HOME 学生長距離

2024.01.31

最後の箱根路/主将として牽引した駿河台大・新山舜心「来年はシード権を取ってほしい」
最後の箱根路/主将として牽引した駿河台大・新山舜心「来年はシード権を取ってほしい」

2024年箱根駅伝にて2区を走った駿河台大の新山舜心

2024年、最後の箱根駅伝を終えた大学4年生ランナーたち。納得のいく走りができた選手や悔いを残した選手、なかにはアクシデントでスタートラインにすら立てなかったエース級もいる。お届けするのは、そんな最上級生たちの物語――。

最後の箱根路は苦しい走りに

2年ぶり2回目の出場を果たした駿河台大において、4年生でただ1人出走したのが主将の新山舜心だった。

12月2日の日体大長距離競技会10000mでは28分14秒30と自己記録を更新。満を持しての花の2区だ。

広告の下にコンテンツが続きます

目標タイムは1時間8分。1区のスティーブン・レマイヤン(1年)から6位でタスキを受け取ると、前後に選手がいる状態でスタートした。

青学大の黒田朝日(2年)や東農大の並木寧音(4年)らと集団を形成。新山にとっては絶好の展開かと思われたが、「だんだん力負けをしたというのが顕著に出たレースだったのかなと思います」。横浜駅前(8.3km)の手前で集団から脱落し、その後も順位を落とす苦しい走りとなった。

結果は区間21位(1時間10分13秒)。総合順位も19位まで落とし、「レベルの高さを痛感しました」と肩を落とした。

それでも後輩たちは諦めずに前を追い、5区の倉島啓人(2年)は区間5位と好走。往路を10位と34秒差の14位で終えた。

復路は苦戦して鶴見中継所で繰り上げスタートとなったが、2年前の順位を1つ上回る総合18位でレースを終えた。

「とても良いチームで箱根に出られたのは自分だけじゃなくて、周りのみんなのお陰だと思っているので、とても感謝しています」と仲間への思いを口にした。

2024年、最後の箱根駅伝を終えた大学4年生ランナーたち。納得のいく走りができた選手や悔いを残した選手、なかにはアクシデントでスタートラインにすら立てなかったエース級もいる。お届けするのは、そんな最上級生たちの物語――。

最後の箱根路は苦しい走りに

2年ぶり2回目の出場を果たした駿河台大において、4年生でただ1人出走したのが主将の新山舜心だった。 12月2日の日体大長距離競技会10000mでは28分14秒30と自己記録を更新。満を持しての花の2区だ。 目標タイムは1時間8分。1区のスティーブン・レマイヤン(1年)から6位でタスキを受け取ると、前後に選手がいる状態でスタートした。 青学大の黒田朝日(2年)や東農大の並木寧音(4年)らと集団を形成。新山にとっては絶好の展開かと思われたが、「だんだん力負けをしたというのが顕著に出たレースだったのかなと思います」。横浜駅前(8.3km)の手前で集団から脱落し、その後も順位を落とす苦しい走りとなった。 結果は区間21位(1時間10分13秒)。総合順位も19位まで落とし、「レベルの高さを痛感しました」と肩を落とした。 それでも後輩たちは諦めずに前を追い、5区の倉島啓人(2年)は区間5位と好走。往路を10位と34秒差の14位で終えた。 復路は苦戦して鶴見中継所で繰り上げスタートとなったが、2年前の順位を1つ上回る総合18位でレースを終えた。 「とても良いチームで箱根に出られたのは自分だけじゃなくて、周りのみんなのお陰だと思っているので、とても感謝しています」と仲間への思いを口にした。

主将として改革を断行

2年生で出場した前々回は7区15位。上級生になってからは主力として活躍が期待されていたが、3年時の予選会(ハーフマラソン)は1時間6分31秒の234位と大苦戦。チームも19位に終わり、本戦出場を逃してしまった。 その後、苦しい状況の中で主将に就任。再建に向けて着手したのが私生活の改善だった。選手に厳しい規律を課した結果、同級生の半数は部を去ってしまう。それでも、「誰よりも効率の良いトレーニングを毎日続けること、誰よりも真剣に練習し続けることが大事」。そう信じて妥協することなくチームを引っ張った。 すると、予選会を前に下級生が成長。希望の光が見えてきた。予選会では新山がチーム2位の1時間2分35秒の29位と好走。後輩たちも粘りの走りを見せて、12位で本戦の出場権を獲得した。 チーム改革を断行して掴んだ最後の箱根路。今回走った10人のうち、新山以外は1、2年生。「気持ち的にも戦力的にも戦えると思うので、この経験を踏まえて、来年に生かしてシード権を取ってほしい」と後輩に期待を寄せた。 この1年間、主将として引っ張ってきた背中は後輩たちも見ているはず。その想いをしっかりと受け継げば、さらにチームは強くなるだろう。 そんな新山に対して、徳本一善監督から出た言葉は意外なものだった。 「最後はビシっとキャプテンらしく締めてほしくて、68分は普通にクリアできるだろうと思っていたところで70分もかかりました。箱根の前にいきなり『教習所に行きます』と言ったのが悪かったんでしょうね」 どうやら自動車教習所に通い始めたとのこと。徳本監督らしくユーモアのあるコメントだったが、これもチームや新山にとっては良い教訓となるかもしれない。 [caption id="attachment_127294" align="alignnone" width="800"] 2024年箱根駅伝にて2区を走った駿河台大の新山舜心[/caption] 新山舜心(にいやま・としむね:駿河台大)/2001年10月6日生まれ。鹿児島県鹿児島市出身。鹿児島高卒。自己ベストは5000m13分59秒21、10000m28分14秒30、ハーフ1時間2分35秒。 文/馬場 遼

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.19

トップアスリートとの交流会 中島佑気ジョセフ、小池祐貴、栁田大輝、廣中璃梨佳、山本有真も参加/RIKUJOフェスティバル

日本陸連は11月19日、RIKUJOフェスティバル(11月29日/東京・国立競技場)で実施するトップアスリートとのゲスト交流会に新たに参加する選手を発表した。 すでに、13人のアスリートが参加することが発表されているが、 […]

NEWS 全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

2025.11.19

全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 女子は前回の全国大会で2連覇を飾った […]

NEWS 全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

2025.11.19

全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 男子は2年前に全国制覇を達成している […]

NEWS マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

2025.11.19

マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

神奈川大は11月19日、男子マラソン日本記録保持者でOBの鈴木健吾が陸上部のアンバサダーに就任したと発表した。 鈴木は箱根駅伝では3年連続で2区を担い、3年時に区間賞を獲得。4年時には東京マラソンで2時間10分21秒で走 […]

NEWS 岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

2025.11.19

岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場を懸けた県大会が、11月14日から16日にかけて、全国10県で行われた。 14日の岡山県大会では、2年前に全国男女優勝、女子は昨年も連覇を飾った京山が圧倒的な継走を披露。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top