HOME ニュース、国内

2020.09.20

【走高跳】津田が日本歴代10位の1m85「日本選手権で1m90を」/全日本実業団
【走高跳】津田が日本歴代10位の1m85「日本選手権で1m90を」/全日本実業団


 全日本実業団対抗(熊谷)の最終日、女子走高跳で津田シェリアイ(築地銀だこAC)が1m85の自己新を跳んで優勝。日本歴代10位タイの好記録だった。

 津田は1m70から試技をスタートし、そこから3cm刻みで1m82まで1回で成功。続く1m85を2回目でクリアした。今シーズンは8月に1m84を跳んでおり、1cm自己新。だが、クリア直後は「1m82のほうが技術面でよかったことと、次の高さへ修正しないといけない」と喜ぶ様子はなかった。

 続く1m88は1回目に惜しい跳躍。「それで、2回目、3回目は跳びたいという気持ちが出てしまった」と、さらなる更新はならなかった。それでも、昨年まで見られた低めの高さで失敗試技が続くことも少なく、安定したパフォーマンスを発揮している。

広告の下にコンテンツが続きます

「1m85はうれしいのですが、88の1回目はすごく感覚が良くて手応えがあったので悔しさが残ります」。今シーズン好調の理由は体力面の強化。「技術的に変えた部分はなくて、体力面が課題だったので、跳んだり走ったりして総合体力のアップを重点的に取り組んできました」と言う。

 跳躍面では、体力強化によって上がったスピードを意識しているといい、「踏み切り前のラスト3歩でスッと入っていけるようになった」。特にこの日の1m82、1m88の1回目は「よかったと思います」と手応えをつかんだ。

 中学時代に1m77(中学歴代2位タイ)を跳んでから、女子走高跳界のホープとして期待を寄せられてきた逸材。東大阪大敬愛高時代はケガの影響などもあり、踏み切り脚を変更するなど試行錯誤が続き、インターハイタイトル、日本インカレタイトルにも届かなかった。

 それでも、地道な基礎体力の向上とあきらめない思いを切らすことはなく、就職先も、自ら好きだったという「築地銀だこ」へアピールして所属先をつかみとり、店舗に立ちながら競技を続けている。ちなみに、系列店「銀のあん」で販売されている「たい焼き」が好物だ。

 長く目標にしてきた1m90が「現実的に見えるところまできた」と津田。これまで今井美希、佐藤恵ら7人が超えてきた大台も、ここ10数年は見られていない。世界へ行くのが当たり前だった時代は過去のものとなった。自己ベストとして1m85以上を跳んだのは、2001年(岩切麻衣湖)までさかのぼらなければいけないほど。

「ずっと言い続けているので、今年こそ1m90を跳びたい。練習でも1m80を跳んでいるので、試合でプラス10cmは行けるはず。日本選手権と田島記念を予定しているので、今シーズン中に1m90をクリアしたいです」

 津田が牽引し、そこに同世代や後輩たちが食らいついたとき、止まっている日本女子走高跳の歴史が少しずつ動き出す。

■女子走高跳結果(上位3人)
津田シェリアイ(築地銀だこAC)1.85
徳本鈴奈(友陸物流)1.76
青山夏実(ダイテックス)1.73

■女子走高跳日本歴代10傑
1.96 今井 美希(ミズノ) 2001. 9.15
1.95 佐藤  恵(福岡大) 1987. 5.17
1.95 太田 陽子(ミキハウス) 2002. 7.21
1.93 福光 久代(大昭和製紙) 1981. 6. 7
1.92 青山  幸(吹田一中教) 2004. 7. 3
1.90 八木たまみ(関東学園大) 1978.10.19
1.90 貞廣 千波(中京女大4) 1994.11. 2
1.86 松井 昌美(桃山高教) 1988. 7. 9
1.86 岩切麻衣湖(プレジャー企画) 2001. 5.26
1.85 曽根 幹子(大昭和製紙) 1975.11. 8
1.85 津田シェリアイ(築地銀だこAC)2020. 9.20

 全日本実業団対抗(熊谷)の最終日、女子走高跳で津田シェリアイ(築地銀だこAC)が1m85の自己新を跳んで優勝。日本歴代10位タイの好記録だった。  津田は1m70から試技をスタートし、そこから3cm刻みで1m82まで1回で成功。続く1m85を2回目でクリアした。今シーズンは8月に1m84を跳んでおり、1cm自己新。だが、クリア直後は「1m82のほうが技術面でよかったことと、次の高さへ修正しないといけない」と喜ぶ様子はなかった。  続く1m88は1回目に惜しい跳躍。「それで、2回目、3回目は跳びたいという気持ちが出てしまった」と、さらなる更新はならなかった。それでも、昨年まで見られた低めの高さで失敗試技が続くことも少なく、安定したパフォーマンスを発揮している。 「1m85はうれしいのですが、88の1回目はすごく感覚が良くて手応えがあったので悔しさが残ります」。今シーズン好調の理由は体力面の強化。「技術的に変えた部分はなくて、体力面が課題だったので、跳んだり走ったりして総合体力のアップを重点的に取り組んできました」と言う。  跳躍面では、体力強化によって上がったスピードを意識しているといい、「踏み切り前のラスト3歩でスッと入っていけるようになった」。特にこの日の1m82、1m88の1回目は「よかったと思います」と手応えをつかんだ。  中学時代に1m77(中学歴代2位タイ)を跳んでから、女子走高跳界のホープとして期待を寄せられてきた逸材。東大阪大敬愛高時代はケガの影響などもあり、踏み切り脚を変更するなど試行錯誤が続き、インターハイタイトル、日本インカレタイトルにも届かなかった。  それでも、地道な基礎体力の向上とあきらめない思いを切らすことはなく、就職先も、自ら好きだったという「築地銀だこ」へアピールして所属先をつかみとり、店舗に立ちながら競技を続けている。ちなみに、系列店「銀のあん」で販売されている「たい焼き」が好物だ。  長く目標にしてきた1m90が「現実的に見えるところまできた」と津田。これまで今井美希、佐藤恵ら7人が超えてきた大台も、ここ10数年は見られていない。世界へ行くのが当たり前だった時代は過去のものとなった。自己ベストとして1m85以上を跳んだのは、2001年(岩切麻衣湖)までさかのぼらなければいけないほど。 「ずっと言い続けているので、今年こそ1m90を跳びたい。練習でも1m80を跳んでいるので、試合でプラス10cmは行けるはず。日本選手権と田島記念を予定しているので、今シーズン中に1m90をクリアしたいです」  津田が牽引し、そこに同世代や後輩たちが食らいついたとき、止まっている日本女子走高跳の歴史が少しずつ動き出す。 ■女子走高跳結果(上位3人) 津田シェリアイ(築地銀だこAC)1.85 徳本鈴奈(友陸物流)1.76 青山夏実(ダイテックス)1.73 ■女子走高跳日本歴代10傑 1.96 今井 美希(ミズノ) 2001. 9.15 1.95 佐藤  恵(福岡大) 1987. 5.17 1.95 太田 陽子(ミキハウス) 2002. 7.21 1.93 福光 久代(大昭和製紙) 1981. 6. 7 1.92 青山  幸(吹田一中教) 2004. 7. 3 1.90 八木たまみ(関東学園大) 1978.10.19 1.90 貞廣 千波(中京女大4) 1994.11. 2 1.86 松井 昌美(桃山高教) 1988. 7. 9 1.86 岩切麻衣湖(プレジャー企画) 2001. 5.26 1.85 曽根 幹子(大昭和製紙) 1975.11. 8 1.85 津田シェリアイ(築地銀だこAC)2020. 9.20

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.11

タイの19歳ブーンソンが100m9秒94!!!日本記録上回るアジア歴代3位、U20世界選手権2大会ファイナル

東南アジア大会がタイ・バンコクのスパチャラサイ競技場で行われ、男子100mでタイのプリポル・ブーンソンが9秒94(+0.7)をマークした。 予選で出されたこの記録はアジア歴代で日本記録(9秒95:山縣亮太)を上回る3位。 […]

NEWS 青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」

2025.12.11

青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」

第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 壮行会後に記者会見が行われ、一番のライバル校を問われた原監督は「一番はやはり駒澤大学です。ここ11年 […]

NEWS 箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」

2025.12.11

箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」

第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 お昼休みで多くの学生や教職員が集まるなか、原監督は「シーズン当初は新体制となり、学生たちには『勝つ確 […]

NEWS 青学大・原監督「バーディー×2」駒大・藤田監督「4本の柱」総合力の「上握り10貫」など指揮官たちが“前哨戦”/箱根駅伝トークバトル

2025.12.11

青学大・原監督「バーディー×2」駒大・藤田監督「4本の柱」総合力の「上握り10貫」など指揮官たちが“前哨戦”/箱根駅伝トークバトル

「第102回箱根駅伝トークバトル」が12月10日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで行われた。 前回優勝校の青学大・原晋監督、同2位の駒大・藤田敦史監督、同3位の國學院大・前田康弘監督、同4位でトークバトル初登場の早大・花田 […]

NEWS 【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ

2025.12.10

【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ

第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top