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2023.12.26

箱根駅伝Stories/表彰台では満足できない國學院大 主将・伊地知賢造を軸に「てっぺん」を目指す!
箱根駅伝Stories/表彰台では満足できない國學院大 主将・伊地知賢造を軸に「てっぺん」を目指す!

箱根駅伝に向けて走り込む國學院大の選手たち(チーム提供)

1年時から学生駅伝皆勤賞の伊地知が最後の箱根路

伊地知は高校時代の5000mベストが14分43秒97。全国的には無名の選手だったが、同じく高校時代は全国トップクラスではなかった浦野雄平(現・富士通)、土方英和(現・旭化成)ら先輩たちが大活躍した國學院大に“眩い光”を感じていた。

「あそこに行けば僕も変われるんじゃないか」

その予感は的中する。学生駅伝は1年時からフル参戦。2年時は全日本8区で区間賞を獲得すると、昨年度は5月の関東インカレ2部ハーフマラソン優勝、出雲と全日本ではアンカーを務め、準優勝のゴールに飛び込んだ。

しかし、箱根は11月中旬に左膝を痛めたこともあり、「1時間11分切り」を目指していた5区で1時間12分27秒の区間7位に終わった。

全日本大学駅伝8区で2位争いをしていた青学大に先着されて悔し気な表情を浮かべる伊地知賢造(右)。左は山本歩夢

今年は1月末に右足首を痛めて、出場予定だった2月の大阪マラソンを回避。走れない主将は「陸上を辞めたいと何度も思いました」と自分を責め続けたが、9月の日本インカレ10000mで日本人トップ(8位)を奪うなど、夏からは走りでもチームを引っ張ってきた。

今冬はマラソン挑戦を封印。最後の箱根駅伝にすべてを懸ける。

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「スローガンに『てっぺん』を掲げているのは、本気で優勝を狙えるチームにしていきたいからです。今回は駒大が絶対的な優勝候補。だからこそ、倒しがいがあります」と心強い。

自身の出走区間については「4区あたりの可能性が高いと思う」と予想するが、「2区や5区にアクシデントがあっても僕なら対応することができる。任された区間で求められた結果をしっかり残したい。いずれにしても、後ろの選手たちが心を揺さぶるような走りをして、ゲームチェンジャーの役割を担いたいです」と意気込んでいる。

主将・伊地知の“魂の走り”で流れを作り、目標の「てっぺん」へ。國學院大が勝負を
仕掛けていく。

文/酒井政人

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

高まる勝利への欲求

2009年に前田康弘監督が就任して14年、予選会敗退などの浮き沈みを経て、着実に箱根駅伝のタイトルへと近づいている。 昨年度は出雲駅伝と全日本大学駅伝で2位に食い込み、箱根は4位。今季は三大駅伝で「表彰台」という目標を掲げた一方で、「てっぺん」を目指してきた。 主力選手は昨季の三大駅伝をフル回転したダメージもあり出遅れたが、7月のトラックレースで好走する。10000mは平林清澄(3年)が國學院大記録の27分55秒15を打ち立てると、山本歩夢(3年)が28分16秒92、青木瑠郁(2年)が28分32秒90。5000mでも山本が13分34秒85の國學院大記録、主将の伊地知賢造(4年)は13分40秒51の自己新をマークした。 夏は山本が8月下旬に左脛を疲労骨折。伊地知、平林、青木も体調不良に陥ったが、10月の出雲駅伝は4位に入った。11月の全日本大学駅伝は2区終了時で10位と苦戦したが、中盤で少しずつ順位を上げ、7区の平林が区間賞を獲得して追い上げる。最後は伊地知が2位の青学大と4秒差の3位でフィニッシュした。 全日本を終え、前田監督は「目標の『表彰台』を達成しましたが、私を含めて、もっと上に行きたかったという気持ちがあります。箱根では紫のチームをしっかりと追いかけたい」と、“勝利”への欲が高まっている。 正月決戦は前田監督の母校・駒大がターゲット。2年連続の駅伝3冠を目指す絶対王者に挑んでいく。 花の2区は前回区間7位と好走した平林が候補。各校のエースが集結した全日本7区で区間賞を獲得しており、この区間に配置されるなら重要なミッションを担うことになる。 2年連続で3区(ともに区間5位)の山本は1区もしくは3区が有力。前回1区(12位)の青木、出雲1区と全日本3区を区間3位と好走した上原琉翔(2年)も往路の候補だ。上原は「前回は復路(7区区間6位)でしたが、今回は往路で戦いたい。まだ大学駅伝で手にしていない区間賞を目標に頑張りたいと思っています」と意気込む。 山に関しては、「5区は1時間11分前後。6区は区間新記録を狙える可能性がある」と前田監督。選手名を明かすことはなかったが、山には自信を持っているようで、前回5区(区間7位)を務めた伊地知を平地にまわす戦略が濃厚だ。

1年時から学生駅伝皆勤賞の伊地知が最後の箱根路

伊地知は高校時代の5000mベストが14分43秒97。全国的には無名の選手だったが、同じく高校時代は全国トップクラスではなかった浦野雄平(現・富士通)、土方英和(現・旭化成)ら先輩たちが大活躍した國學院大に“眩い光”を感じていた。 「あそこに行けば僕も変われるんじゃないか」 その予感は的中する。学生駅伝は1年時からフル参戦。2年時は全日本8区で区間賞を獲得すると、昨年度は5月の関東インカレ2部ハーフマラソン優勝、出雲と全日本ではアンカーを務め、準優勝のゴールに飛び込んだ。 しかし、箱根は11月中旬に左膝を痛めたこともあり、「1時間11分切り」を目指していた5区で1時間12分27秒の区間7位に終わった。 [caption id="attachment_124592" align="alignnone" width="800"] 全日本大学駅伝8区で2位争いをしていた青学大に先着されて悔し気な表情を浮かべる伊地知賢造(右)。左は山本歩夢[/caption] 今年は1月末に右足首を痛めて、出場予定だった2月の大阪マラソンを回避。走れない主将は「陸上を辞めたいと何度も思いました」と自分を責め続けたが、9月の日本インカレ10000mで日本人トップ(8位)を奪うなど、夏からは走りでもチームを引っ張ってきた。 今冬はマラソン挑戦を封印。最後の箱根駅伝にすべてを懸ける。 「スローガンに『てっぺん』を掲げているのは、本気で優勝を狙えるチームにしていきたいからです。今回は駒大が絶対的な優勝候補。だからこそ、倒しがいがあります」と心強い。 自身の出走区間については「4区あたりの可能性が高いと思う」と予想するが、「2区や5区にアクシデントがあっても僕なら対応することができる。任された区間で求められた結果をしっかり残したい。いずれにしても、後ろの選手たちが心を揺さぶるような走りをして、ゲームチェンジャーの役割を担いたいです」と意気込んでいる。 主将・伊地知の“魂の走り”で流れを作り、目標の「てっぺん」へ。國學院大が勝負を 仕掛けていく。 文/酒井政人

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