀でていた。 安藤主将は髙林監督就任前、学生が自主運営した時期を支えた。自分の練習を終えた後も、グラウンドに残って仲間を見守ってきた。疲れから選手としては不調に陥っていた。 就任早々の髙林監督が「これからは自分のことに集中しよう」と言ってくれ、その後は「背中で引っ張る」主将になろうと努めた。今回の総合43位(日本人30位)、チーム内4位の個人成績は、選手・安藤としても大きなステップになった。 「シード権獲得で止まるのでなく、その先は上位を争い、強豪校へなっていくべきチームだと思う。そこへつなぐ役目を果たしていきたい」と使命に燃える主将だ。 次は初出場の全日本大学駅伝に挑戦し、正月の本戦へ。髙林監督が当初は「どうかな」と遠く感じていたシード権も、現実味を帯びてきた。古豪にして新境地を切り開く立教大が、次の段階へ進む。 文/奥村 崇

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.07.03

男子円盤投世界記録保持者・アレクナ 来季からオレゴン大に編入

7月2日、米国のオレゴン大は男子円盤投の世界記録保持者であるマイコラス・アレクナ(リトアニア)が、来季からチームに加入することを発表した。 アレクナは2002年生まれの22歳。シドニー、アテネ五輪で2度金メダルを獲得して […]

NEWS 青学大・小河原陽琉が5000m13分56秒66で全体トップ 3000mは鳥井健太が8分12秒74/絆記録会

2025.07.02

青学大・小河原陽琉が5000m13分56秒66で全体トップ 3000mは鳥井健太が8分12秒74/絆記録会

第15回絆記録挑戦会が7月2日、東京・町田GIONスタジアムで行われ、青学大勢が多数出場した。 男子5000mは1月の箱根駅伝10区区間賞で、5月の関東インカレ(2部)1500mで2位に入っていた小河原陽琉(2年)が13 […]

NEWS 日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選でサニブラウンと桐生祥秀が同組

2025.07.02

日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選でサニブラウンと桐生祥秀が同組

東京世界選手権の代表選考会を兼ねた第109回日本選手権の1日目のスタートリストが発表された。 男子100m予選は全7組。9秒96で東京世界選手権の参加標準記録(10秒00)をただ1人突破しているサニブラウン・アブデル・ハ […]

NEWS 駒大・佐藤圭汰が日本選手権5000mスタートリストから外れる 東京世界陸上出場厳しく

2025.07.02

駒大・佐藤圭汰が日本選手権5000mスタートリストから外れる 東京世界陸上出場厳しく

日本陸連は7月2日、今年9月の東京世界選手権代表選考を兼ねた日本選手権(東京・国立競技場)第1日(7月4日)のスタートリストを発表し、男子5000mにエントリーしていた佐藤圭汰(駒大)が外れた。佐藤は出場資格獲得条件の一 […]

NEWS 「TOKYO ナイトリレーフェス in 国立競技場」が10月17日開催!東京レガシーハーフマラソンの前々日イベント 7 月2日から参加者募集

2025.07.02

「TOKYO ナイトリレーフェス in 国立競技場」が10月17日開催!東京レガシーハーフマラソンの前々日イベント 7 月2日から参加者募集

一般財団法人東京マラソン財団は7月2日、東京レガシーハーフマラソン2025(10月19日)の前々日イベントとして、10月17日に「TOKYO ナイトリレーフェス in 国立競技場」を開催することを発表した。 国立競技場内 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top