HOME 駅伝、箱根駅伝

2024.10.20

98回目の箱根路へ!中大が6位、主力欠いても総合力発揮「厳しい条件の中で走り抜いただけで十分」/箱根駅伝予選会
98回目の箱根路へ!中大が6位、主力欠いても総合力発揮「厳しい条件の中で走り抜いただけで十分」/箱根駅伝予選会

中大の白川陽大

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

第101回箱根駅伝予選会が行われ、中大が10時間56分03秒の6位で8年連続98回目の本戦出場を決めた。

3年ぶりの予選会に挑んだ藤原正和監督は「『10位までに入れば全然OK』と話していたので、本当に安堵しています。選手は満足していないと思いますが、厳しい条件の中で走り抜いてくれただけで十分です」と、胸をなでおろした。

チーム上位10人の平均タイムでは、5000mと10000mが全出場校の中でトップ。ハーフマラソンでも2位につける中大は、予選会トップ通過の最有力候補に挙げられていた。しかし、エース格の吉居駿恭(3年)は2週間後の全日本大学駅伝に備え、10000mで27分52秒38を持つ溜池一太(3年)は9月に仙骨を疲労骨折。同じく28分台の柴田大地(2年)とともに登録メンバーから外れ、28分33秒76の本間颯(2年)も当日欠場となった。

ただ、主力数名を欠いた状況でありながら、3月の日本学生ハーフ4位の実績がある白川陽大(3年)は、「自分たちに不安はなかった」と明かす。

「今のベストメンバーというか、主力に負けない力がある12人だったので、全員が自信を持ってスタートラインに立てました」

広告の下にコンテンツが続きます

この日のプランは、白川とルーキーの岡田開成がフリーでできるだけタイムを稼ぎ、残りの10人は2グループに分かれてレースを進める、というもの。岡田は「設定タイムは特にありませんでしたが、去年は東農大の前田和摩さん(2年)、以前は三浦龍司さん(SUBARU)が順大時代に1年生で日本人トップを取っているので、僕もそこを目指していました」と気合十分だった。

とはいえ、10km通過が3位だった中大は、15kmで4位、17.4kmで5位と、徐々に順位を下げていく。藤原監督が「やはり暑さもあって、『こういう条件だと絶対に集団が崩壊するから1人1人の粘りが大事だよ』と言っていて、そのとおりになりました」と振り返ったように、終盤に近づくにつれ、我慢の展開を強いられた。

そうしたなか、白川が1時間3分58秒のチームトップ(全体17位)でフィニッシュ。30秒遅れで岡田が24位を占め、1時間4分58秒の36位で阿部陽樹(4年)が続いた。5人が出走し、4人がチーム7番手までに入ったルーキーの奮闘が大きかった。3年前の予選会を経験している阿部は、「総合6位という結果はチームとして課題が残りました」と反省した一方、こうした舞台で走る充実感も感じていた。

「4年生としてチームを支えていかなければいけないですし、しっかり集団を引っ張っていく役目もありましたが、スタッフの方からも『一選手として、まずは楽しんでほしい』と言われていたので、楽しんで走ることを意識しました」

決して大満足の結果ではなかったが、予選会という独特の緊張感がある第一関門を突破した中大。ここから吉居や溜池といった主力たちが戻ってくれば、チーム力は格段に上がる。

全日本大学駅伝、そして、箱根駅伝総合3位以上に向けて、前途は洋々としてきた。

文/小野哲史

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 第101回箱根駅伝予選会が行われ、中大が10時間56分03秒の6位で8年連続98回目の本戦出場を決めた。 3年ぶりの予選会に挑んだ藤原正和監督は「『10位までに入れば全然OK』と話していたので、本当に安堵しています。選手は満足していないと思いますが、厳しい条件の中で走り抜いてくれただけで十分です」と、胸をなでおろした。 チーム上位10人の平均タイムでは、5000mと10000mが全出場校の中でトップ。ハーフマラソンでも2位につける中大は、予選会トップ通過の最有力候補に挙げられていた。しかし、エース格の吉居駿恭(3年)は2週間後の全日本大学駅伝に備え、10000mで27分52秒38を持つ溜池一太(3年)は9月に仙骨を疲労骨折。同じく28分台の柴田大地(2年)とともに登録メンバーから外れ、28分33秒76の本間颯(2年)も当日欠場となった。 ただ、主力数名を欠いた状況でありながら、3月の日本学生ハーフ4位の実績がある白川陽大(3年)は、「自分たちに不安はなかった」と明かす。 「今のベストメンバーというか、主力に負けない力がある12人だったので、全員が自信を持ってスタートラインに立てました」 この日のプランは、白川とルーキーの岡田開成がフリーでできるだけタイムを稼ぎ、残りの10人は2グループに分かれてレースを進める、というもの。岡田は「設定タイムは特にありませんでしたが、去年は東農大の前田和摩さん(2年)、以前は三浦龍司さん(SUBARU)が順大時代に1年生で日本人トップを取っているので、僕もそこを目指していました」と気合十分だった。 とはいえ、10km通過が3位だった中大は、15kmで4位、17.4kmで5位と、徐々に順位を下げていく。藤原監督が「やはり暑さもあって、『こういう条件だと絶対に集団が崩壊するから1人1人の粘りが大事だよ』と言っていて、そのとおりになりました」と振り返ったように、終盤に近づくにつれ、我慢の展開を強いられた。 そうしたなか、白川が1時間3分58秒のチームトップ(全体17位)でフィニッシュ。30秒遅れで岡田が24位を占め、1時間4分58秒の36位で阿部陽樹(4年)が続いた。5人が出走し、4人がチーム7番手までに入ったルーキーの奮闘が大きかった。3年前の予選会を経験している阿部は、「総合6位という結果はチームとして課題が残りました」と反省した一方、こうした舞台で走る充実感も感じていた。 「4年生としてチームを支えていかなければいけないですし、しっかり集団を引っ張っていく役目もありましたが、スタッフの方からも『一選手として、まずは楽しんでほしい』と言われていたので、楽しんで走ることを意識しました」 決して大満足の結果ではなかったが、予選会という独特の緊張感がある第一関門を突破した中大。ここから吉居や溜池といった主力たちが戻ってくれば、チーム力は格段に上がる。 全日本大学駅伝、そして、箱根駅伝総合3位以上に向けて、前途は洋々としてきた。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top