2024.01.30
2024年、最後の箱根駅伝を終えた大学4年生ランナーたち。納得のいく走りができた選手や悔いを残した選手、なかにはアクシデントでスタートラインにすら立てなかったエース級もいる。お届けするのは、そんな最上級生たちの物語――。
ケガに苦しむも、信じてトレーニングを継続
城西大史上最高の総合3位への快進撃は、主将の快走から始まった。
2年連続1区の野村颯斗(4年)が区間3位の走りで上々の滑り出し。好調のチームに弾みをつけた。
4年生のうち、前回の箱根駅伝で走ったのは3人。1区を野村、5区を山本唯翔、10区を山中秀真が担当し、シード権を獲得。9位のゴールテープを切る山中を迎えたのは野村と山本の2人だった。
「3人でチームを引っ張っていこう」と話してスタートしたシーズンで、野村は主将となり、チームをまとめる立場になった。シード権を獲得したことで、「総合3位」の目標がチーム全体に浸透し、一人ひとりの行動も変化。「キャプテンとして苦労したことはないです。正直自分は何もしてないです」というほど、全員が意識を高く取り組める状況ができていた。
「自分の性格もありますけど、みんなに任せて特に何もせずという感じでした。目標設定も各自に任せてやっていたので、それが自主性になって、成長につながったのかなと思います」と話す。
前回は1区を走り、区間11位。ラスト2~3kmでのペースアップに課題を感じ、それを自分のテーマとして練習に取り組んできた。しかし、特に前半シーズンはけがに苦しんだ。3月から4月にかけては左ふくらはぎの肉離れがあり、2ヵ月間まったく走れていなかった。
いつレースに出られるかわからない不安の中でも、「最低限、箱根駅伝には合わせよう」と走る以外のトレーニングを継続した。5月に復帰すると1ヵ月の急ピッチで仕上げ、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会に出場。3組で1着となり、トップ通過に貢献した。
だが全日本選考会後に今度は左の中足骨の疲労骨折が発覚。8月上旬まで走れなかったが、この時は「出雲駅伝にも出たい」という気持ちで走れない時期を乗り切ってきた。
ケガに苦しむも、信じてトレーニングを継続
城西大史上最高の総合3位への快進撃は、主将の快走から始まった。 2年連続1区の野村颯斗(4年)が区間3位の走りで上々の滑り出し。好調のチームに弾みをつけた。 4年生のうち、前回の箱根駅伝で走ったのは3人。1区を野村、5区を山本唯翔、10区を山中秀真が担当し、シード権を獲得。9位のゴールテープを切る山中を迎えたのは野村と山本の2人だった。 「3人でチームを引っ張っていこう」と話してスタートしたシーズンで、野村は主将となり、チームをまとめる立場になった。シード権を獲得したことで、「総合3位」の目標がチーム全体に浸透し、一人ひとりの行動も変化。「キャプテンとして苦労したことはないです。正直自分は何もしてないです」というほど、全員が意識を高く取り組める状況ができていた。 「自分の性格もありますけど、みんなに任せて特に何もせずという感じでした。目標設定も各自に任せてやっていたので、それが自主性になって、成長につながったのかなと思います」と話す。 前回は1区を走り、区間11位。ラスト2~3kmでのペースアップに課題を感じ、それを自分のテーマとして練習に取り組んできた。しかし、特に前半シーズンはけがに苦しんだ。3月から4月にかけては左ふくらはぎの肉離れがあり、2ヵ月間まったく走れていなかった。 いつレースに出られるかわからない不安の中でも、「最低限、箱根駅伝には合わせよう」と走る以外のトレーニングを継続した。5月に復帰すると1ヵ月の急ピッチで仕上げ、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会に出場。3組で1着となり、トップ通過に貢献した。 だが全日本選考会後に今度は左の中足骨の疲労骨折が発覚。8月上旬まで走れなかったが、この時は「出雲駅伝にも出たい」という気持ちで走れない時期を乗り切ってきた。運営管理車からの監督の声に勇気をもらった
8月上旬から走れるようになり、順調に練習を積んだが、出雲駅伝への出場は見送りに。11月の全日本大学駅伝にエントリーされ、5区で区間8位。チームは過去最高の5位を獲得するも、野村個人としては満足いく走りではなかった。 その後は1週間で修正し、翌週に出場した日体大長距離競技会で10000m28分34秒70の自己ベストを更新。この日は野村を含む出場した7人全員が自己ベストを更新し、チームの好調ぶりが改めてうかがえる結果になった。 箱根駅伝前の取材でも「直前の合宿から順調に練習を消化でき、メンバー全員が良い状態で日々過ごせています」と状態の良さをアピールしていた。 本来は6区を走る予定だった野村だが、脚の状態も考慮して前回と同じ1区を走ることになった。「総合3位を目指している以上、また(区間を)変えてもらった以上は3位以内では行かないといけない」と強い気持ちでスタートラインに立った。 序盤の牽制し合っているところから駿河台大のスティーブン・レマイヤン(1年)、駒大の篠原倖太朗(3年)が飛び出したが、野村はそこにつかず第2集団の中で様子をうかがっていた。六郷橋の途中で、後ろについている運営管理車から「去年に比べて良い流れで、良い動きでできてるから、そのまま溜めて溜めて、最後残しておこう」と櫛部静二監督の声がはっきり聞こえた。去年は1度も聞こえなかった運営管理車からの声。監督の声を聞いた瞬間、勇気をもらえたという。「本当に響いて、不思議な力をもらえるのを感じました」。 徐々に集団の人数が絞られていったが、野村は磨いてきたラストのキレを生かし、最後まで粘った。ラストスパートで競り勝ち、区間3位で2区の斎藤翔也(2年)につないだ。卒業後は「トラックを主戦場に活躍したい」
走り終わってからは3区でヴィクター・キムタイ(2年)を迎え、芦ノ湖のフィニッシュへ。復路は8区、9区の沿道を応援し、大手町でアンカーの中田侑希(4年)を迎えた。 復路は7区の林晃耀(3年/区間5位)以外は区間ふたケタとなる耐える展開に。徐々に4位・東洋大との差が縮まり、「最後の直線で中田が見えるまでは、ちょっと危ないなとみんなでドキドキしていました」と明かす。 目標としていた総合3位を実際に達成でき、「過去最高の、最強チームのキャプテンをさせてもらって本当に幸せだなと思います。歴代の先輩方、それから後輩たちにも感謝したいです」と笑顔を見せた。 後輩たちに何を残せたか。そうたずねると、「やっぱり目標を立ててクリアするということですね。前回の箱根のシード権を取った時もそうですけど、出雲の時も、今日も、本当に言葉では表せないぐらいの喜びが感じられて、その喜びを周りの人たちも感じてると思うので、それを忘れずに今後も頑張って欲しいなって思います」と答えてくれた。 卒業後は実業団・中国電力で競技を継続。「トラックが得意なので、日本選手権で入賞するレベルの選手になりたいと思います」とこの先の目標を語る。大きな財産を糧に、野村は次のステップに進む。 [caption id="attachment_127240" align="alignnone" width="800"]
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