2023.10.30
◇第41回全日本大学女子駅伝(10月29日/宮城・6区間38.0km)
第41回全日本大学女子駅伝が行われ、フィニッシュは前回までとは違う弘進ゴムアスリートパークに変更されたが、最も速くゴールテープを切ったのは、今年もエンジのユニフォームだった。3区で首位に立った女王・名城大が2時間4分29秒で7連覇。通算8回目の優勝を飾った。
1区の米澤奈々香(2年)が、区間賞で全日本デビューを果たした前回同様、スターターを務めた。今季は故障が相次ぎ、6月以来となる実戦レースに、「夏に練習を積めなかったので、不安や焦りがあった」と明かす。だが、終始、集団の前方でレースを進め、最後まで立命大・村松灯(3年)と区間賞争いをする粘りを見せた。
2位でタスキを受けた力丸楓(1年)は、地元の仙台一高出身。高校3年生だった1年前は、沿道で名城大の強さを目の当たりにし、「こんなに強いチームで自分は来年からやっていけるんだろうか」と感じていたという。それでも、3km過ぎに首位を奪った後、「ラスト1kmぐらいから進まなかった」と立命大に再逆転を許したが、「高校の後輩や支えてくださった方の声援を力に変えて、持てる力を出し切れた」と2位をキープする。
前回2区で区間賞を獲得した3区の石松愛朱加(2年)は、シーズンを通して故障者が多かったチームの中で、離脱することなくチームを引っ張ってきた数少ない選手の1人。チームメイトに伝えていたのは、「どの順位で来ても、私が何とかするから大丈夫」という力強い言葉。それを表現するかのように、6秒前に走り始めた立命大を1km過ぎに捕らえると、3.2kmで一気に引き離し、逆に31秒のリードを奪った。
名城大の米田勝朗監督が描いたプランが、「3区の石松のところで先頭に立ってほしい」。この日、20歳の誕生日を迎えた石松が区間賞の快走でそれに応え、チームを勢いづけた。
「名城大にすごくあこがれがあった」と今春入学した薮谷奈瑠(1年)は、「そのぶん、今までにないぐらい緊張してしまった」と、立命大に13秒差に追い上げられた。
「5区には強い選手が集まってくる。もし自分が抜かれて7連覇を途絶えさせてしまったらどうしようと不安だった」と話す原田紗希(2年)も、2位に浮上していた大東大のサラ・ワンジル(1年)に少しずつ差を詰められていた。
薮谷と原田はいずれも区間4位。米田監督は5区終了時点で追いかける展開も想定していたが、全日本初出場の2人が首位を明け渡すことはなかった。そのあたりにも女王のプライド、名城大の強さが垣間見える。
2年連続4区区間賞の谷本七星(3年)が今回は最終区を任されたのは、アンカー勝負を見据えてのことだった。それだけ米田監督やチームメイトから絶対的な信頼を寄せられていた。
原田からトップでタスキを受けた時は、2位・大東大とは15秒の貯金しかなかったが、谷本は「気持ち良くスタートできた」と言う。走りながら頭に浮かんでいたのは、「今まで一緒にがんばってきたメンバーの顔」だった。「早くみんなが待つゴールへ」という思いが、激しい2位争いを繰り広げる立命大と大東大を大きく引き離す原動力になったのかもしれない。
故障や不調、連覇を続けてきたゆえの重圧もあっただろう。苦しんで苦しんで、ようやくつかんだ栄冠だった。レース後の米澤の言葉が印象的だ。
「去年以上に厳しい状況だったからこそ、チームとして優勝できたのは本当にうれしくて、終わった後は安堵の涙が出ました」
米田監督は「選手たちが想定以上にがんばってくれました。みんなの気持ちが一つになって、この結果を残すことができました」と奮闘した選手を称えた。そして、「この優勝が来年度以降、彼女たちをまたさらに強くしてくれる」とも語る。
その言葉には、これでもなお、「ここが終着点ではない」という決意のような思いが感じられた。
文/小野哲史
女王・名城大 7連覇メンバーの成績をチェック
1区(6.6km) 米澤奈々香(2年) 21.24(区間2位) 2区(4.0km) 力丸 楓(1年) 12.58(区間2位) 3区(5.8km) 石松愛朱加(2年) 18.52(区間1位) 4区(4.8km) 薮谷奈瑠(1年) 16.11(区間4位) 5区(9.2km) 原田紗希(2年) 30.18(区間4位) 6区(7.6km) 谷本七星(3年) 24.46(区間1位)RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.04.07
鈴木健吾、一山麻緒夫人が第一子妊娠を明かす「待ち遠しい」エコー写真のサプライズSNS投稿
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.07
-
2026.04.01
-
2026.04.02
-
2026.04.01
2026.03.16
GMO・吉田圭太と100mHの安達楓恋が結婚!「これからも二人で」青学大の先輩後輩
-
2026.03.31
-
2026.03.31
Latest articles 最新の記事
2026.04.07
ニトリに2年連続IH長距離2冠のジェプコエチが加入 「自己ベストを更新できるよう頑張ります」
ニトリは4月7日、チームのSNSで岡山・倉敷高出身のジャネット・ジェプコエチが加入したことを発表した。 ジェプコエチは23年にケニアから来日。2年時の福岡インターハイでは1500mを4分07秒59秒で制すると、3000m […]
2026.04.07
鈴木健吾、一山麻緒夫人が第一子妊娠を明かす「待ち遠しい」エコー写真のサプライズSNS投稿
男子マラソン前日本記録保持者の鈴木健吾(横浜市陸協)と、女子マラソン五輪2大会代表の一山麻緒夫人がSNSを更新し、第一子を妊娠していることを明かした。 共同投稿された動画では、シューズの箱を開けると「Welcom Bab […]
2026.04.07
2030年から世界マラソン選手権開催へ!第1回開催地はアテネ 世界陸上のロード種目は29年がラスト
世界陸連(WA)は4月7日、2030年から「世界マラソン選手権」を創設することを発表した。 WAは以前より、長距離・マラソン種目の将来的なロードマップを策定しており、とりわけ夏季に開催される世界選手権において、マラソンを […]
2026.04.07
山中柚乃が現役復帰「やるからには全力で真摯に向き合う」3000m障害で東京五輪代表
女子3000m障害元日本代表で昨年現役引退を表明していた山中柚乃(愛媛銀行)が自身のSNSを更新し、現役復帰することを報告した。 山中は2000年生まれの25歳。大阪・大塚高時代は1500m、3000mでインターハイ出場 […]
2026.04.07
男子砲丸投の佐藤征平が「SOMAY-Q AC」所属に 「応援よろしくお願いいたします」
男子砲丸投で、18年と19年に国体を2連覇している佐藤征平が自身のSNSを更新し、4月1日付で「SOMAY-Q AC」に所属することを明らかにした。 佐藤は岩手県出身の33歳。高田高から国士大に進み、インカレなどで活躍し […]
Latest Issue
最新号
2026年4月号 (3月13日発売)
別冊付録 記録年鑑 2025
東京マラソン、大阪マラソン、名古屋ウィメンズマラソン