HOME 駅伝、箱根駅伝

2023.10.15

「当たり前のことを、当たり前にする」復活を遂げた名門・日大の改革/箱根駅伝予選会
「当たり前のことを、当たり前にする」復活を遂げた名門・日大の改革/箱根駅伝予選会

23年箱根駅伝予選会を5位通過した日大

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

本戦の総合優勝では歴代3位の11回を誇る名門・日大が、総合5位で4年ぶりの予選会突破を決めた。

広告の下にコンテンツが続きます

現状を打破するには、大きな変化が求められていた。

4年連続で箱根路を逃したことで、箱根本戦経験者はゼロに。今年5月に就任した新雅弘駅伝監督が改革をもたらした。

「まずは生活面から見直しました。高校時代は5分前集合ができていたはずなのに、なぜ大学に入ったらできないのか、と。そういうところから始めていきました」

練習内容も大きな変化をつけたわけではないが、しっかりと距離を踏むこと、毎日練習する身体を作ること、その準備を自分ですること。寮に住み、選手たちと寝食を共にしながら、根気よく大事な事を伝え続けた。

「当たり前のことを、当たり前にする」。それがいかに大事かを伝え続けた。

すると、ひとり、ふたりと変わり始め、それがチーム全員に伝播するまでそう時間はかからなかった。

「しっかりと新監督が根気よく選手たちとコミュニケーションを取ってくれていたことが、いちばん大きかったと思います」

新監督とともに選手を指導する、武者由幸コーチは言う。昨年までは箱根の本戦を知る選手がいたが、今の選手たちは誰も箱根駅伝を走る喜びを知らない。それが逆に「『箱根を走りたい』という強い気持ちを生み出せる要因になったのだと思います」と武者コーチは言う。

全員が走り終え、神妙な面持ちで結果発表を待つ。そしてコールされたのは、「5位」。

「もうビックリですよ。半年で、良くこれだけ変わってくれました。突貫工事でしたから、選手たちは本当に大変だったと思います。でも、選手はコツコツと真面目に毎日頑張ってくれた。そういう姿を見ていた神様がくれたご褒美ですね」(新監督)

主将を務めた下尾悠真(4年)も冷静な様子ではあったが、声の奥に喜びが潜んでいるのが良く分かった。

「4年間、頑張ってきたことが報われて本当に良かったと思います。全員で走り切る練習をずっとしてきたので、集団では走れることがこれで証明できたと思います」

箱根本戦に向けた戦略を新監督に伺うと、「何にもないですよ」と笑い飛ばされた。「私たちはまだまだこれから。始まったばかりですから。でも半年でこれだけ変わってくれました。箱根に向けても、今まで通りにコツコツやるだけです」。

駅伝に帰ってきた「N」の文字。だが、まだ帰ってきただけだ。これを継続、勝負、勝利へとつなげるためには、まだまだ長い道のりが待っている。

文/田坂友暁

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 本戦の総合優勝では歴代3位の11回を誇る名門・日大が、総合5位で4年ぶりの予選会突破を決めた。 現状を打破するには、大きな変化が求められていた。 4年連続で箱根路を逃したことで、箱根本戦経験者はゼロに。今年5月に就任した新雅弘駅伝監督が改革をもたらした。 「まずは生活面から見直しました。高校時代は5分前集合ができていたはずなのに、なぜ大学に入ったらできないのか、と。そういうところから始めていきました」 練習内容も大きな変化をつけたわけではないが、しっかりと距離を踏むこと、毎日練習する身体を作ること、その準備を自分ですること。寮に住み、選手たちと寝食を共にしながら、根気よく大事な事を伝え続けた。 「当たり前のことを、当たり前にする」。それがいかに大事かを伝え続けた。 すると、ひとり、ふたりと変わり始め、それがチーム全員に伝播するまでそう時間はかからなかった。 「しっかりと新監督が根気よく選手たちとコミュニケーションを取ってくれていたことが、いちばん大きかったと思います」 新監督とともに選手を指導する、武者由幸コーチは言う。昨年までは箱根の本戦を知る選手がいたが、今の選手たちは誰も箱根駅伝を走る喜びを知らない。それが逆に「『箱根を走りたい』という強い気持ちを生み出せる要因になったのだと思います」と武者コーチは言う。 全員が走り終え、神妙な面持ちで結果発表を待つ。そしてコールされたのは、「5位」。 「もうビックリですよ。半年で、良くこれだけ変わってくれました。突貫工事でしたから、選手たちは本当に大変だったと思います。でも、選手はコツコツと真面目に毎日頑張ってくれた。そういう姿を見ていた神様がくれたご褒美ですね」(新監督) 主将を務めた下尾悠真(4年)も冷静な様子ではあったが、声の奥に喜びが潜んでいるのが良く分かった。 「4年間、頑張ってきたことが報われて本当に良かったと思います。全員で走り切る練習をずっとしてきたので、集団では走れることがこれで証明できたと思います」 箱根本戦に向けた戦略を新監督に伺うと、「何にもないですよ」と笑い飛ばされた。「私たちはまだまだこれから。始まったばかりですから。でも半年でこれだけ変わってくれました。箱根に向けても、今まで通りにコツコツやるだけです」。 駅伝に帰ってきた「N」の文字。だが、まだ帰ってきただけだ。これを継続、勝負、勝利へとつなげるためには、まだまだ長い道のりが待っている。 文/田坂友暁

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

PR

2026.02.16

日本マラソン界のホープ・平林清澄、世界に向けた挑戦! パワーアップの源となるレース前のルーティーンとは―

昨季まで國學院大學の主力として大学駅伝界を沸かせた平林清澄(ロジスティード)は、社会人になり〝冬眠〟期間を経てパワーアップした走りを披露している。狙ったレースを外さないのが平林。学生時代から食事等に人一倍気を使ってきたが […]

NEWS 【女子棒高跳】伊藤来莉(大砂土中1埼玉) 3m60=中1最高

2026.02.16

【女子棒高跳】伊藤来莉(大砂土中1埼玉) 3m60=中1最高

令和7年度第47回群馬県室内棒高跳記録会が、2月15日に群馬県吉岡町の棒高跳専用室内施設「ベルドーム」で行われ、女子高校・一般棒高跳で中学1年生の伊藤来莉(大砂土中1埼玉)が3m60の中1最高記録を更新した。これまでの中 […]

NEWS 【女子棒高跳】髙橋美優(観音寺中部中3香川) 3m74=中学歴代9位

2026.02.16

【女子棒高跳】髙橋美優(観音寺中部中3香川) 3m74=中学歴代9位

香川室内跳躍競技会が2月7日、8日に香川県観音寺市の市立総合体育館で行われ、7日の中学女子棒高跳で髙橋美優(観音寺中部中3)が3m74の中学歴代9位の記録で優勝した。 髙橋のこれまでのベストは昨年の県中学通信でマークした […]

NEWS キピエゴンが10km29分46秒で快勝 !「マラソンへの第一歩」

2026.02.16

キピエゴンが10km29分46秒で快勝 !「マラソンへの第一歩」

モナコ・ランが2月15日に開催され、女子ロード10kmで1500mの世界記録保持者F.キピエゴン(ケニア)がで29分46秒をマークした。 キピエゴンは五輪・世界選手権で8つの金メダルを獲得している32歳。ロード種目は23 […]

NEWS 三段跳・ロハスが14m95!23年以降の自己最高、アキレス腱断裂の大ケガからようやく復調へ

2026.02.16

三段跳・ロハスが14m95!23年以降の自己最高、アキレス腱断裂の大ケガからようやく復調へ

スペイン国内のクラブ室内選手権が2月14日にバルセロナで開催され、女子三段跳に世界記録保持者のY.ロハス(ベネズエラ)が出場し、今季世界最高の14m95をマークした。 ロハスは22年に15m74の世界記録を樹立した30歳 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年3月号 (2月14日発売)

2026年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
大阪国際女子マラソン
矢田みくにインタビュー
追跡箱根駅伝

page top