2023.12.24
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。
サッカーからランナーを志して
冷たい強風が吹きつける厳しいコンディションのなか、山本雷我(4年)は逆転でレースを制し、右こぶしを突き上げた。
11月18日に行われた激坂最速王決定戦(登りの部)、山本は先行する山梨学院大・弓削征慶(2年)を終盤に捕らえると、ラストスパートで一気に突き放す。今季の不調を吹き飛ばすような会心のレースを山本雷はこう振り返る。
「緊張で前日眠れなかったし、体調も良くなくて。走り出してから2~3kmぐらいからお腹も痛くなってきたんです。それでも離されずについていって、ラスト500mのところから一気にギアを上げました」
福井県越前市の実家は、200mほどの急な坂道を上ったところにある。登下校のため毎日、坂道を上り下りしたことから、上りでの強さが自然と培われたのだろう。
小2から中3まではサッカーに取り組み、ポジションはボランチ。中学時代にはトレセン(地区選抜)のメンバーに選ばれるほどの有力選手だった。サッカー部に所属しながら陸上競技の大会や駅伝にも出場。中2の時には校内のマラソン大会で1学年上の先輩たちに大差をつけて優勝した。そして、2学年上の兄・彪我(ひょうが)さんがいた敦賀気比高への進学と、陸上への転向を決める。
「兄がいたこともあるんですけど、大会で何度か一緒に走った山下悠河(青学大4)の影響が大きいです。『一緒に敦賀気比へ行って、強い美方高を倒そう』って山下に誘われたので」
高1、高2と美方高の牙城を崩すことはできなかった。それでも高校最後の年に、ついに宿敵を破って全国高校駅伝出場を果たした。
彪我さんが国士大へ進んでいたこともあり、当時駅伝監督だった添田正美コーチから熱心な誘いを受け、国士大への進学を決める。
箱根駅伝では2年時、3年時と2年連続で5区を走った。2年生だった前々回は区間13位。3年生だった前回は区間11位と力走し、順位を2つ押し上げたが、国士大は総合19位と振るわなかった。
最終学年を迎えるにあたり、山本は立候補して駅伝主将に就任。駅伝チームを引っ張る意気込みでシーズンに入った。
サッカーからランナーを志して
冷たい強風が吹きつける厳しいコンディションのなか、山本雷我(4年)は逆転でレースを制し、右こぶしを突き上げた。 11月18日に行われた激坂最速王決定戦(登りの部)、山本は先行する山梨学院大・弓削征慶(2年)を終盤に捕らえると、ラストスパートで一気に突き放す。今季の不調を吹き飛ばすような会心のレースを山本雷はこう振り返る。 「緊張で前日眠れなかったし、体調も良くなくて。走り出してから2~3kmぐらいからお腹も痛くなってきたんです。それでも離されずについていって、ラスト500mのところから一気にギアを上げました」 福井県越前市の実家は、200mほどの急な坂道を上ったところにある。登下校のため毎日、坂道を上り下りしたことから、上りでの強さが自然と培われたのだろう。 小2から中3まではサッカーに取り組み、ポジションはボランチ。中学時代にはトレセン(地区選抜)のメンバーに選ばれるほどの有力選手だった。サッカー部に所属しながら陸上競技の大会や駅伝にも出場。中2の時には校内のマラソン大会で1学年上の先輩たちに大差をつけて優勝した。そして、2学年上の兄・彪我(ひょうが)さんがいた敦賀気比高への進学と、陸上への転向を決める。 「兄がいたこともあるんですけど、大会で何度か一緒に走った山下悠河(青学大4)の影響が大きいです。『一緒に敦賀気比へ行って、強い美方高を倒そう』って山下に誘われたので」 高1、高2と美方高の牙城を崩すことはできなかった。それでも高校最後の年に、ついに宿敵を破って全国高校駅伝出場を果たした。 彪我さんが国士大へ進んでいたこともあり、当時駅伝監督だった添田正美コーチから熱心な誘いを受け、国士大への進学を決める。 箱根駅伝では2年時、3年時と2年連続で5区を走った。2年生だった前々回は区間13位。3年生だった前回は区間11位と力走し、順位を2つ押し上げたが、国士大は総合19位と振るわなかった。 最終学年を迎えるにあたり、山本は立候補して駅伝主将に就任。駅伝チームを引っ張る意気込みでシーズンに入った。駅伝主将の重圧受け止め復活
そんな強い思いとは裏腹に、故障もあって本来の力を出せずに苦しんだ。 6月の全日本大学駅伝関東選考会で国士大は10位に入り、7年ぶりに伊勢路に駒を進める。しかし、山本は選考会、11月の本大会ともに出走していない。箱根駅伝予選会もコンディションが整わず、走ることができなかった。 「『予選会、落ちてはいけない』『箱根駅伝に出られなかったら自分の責任だ』と自分に言い聞かせて練習をしていて、それがプレッシャーになってケガにつながって、調子も落としてしまったんです」 駅伝主将を欠きながらも、チームは予選会を8位で通過し、8年連続の本大会出場を決めた。この仲間の力走が、駅伝主将の目覚めを促した。 秋からは徐々に調子を取り戻し、10月には5000mで14分29秒14、10000mで29分33秒84と、トラックで立て続けに自己ベストを更新。11月の激坂最速王決定戦を制し、改めて上りの強さをアピールした。 「みんなががんばって予選会を通過してくれて、ちょっと心が落ち着きました。激坂最速王決定戦は『自分のために走ろう』と思えたのが優勝できた要因だと思います」 [caption id="attachment_124230" align="alignnone" width="800"]
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