ホクレン・ディスタンスチャレンジ2024(以下、ホクレンDC)の第5戦(最終戦)千歳大会が7月20日、千歳市青葉陸上競技場で開催された。
最終種目となった男子5000mには、パリ五輪3000m障害日本代表の青木涼真(Honda)や東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)、相澤晃(旭化成)、この種目で2度世界選手権に出場している遠藤日向(住友電工)といったトップランナーが集結した(青木は当初の予定通り3000mで棄権)。彼ら猛者たちを相手に、冷静なレース運びで日本人トップでフィニッシュしたのは、大学生の篠原倖太朗(駒大)だった。
スタート直後に勢いよくペースメーカーのすぐ後ろについた溜池一太(中大)とは対照的に、篠原は真ん中よりも後方でレースを進めた。
3000mは先頭から約5秒遅れの8分06秒で通過。しかし、ここからの篠原が強かった。ジワジワとポジションを上げていき、残り400mで溜池をかわすと、ラスト1周(400m)を58秒でカバー。フィニッシュ直前には西川雄一朗(住友電工)を抜き、日本人トップの4位で走り切った。
最後は、13分30秒に設定された白色のペーシングライトよりも前でフィニッシュ。これまでの自己記録を6秒も更新する13分27秒04をマークした。
「今までのタイムはなかったことにしたいぐらい。ずっと(13分30秒台の)安定期に入っていて、いつかは爆発するだろうと思っていたんですけど……。“爆発”というにはちょっと足りない。もうちょっとですね。(13分30秒を切る自己記録は)通過点にしないといけないと思っているので、ここからしっかりと上げていけるように頑張ります」。レース運び同様に、篠原は自己ベスト更新をも冷静に受け止めていた。
今季は、5月上旬の日本選手権10000mで6位に入ったあと、5000mを走ってきた。
6月上旬のNITTAIDAI Challenge Gamesでは、13分33秒13の自己新をマークしたが、序盤がスローの展開になったことが災いし、日本選手権の出場権を逃した。
7月10日のホクレンDC網走大会では積極的にレースを進め、日本人トップの6位に入ったが、記録は13分35秒33とまたも13分30秒切りを果たせなかった。
「体調によっても違いますし、やってきた練習によっても違うのに、自分がちゃんと押し切れるペースというのをわかっていなかったです」と反省点を上げる。
だが、今回はきちっと修正してみせた。「その日その日の体調に合わせてしっかり上げていくことが、ちょっとずつですけどできるようなったかなと思います」と、わずかの期間での自身の成長を感じ取っていた。
今季の前半戦、チームは苦戦する場面が目立った。だからこそ、これからは主将として務めなければいけない役目がある。
「夏合宿は、自分のことだけではなくてチームのことをやらないといけない。足りない部分は自分一人でやればいいので、チームを第一に考えて、チームを引っ張っていきたい。個人的にもしっかり結果を出していかないと、チームも付いてこないと思うので、両方をおろそかにしないようにやっていけたらと思います」
大八木弘明総監督が指導するGgoatに参加する選択肢もあったが、篠原は駒大のチームメイトとともにこの夏を過ごすことを決断。秋以降の巻き返しを誓う。
文・撮影/和田悟志
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.07
編集部コラム「追いかけっこ」
2025.11.07
メモリードが実業団陸上部の活動終了を発表 今後は個人アスリート支援へ
-
2025.11.07
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.11.02
-
2025.11.02
-
2025.11.03
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.08
関西実業団対抗駅伝の区間エントリー発表! SGHの5区は近藤幸太郎 全日本復帰目指すNTT西日本は4区服部弾馬、5区一色恭志
11月9日の第68回関西実業団対抗駅伝を前日に控え、区間エントリーが発表された。 前回、1区から首位を譲らず3年ぶり9回目の優勝を飾ったSGホールディングスは、最長16kmの5区に近藤幸太郎が入った。2区(7.68km) […]
2025.11.07
編集部コラム「追いかけっこ」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.11.07
メモリードが実業団陸上部の活動終了を発表 今後は個人アスリート支援へ
11月7日、実業団のメモリードは、27年3月をもって実業団陸上部としての活動を終了すると発表した。今後は「チーム単位での支援」から「個人アスリート支援」へと方針を転換し、陸上競技に限らず幅広いスポーツ分野の選手を対象に支 […]
2025.11.07
日本陸連・有森裕子会長に岡山市市民栄誉賞「本市の名を高めることに特に顕著な功績」五輪2大会メダル
岡山市は11月7日、女子マラソンで五輪2大会連続メダリストの日本陸連・有森裕子会長に、岡山市市民栄誉賞を授与し同日授与式が執り行われた。 有森会長は岡山県岡山市出身の58歳。女子マラソンにおいて、1992年バルセロナ五輪 […]
Latest Issue
最新号
2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望